小説

FT恋愛群像劇【1日5分!空き時間に読む小説】

『敵も味方もどこにいて、何をしてるか判らない』だけどその状況は幸せだと彼は言った…。



地殻変動により変貌してしまった日本を支配する、中王の圧政に立ち向かうべく、暗躍する者達の思惑が交差する。



圧制下で暗躍する小国の王子とその護衛部隊の成長を描くFT恋愛群像劇。



仕事の合間に!勉強のお供に!他人の世界に触れてみよう!がテーマの軽く読める連載小説。

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switch【1日5分!空き時間に読む小説】vol.124

2008/11/17

━ 1日5分!空き時間に読む小説 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━

      スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)
      【 ジャンル:ファンタジー系恋愛小説 】
          http://shosetsu.uijin.com/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━Vol.124 2008年11月17日
発行者:作倉エリナ

☆☆───────────────────────────────☆☆
  今号は「続・序章 第六話 続・穴二つ 010/010です。
☆☆───────────────────────────────☆☆

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 まえがき
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 はじめましての方、お手にとっていただきありがとうございます。
 以前からお読みいただいている方、本当に本当にありがとうございます。
 
 約2ヶ月ぶりの発行です。本当に申し訳ありません。
 作者多忙のため……といってしまうのは簡単ですが、そうならないよう、
 これからも何とか、発行は続けていきたいと考えています。
 引き続き、お楽しみいただければ幸いです。

                            作倉エリナ

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賢く、かっこよく、優雅に生きるために☆
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  スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと) 続・序章
      第六話 続・袖振り合うも多生の縁
                         P.010 / P.010

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(前回までのあらすじ)

 何らかのショックにより、現代から500年ほど未来の変貌してしまった時代
 にタイムリスリップしてしまった相原は、王子ミハマの言葉を受け、元の時
 代に帰りたいと願い、出来ることのために、動き始める。

 暗躍するテッキを後見に、中王の軍人であるはずのティアスがオワリに現れ
 る。彼女は深夜、テツと密会をしているようだが、その確証が取れぬままア
 イハラは悩む。しかし、彼女に信頼されていることだけを支えに、護衛部隊
 に正体の知れてしまった彼女の味方でいようと決意する。
 しかし、シュウジ達の口から語られる彼女の真実に近付くたび、不安が増大
 していく。

(↓以下本文)


第六話 続・袖振り合うも多生の縁

10

 伝令係が扉をノックした音に、ミハマは苦笑いを浮かべ窓を見た。空の色が、
少しだけ暗くなっていた。
 オレがここに来たばかりのときには、見ることができなかった空の色だ。冬に
向かって、少しずつ夜の色が深くなっていくと言っていたから。

 扉に向かおうとしたイツキさんを制し、ミナミさんがゆっくりと立ち上がり、
扉へ向かった。

「殿下。王が、カントウの姫君と夕食を一緒にとのことです。19時から」

 ちらっと腕時計を確認しながら、彼女はそう告げた。

「ずいぶん、話し込んでしまったね。随分、暗くなってるし」
「……未だ、明るい」

 思わずそう言ってしまったが、最近はますます寒くなってきたし、以前より暗
いことは確かだ。オレが慣れないだけ。

「夜が明るいのは、夏の間だけですから」

 フォローのつもりでシュウジさんはそう言ったのだろうけど、逆効果だ。
 オレはいつになったら帰れるんだろう。この人達、このままホントに北に行っ
ちゃったら、オレが戻る手段は誰が探してくれるんだ。

