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恋愛講座 〜ふたまわり〜

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大学に通う主人公が、キャンパス内・バイト先で出会った女性達と・・。
一歩々々成長していく過程を描いています。



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最終発行日:
2011-07-02
発行部数:
13
総発行部数:
1764
創刊日:
2006-08-27
発行周期:
週刊
Score!:
-点

恋愛講座 〜ふたまわり・第三部〜 vol.1-19

発行日: 07/02

(十九)

二次会の場所は佐知子との間で既に相談済みで、高木の部屋に用意
してあった。
「帰ったよ!」と、母屋の両親に声をかけながら、新築の離れに高
木が皆を誘い入れた。

「お邪魔しまーす!」と、それぞれに声を出しながら十二畳ほどの
部屋に入った。
「ほぉー、これは広いゃ。台所もあるし、奥が寝室かな?これなら、
いつでもOKじゃんか。」

田口正夫が、高木に対しニヤリと笑いながら問いかけた。彼には何
のことか解らなかったが、佐知子が頬を赤くしていた。
「いやいや、ミタライ君は知らないだろうがさ。実は、高木と佐知
子はいい仲なんだよ。」

広尾が、怪訝そうな顔の彼に小声で教えた。
「えぇっ!そうなんだ。そりゃあ、おめでとう!」
「うん、まあね。来年辺りにはと、思っているけどさ。」

頭を掻きながら、高木が答えた。佐知子は、顔を赤くしたまま俯い
ていた。

「実の所、俺も出るつもりだったんだょ。農業なんて嫌だったしさ。
で、落ち着いたら佐知子を呼ぶつもりだったんだけど、こいつがど
うしてもダメだなんて言うもんだから。」と、佐知子の頭を軽く小
突いた。

「何言ってるの。待ってるかどうかわかんないって、言っただけじ
ゃない。」と、佐知子は口を尖らせた。
「おいおい、痴話喧嘩はいいよ。それより、飲もうぜ。」
「そうだよ、早く座ろうぜ。」
母屋から運んできた座敷机に、銘々勝手に座り込んだ。

「それはそうと、ミタライ君もなんだって?早苗ちゃんを、許嫁に
したって言うじゃないか。羨ましいぜ、この色男が。」
田口が、その矛先を彼に向けてきた。皆の視線が一斉に、彼に注が
れた。

「止めてくれよ、そんな。全く知らない内に決められてて、困って
いるんだから。」
「何を言ってるの。いい娘よ、早苗ちゃんは。」
ビールをコップに注ぎながら、佐知子が言った。

「そうだぜ、全く。結構モテるよ、早苗ちゃん。ミタライ君こそ、
早く戻って来いよ。誰かに取られちゃうぜ。」
高木のそんな言葉を、田口が引き取った。

「俺のタイプなんだけどなぁ、早苗ちゃん。きっとスタイル抜群に
なるぜ、楽しみだョ。」
「こらこら、俺だって狙ってるんだゾ。」
酔いの回った顔で、広田がぼそぼそと呟いた。

「こんばんわぁ、遅くなっちゃってぇ。」
「盛り上がってるぅ?」
女性二人が、揃って入った来た。

「おぅ、これからだぁ。上がれょ、早く。乾杯するぞ、また。」
「じゃ、改めて。ミタライ君、お帰りなさーい!」
佐知子の音頭で、皆コップを上げた。

「恥ずかしながら、御手洗武士は帰って参りましたぁ。」
おどけながら彼が答えた。一斉に拍手が起き、その後ググーっと一
気に飲み干した。

「さあ、どんどん食べて飲んでくれよ。」
「はあーい!お腹空いたぁ。」
照子の素っ頓狂な声に、一同大笑いした。

「ねぇねぇ、さっきさぁ。”狙ってる”なんて言ってたけど、何のこと?」
照子が、真っ赤な顔の広尾に問いかけた。真理子も
”うん、うん。”と相槌を打ちながら、
「私も、知りたーい!」と、隣の石貫の脇を肘でつついた。

