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今週、いちばん癒せる映画!

毎週金曜日発行。「今週、いちばん癒せる映画」を選んで紹介します。発行者はいくつかの雑誌で映画評や自己啓発の記事を執筆しています。

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今週、いちばん癒せる映画! vol.63  『崖の上のポニョ』

2008/07/11

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 今週紹介するのは、来週、7月19日に公開される宮崎駿監督の新作、『崖の上のポニョ』です。
 ちらっとネットニュースで見たんですが、「ぽーにょぽにょぽにょ」という歌が、一度聴いたら耳に残って離れない現象になっているらしい。
 その通りです。完成披露試写に行ったら、開演前にずっとこの曲が流れていて、それだけで耳に残って残って、とても読書などには集中できなくなってしまい、廊下に出たものです。
 シンプル・イズ・ザ・ベスト。歌もシンプルならストーリーもシンプルです。そのシンプルなストーリーを圧倒的な作画の質の高さで乗り切った本作のもつ力は、今までの宮崎作品を超えるワールドワイドな力を秘めているかもしれません。「ハウルの動く城」って、結構難解でしたものね。


 とはいうものの、宮崎作品って、「エロス」だなあ、と、私は感じます。
 本作は、監督自ら「人魚姫」です、と言いきっちゃっているのですが、【「ライオンキング」は「ジャングル大帝」のパクリか?」論争】にとどめをさすものです。つまり、プロットなんてのは、そんなにたくさんあるものではない。問題はその解釈と世界観だということ。「白雪姫」にも「ヘンゼルとグレーテル」にも地方や語り手によってたくさんのバージョンがあるわけですが、宮崎バージョンの「人魚姫」は、アンデルセンによって語られた悲劇的な人魚姫(それもまたエロスですが)とは、まったく違うエロスを提供します。


「5年生の子供たちが『りぼん』や『なかよし』の愛や恋の物語を読んでいるのを見て、5年生の子どもたちが読む者はそれでいいのかと思った」というのが『千と千尋の神隠し』の製作動機だったと宮崎監督はいっています。
そして、次に作った『ハウルの動く城』では、わがままな少年と、老女との、エロスがあってないようでやっぱりあるような微妙な関係を描いています。


 次に監督が描いたのは、少年と少女のまっすぐなエロス。なに、エロエロいうなって? そっかなー。最後はちゃんとキスシーンなんだけどなー。


 それはお互いが「大切に思う」という感情のベクトルの先にあるものであり、「男と女の感情が、みんなこうならいいのに」と思わせる穢れのないもの。
 同時に、その感情が、自分の人生を舵とって生きていこうとする生命力と絡み合っているもの。
 興味深いことに、この映画の主人公、宗介は、5歳の子供なんだけど、両親のことを「パパ」「ママ」とは呼ばない。「りさ」「こういち」と名前で呼ぶ。このへんは、どれだけ意識しているのかしら。宗介は、5歳だけど、精神的にはすでに両親の庇護のもとにはいないのです。小さな身体の中にいる、成熟した魂です。

 一方、ぽにょは、魚という異形の中に魂を閉じ込められています。しかし、宗介の生命力に刺激を受けて、人間に、それも、人間を超えた超能力を持つ人間になってしまいます。

 この映画では、アンデルセンの人魚姫のような自己犠牲の精神は存在しません。「自己犠牲」と一応書いてみましたが(公式サイトには「キリスト教」と書いてあるのですが)、アンデルセンの人魚姫、って「ポニョ」と比べると、西洋の話のくせに、よっぽど「演歌」の世界のように思えます。「自分を犠牲にする代わりに、私の自己存在に気づいてね」ってやつ。うざーい。
 それに比べて、「ポニョ」の世界にはどこにも犠牲はありません。ひとと関わることで、人はますます強くなっていく。生命性とはそれです。エロスとは、本当はそれなんだと思います。


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