「ユウトのいたところは、違うのね?」
「……もちろん。そもそも、夏はこんなに寒くない。大体、白夜のある国だって
そのはずだ。行ったこと無いけど」

 微笑む彼女を見ていると、どうでも良いような気もしてくるけれど。

「また、時間をくれるかな?こんなに大げさにはしないから、もう少し話した
い」

 彼女は微笑んだまま、オレからミハマに視線を移し、見つめていた。

「なに?」
「また、時間をくれるんだね」
「どうかな」

 ティアスの言うとおりだ。ミハマは彼女に時間をくれている。余裕があるのか、
それとも。

「カントウの姫君を待たせては申し訳ない。今日は戻ります」

 わざとらしく立ち上がった彼女に、全員の視線が注がれる。他の連中の目にど
う映っていたかは判らないけれど、オレの目には、随分堂々として見えた。
 彼女について、オレとサエキ大尉も部屋を出た。

「ありがとね、ユウト」

 ミハマが用意してくれた部屋から出て、扉を閉めたとき、ティアスがそう言っ
てくれたのだけが、オレにとっての救いだった。だけど、結局オレは何もできな
かった。ただ彼女の隣で聞いていただけ。彼女を助けたのは、彼女の隣に立つ、
彼女の部下だった。
 だから、救いだったけど……彼女の気遣いが重かった。

「どうするんだよ」

 サエキ大尉が立ち去った後、部屋に戻ろうと歩き出した彼女に声をかけた。

「何が?」
「これから」
「だから、何?」

 笑顔で答える彼女の顔に、初めてずるさを見たような気がした。だけど、そん
なことはどうでも良かった。
 彼女の心に引っかかるために、なんでもしたい気分だった。

「冗談よ。もう少し、考える」
「考える?」
「結論は、もう出てるんだけどね」

 彼女は大きな声で「イエス」とは言っていないけれど、でも、そうするのだろ
う。彼らとともに、北へ向かう。だったら、オレはどうしたらいい?

 部屋に戻る気にもなれず、迷った挙句、屋上へ向かった。誰かいるかもしれな
い、そう思ったけれど、オレにはどこにも行き場所がない。
 あの場所は、彼らに与えられた場所だけど、唯一どこかとつながってるような
気がしていた。
 オレの、思い込みかもしれないけれど。オレは彼らと同一ではないのに。

「何してんだよ、こんな所で」
「そっちこそ」

 案の定、先客がいた。少し長めの黒髪をたなびかせながら、薄闇の中、彼はオ
レに煙草を差し出した。
 屋上のフェンスにもたれかかったまま、鬱陶しそうに髪をかき上げ、煙を燻ら
せている。彼に近づくため、ゆっくりと歩み寄る。時間をかけて。

「サワダだけ?」
「ああ。下で吸うと、また煩いからさ。めんどくさいだろ?」
「同感」

 ここにいたのがサワダだけで良かったような、悪かったような。彼の気遣いに、
少し安心しているけれど、だからこそ、申し訳ない気もしている。

「シュウジがさ」
「うん」
「気、使ってたぞ?」
「わかってるよ。不器用な人だし。子供に気を回させてどうすんだよって感じだ
よな」

 笑い飛ばしてやったこと、ばれてないといい。薄闇が、オレの取り繕った笑顔
をかき消してくれたらいい。
 シュウジさんも、サワダも、オレに気を使ってるのなんか知ってる。だから余
計に、オレは辛い
 そしてそれ以上に気を使う理由と気の使い方が、ちらちらと見えているのが。

 彼らがオレから何かを隠すのは、「気を使っている」からだ。

「サワダ、火は?」
「ああ……」

 彼はあわててポケットを探る。

「……前みたいに、つけて見せて」
「見せもんじゃねえぞ」

 一歩、オレに近づき、以前のようにオレが咥えた煙草をつまみ、火をつけてく
れた。

「すげえな。何のトリック?」
「トリックじゃねえよ」

 彼は何の感情も動かさずに、あっさりとした返事だった。もう少し、驚いて見
せたほうが良いのか?