「知らざぁ言って聞かせやしょう!我らがマドンナ、早苗のことだ
ぁさ。」
やおら立ち上がった石貫は、身振り手振りを大げさに声を張り上げ
た。

「早苗ちゃんのことぉ?そうそう、ミタライ君婚約したんだって?
ショックだわぁ。」
真理子の声に続けて、
「そうよ、許せないわ!私と言うものがありながら。」と、照子が
おどけながら泣き崩れる仕種を見せた。

「やめてくれよ、もう。昨日聞いたばかりで、弱ってるんだから。
第一、早苗は妹みたいなものだから。そんな恋愛感情なんて、無理
だよ。」と答えはしたものの、昨夜の夢が彼の脳裏に浮かんできた。

一糸まとわぬ裸体の早苗だった。中学生とは思えぬ胸の膨らみ、く
びれたウエスト、スラリと伸びた足。茫然とする彼に、
”全部お兄ちゃんにあげる。”と、早苗が言い放った。

後ずさりをする彼に、一歩一歩近づく早苗だった。彼の背が壁に当
たり、逃げ場が失くなった。早苗が彼の眼前に来た時、母親の声で
目が覚めた。もしその時、母親の声がなかったら・・。考えたくは
なかったが、理性を失った彼だったかもしれない。

「そうか。じゃぁ、俺の嫁さんになって貰おうかな。」
石貫が突然に、宣言するが如くの言葉だった。顔は笑ってはいるが、
冗談とも思えない口調だった。

彼の心の中に、何故かしら割り切れぬ思いが出てきた。石貫だから
ではなく、自分以外の男と付き合うことが考えられなかった。

”妹の付き合う相手が気になるのは、兄として当然のことだ。”
そう自分に言い聞かせてはみたが、それが誤魔化しであることは彼
自身がよく分かっていた。

「こらこら、ここに若い女性が二人も居るんだぞ。」
佐知子の声に、”そうよ、そうよ!”と、照子が二人を睨みつけた。
「で?ミタライ君、向こうで彼女は出来たのか?」

高木が、彼にビールを勧めながら聞いた。そのビールを喉に流し込
みながら、
「うん?まあ、それらしき人は、ね。」と、貴子を思い浮かべなが
ら答えた。

「どんな人?白状しなさい!」
照子が、彼の腕をつねった。
「痛い!わかったよ。だから、もう止めてくれよ。」

酔いの回った彼は、デパートでのアルバイトのことから話し始め、
麗子そして貴子の話を始めた。しかし、ユミのことは話せなかった。
やはり、ホステスであることが気に掛かっていた。女性達の軽蔑を
受けるような気がして、躊躇されたのだ。

「そうかぁ、俺も出たかったなぁ。何が悲しくて、毎日々々を豚相
手に格闘しなけりゃいかんのだぁ!」
養豚場を営んでいる田口は、座敷机をドンドンと叩きながら吠えた。

「僕だって、出たかったさ。農協の職員なんて、つまらん仕事だよ。
爺ちゃん婆ちゃん相手ばっかりで。」
広尾がボソボソと話した。心なしか、涙声になっていた。

「おいおい、又始まったよ。広尾は泣き上戸なんだ。田口は怒りっ
ぽくなるし。全く悪い酒だぜ。」

「こらっ、高木!お前は、良いよ。佐知子が居るからな。俺なんか、
真理子に振られるし、最悪だぁ。なあ真理子、俺の恋人になってく
れよぉ。」

田口はふらつく足で真理子の後ろに回ると、頭を畳にこすり付けて
哀願するように言った。

「止めてよ、田口君。こんな所で言わなくてもいいでしょ、もう。
そう言うデリカシーさが無い所が嫌なの!それに、何かというと”
キスしたい!”とか”抱かせろ!”じゃないの。」
真顔で怒り出した真理子に、佐知子が同調した。

「そうなのよ、高木君もなの。どうして男共はこうなの!女の気持
ちなんか、全然解ろうとしないんだから。照子、そう思わない?」
突然振られた照子は、まごつきながら広尾を盗み見しながら口ごも
った。
「わ、わたしは・・。好きな相手なら・・、いいけど・・。」
「ちょっとぉ、照子。あんた、ひょっとして広尾君と・・、そうな
の?広尾君。」

