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今週、いちばん癒せる映画!

毎週金曜日発行。「今週、いちばん癒せる映画」を選んで紹介します。発行者はいくつかの雑誌で映画評や自己啓発の記事を執筆しています。

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今週、いちばん癒せる映画! vol.66  『ダークナイト』(8月9日公開)

2008/08/02

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 今週の1本を本日8月1日公開の『闇の子どもたち』にするか、来週公開の『ダークナイト』にするか迷ったのですが、『ダーク・ナイト』にすることにしました。ダーク・ナイト=闇の騎士、で、今週はいずれにせよ、「闇」について考えさせられていますが。
 なお、タイの子どもたちの人身売買や臓器売買を扱った『闇の子どもたち』も、ぜひ見ることをお勧めします。

 さて、『ダーク・ナイト』です。天才鬼才、それなのにメジャー、クリストファー・ノーランが撮った「バットマン」シリーズの2作目。作品の質、興業成績ともに抜群で、なんと、アメリカで『タイタニック』を抜く可能性が出てきています。

 煙草も酒も白砂糖もとらない(つまり日常で「酔う」ということをほとんどしない)私が、酔いました。圧倒的。試写で2回見ました。試写で2回見るほど入れ込む映画は1年に1本あるかないかですが、ひさびさ。もう一回見てもいいぐらい。

 それぐらい見どころ多いんです。話も複雑、キャラクターも多彩。シーンも見どころたくさん。最高にセクシーな俳優、ゴージャスな衣装。


 なんといっても、今回の魅力は、ゴッサム・シティという(NYをモチーフにしてはいるけれど)架空の都市であった舞台設定を、かぎりなくNYに戻していることです。作品の中ではもちろん「ここはゴッサム・シティだ」といっているんです。でも、映像は、あたかもNYが舞台であるかのように、NYシティをそのまま撮っている(ビルの上のチェース・マンハッタンの看板が映っちゃった映像なんかをそのまま採用している)。
 これによって、バットマンの世界は我々と背中合わせにあるんだよ、闇はもうすぐそこまで来ているんだよ、というリアル感が、じわじわと寄ってくるんです。
(映画の最初のシーンから摩天楼がばーーーっと空撮で映し出されます)


 ティム・バートンが「ファンタジー」を好むように、クリストファー・ノーランも「モダン」を好みます。ノーランは映画のタイトルから「バットマン」を抜いてしまったわけですが、本当にこの映画は、別に「バットマン」が出てこなくてもいいぐらいのサスペンス映画、アイデンティティ・クライシス映画になっています。「自分が誰かわからない」というテーマは、「メメント」のときから一貫して彼のテーマになっているわけです。

 
 キャストもまた「リアルでモダン」です。ブラッド・ピットもトム・クルーズもジョニー・デップもみないい男だけど整いすぎてどこか非現実的な世界を作ってしまうのに対し、スーパー・メジャーとはいえないクリスチャン・ベールは、NYCに本当にいそう。ハーヴィー・デント(ツーフェース)を演じるアーロン・エッカートも、本当にいそう。ハンサムなのに手の届く恋人候補という感じ。そのふたりに愛される女性がマギー・ギレンホールというのが、これまた現実的(いやそこだけは女のファンタジーか?) トロフィー・ワイフ的な美女ではない。井筒監督が「スパイダーマン」のヒロイン、キルスティン・ダンストを「ぶっさいくなヒロイン」とこきおろしていたが、マギーもいい勝負。
 モダンで悩むヒーローが出てくると、ヒロインは美女でなくなる。


 あ、もうひとり、「モダンで手の届くハンサム」忘れてた。ヒース・レジャーだ。これがすごい。アカデミーの候補に挙がっているらしい。
 この映画は年齢制限ついてないんですが、アメリカで公開されてから「暴力的すぎる、子供を連れて行って後悔した」という声が多数寄せられたとか。
 それは、血が飛び出たりするシーンは少ないのですが、ヒース演じるジョーカーの冷酷さが映画全篇を貫いていて、じとーっと冷たくなるからかと思います。
 そして、グロテスクなメイクアップのジョーカーはモッズ風の衣装を着こなしていて、ちゃんとモダンでスタイリッシュなのです。例の白塗りのメイクが、汗ではげ落ちたまま演技を続けているところは、これもまた現実的で、こういうサイコ・シリアル・キラーが本当にいそうだ、と感じさせる怖さがあります。


 はあはあ。。。。一気に書いてしまったが、なんか全然書き足りない。
 あと3回ぐらいメルマガ書かないと、「どうして癒しがあるのか」までたどりつかない(泣)


 なので大幅ショートカットして(とても残念ですが)、結論を述べますと、この映画は、「バットマン」みたいな珍妙な、そして残酷な世界が、私たちのすぐそばで、いや私たちの中で起こりえるのだということを、まざまざと見せつけてくれます。感じさせてくれます。
 そこには猥雑さがあり、混乱があります。でも、その混乱を排除しようと躍起になればなるほど、「闇」の世界は成長する。「排除したい」というネガティブさこそ、闇の最高の栄養だからです。
 だから、しばらくその猥雑さといっしょにいよう。その存在を認めてあげよう。バットマンの世界にいると、2時間、たっぷりそうすることができます。
 タイトルの「ダークナイト」は「dark knight 」闇の騎士ですが、「闇夜」とのひっかけでもあります。闇を感じて帰ってきたとき、なぜか私たちの心は、より一層平安を感じていることに気づくのです。

 その現象は、『闇の子どもたち』でも同じかもしれません。



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創刊日:2006-12-01  
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