「魔法とか、そういうもの?」
「ちょっと違うな」
「……サワダしかできないのか?」
「そういうわけじゃない。人によって解釈の仕方が違うだけで、根本的なものは
一緒だ。……中央の楽師も、長けている。だから、あの地位にいる」
「魔物を簡単に倒していたのも、これができるから?」
「そうだな」

 さすがにオレの様子を不審に思ったのか、彼は顔を覗き込む。

「何だよ、急に?」
「別に、イズミがいないから、教えてくれるかと思って」
「そうか。……シンの気の使い方って、遠まわしって言うか。餌を与えるより、
釣り方を教えるタイプだからさ。まあ、その意味のわからない奴をせせら笑って
るところはあるけど」
「やさしいのか、やさしくないのか?」

 どんなスパルタ先生だよ。

「やさしくは……ないかな。けど、アイハラのこと、少し見直してたし」
「あれで?」
「仕方ない。シンにとって、本当にこの小さなコミュニティが全てだから」

 腫れ物を触るように扱われていた印象とは、ずいぶん違っていた。サワダはイ
ズミのことをそう言うけれど、イズミと二人のときは、彼がサワダに気遣ってる
ようにしか見えなかった。

 サワダはやさしいと思う。
 ミハマもやさしいと思う。
 もちろん、シュウジさんもやさしいと思うし、ミナミさんやイツキさんもそう
だ。
 ……多分、イズミもやさしいんだ。
 だけど、そのやさしさはみんな種類が違うし、オレには届いていない。

 だってオレは、やっぱりイズミのいる、サワダの言う小さなコミュニティには
入れていない。

「カリン姫、待たせて良いのか?もう時間ないんじゃないか?」
「ああ。あの女は、むしろオレは要らないんだよ。ミハマのためにもね。言って
ることは、『ごもっとも』だし」

 話を変えるつもりで、余計な話をしてしまったのだと、後悔した。

「シンが言ってた。今のアイハラは、オレを見てるみたいで『かわいそう』だっ
て」
「オレが、サワダみたいって事?」
「そう。だったら、確かに『かわいそう』だな。ま、あいつの言うことは当てに
ならないけど。あの女のことも、同じように言うんだから」
「……ティアス」

 こんなうす闇の中でも、彼の顔色が変わったのがわかる。

「お前、あの女を信用してる?」

 だけど、彼の表情を、真意を、読み取れない。まっすぐ見つめてくるくせに、
なんだか見下ろされてるような気もするし、哀れまれてるような気もする。

「……してるよ」

 オレも、即答できなかった。

「馬鹿だな。あの女はずるいよ?信用したら、負けだ。利用される」
「ミハマだって、信用してた」
「そのために、オレたちがいる」
「サワダだって」

 一歩、彼が近づく。

「まさか。するわけがない」

 煙草を消し、オレの横を抜けていく。彼は笑っているように見えた。


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 次号は・・・
  スイッチ(モラトリアムを選ぶと言うこと)続・序章 第七話(全七話)
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      vol.125は2008年11月24日発行です。お楽しみに!

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 現在このお話と対になる学園ものシリーズを携帯でお送りしています。
 そちらもぜひご覧ください。
 http://mini.mag2.com/pc/m/M0056277.html
 最初から読みたい方はこちらから
 http://backno.mini.mag2.com/r/servlet/MBack?id=M0056277
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 あとがき
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 冬将軍と、このプライベートの多忙と、どう戦っていこうかと考える今日こ
 の頃ですが、もう、とにかく続けます。
 前書きにも書きましたが、発行は続けていきます。
 なにとぞ、引き続きお楽しみいただければ幸いです。
 
 以下も是非、ご覧くださいませ。
 「小説家になろう」
 天に向かって唾を吐け! http://ncode.syosetu.com/n7361a/
 switch【モラトリアムを選ぶと言うこと】http://ncode.syosetu.com/n2034b/

 今号も、お読みいただきありがとうございました。
 また次号もおつきあいください。
                          作倉エリナ

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創刊日:2007-01-07  
最終発行日:  
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