呆気にとられた表情で、佐知子が二人を交互に見た。広尾は、頭を
掻きながら
「ごめん!今年の初詣の帰りにさ。照子!黙ってる約束じゃない
か。」と、呟くように答えた。

「全くまぁ、虫も殺さぬような顔して。一番遅いと思ってた二人が。
あーぁ、私だけ取り残されたのか。ねえ、ミタライ君どう?私と。
ミタライ君はまだでしょう?」
甘えるように真理子が、彼の首に手を回してきた。

「おいおい、田口君に悪いよ。睨んでるぜ、彼。」
彼はゆっくりと、真理子の手を外した。真理子の胸の感触が心地よ
く感じられ、満更でもなかったのだ。酒の酔いも手伝い、悪い気は
しなかった。

「あぁ、くそぉ!俺はここを出るぞ!豚の世話なんて、やってられ
るか!休みも取れないなんて、冗談じゃないってんだ。なぁ、ミタ
ライよぉ。都会じゃ、女の子は・・」

「ストップ!それ以上は、言うなよ。田口君の言うようなことは、
無い!断言できる。あれは、週刊誌が面白おかしく書いてるだけさ。
ほんの一握りの女性だけだよ。テレビなんかで騒いでいる女子大生
にしても、口だけさ。そんな話、大学の中では笑い話だよ。」と、
田口を慌てて制した。

これ以上、性に関する話題が続かないようにしたかったのだ。ユミ
とのことを口にしない自信がなかったのだ。自慢話が嫌いな彼は、
高木に話を振った。

「だけど、高木君。実際の所どうなの、農業は?若者の流失は多い
んだろう?」
「あぁ、多い。ここだけの問題じゃない。日本全国全てだろう。」
眉間にしわを寄せながら、居住まいを正した。

「確かに、田口の言うとおりだ。年中無休だ。手を抜くことは簡単
さ。だけど、何ヶ月か先にしっぺ返しが必ず来る。今のやり方じゃ、
お先真っ暗だ。親父達は、”仕方が無い。国の政策の誤りだ。”な
んて逃げてるばかりだ。そうじゃないんだ。」

間を置くようにビールを飲み干すと、一気にまくしたてた。
「新潟の方で、株式会社方式の農業を始めたという話だ。俺も考え
ていたことなんだが、先を越されたよ。

農家だって、サラリーマンになって悪いことは無いはずだ。耕作面
積を大きくして、もっと効率的に機械を使うべきなんだ。一軒毎に
機械を持つなんて、非効率すぎる。

確かに、田植えにしろ刈り入れにしろ時期があることは事実だ。だ
からこそ、耕作面積を大きくすべきなんだょ。本来なら、農協が音
頭をとるべきなんだがな。広尾、お前の仕事だぞ、これは。」

「そうは言ってもなぁ。俺みたいな若僧の提案なんか、歯牙にもか
けてくんないよ。」
背を丸めたまま、広尾は口を尖らせた。

「いいさ!後十年、いや五年か、その頃には大事になるぞ。その時
にこそ、俺達の提案が日の目を見ることになるさ。それまでは勉強
だ、なぁ田口。」

高木のそんな言葉にも、田口は耳を貸さなかった。
「俺は嫁さんが欲しい!サラリーマンになりたい!小綺麗な団地に
住みたい!真理子ぉ、嫁さんになってくれよぉ。」

日本酒を飲み続けていた田口は、殆ど泥酔状態になっていた。畳に
頭をすりつけて、本気とも冗談とも付かぬ体でいた。

「そうかぁ、そんなに深刻なんだ。知らなかったょ、うーん。」
のんびりとした時間の中での生活を思い浮かべていた彼には、ショ
ックな彼らの言葉だった。

「深刻らぁ?バハヤホー!ミハライ、おまへらってそうなんらよ。
ひらないのか、おまへのらい好きなおははあんの苦労を?」
呂律の回らなくなった田口の言葉だったが、一瞬皆の顔色が変わっ
たことから何やらとんでもない問題が起きていることを感じた。

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発行者プロフィール

postman

postman

http://book.geocities.jp/toppy_0024/index.html

遅れてきた新人、postmanです。高校時代に夢見た小説家。今、アマチュア小説家としてかなりの作品を執筆及び執筆中です。