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小劇場演劇やダンス、パフォーマンスを取り上げるレビュー&ニュースマガジンです。このマガジン版とwebサイト「ワンダーランド」で現代日本の舞台芸術の流れを伝えます。

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週刊マガジン・ワンダーランド 第236号

発行日:4/13

【目次】
◇荒川チョモランマ「偽善者日記」
◎熱が伝わるとき―偽装とベタの間で
 梅田径
◇劇場企画「芸術創造環境はいま−小劇場の現場から」
 第8回 鳥の劇場主宰 中島諒人さん
◎地域や社会に必要とされる劇場とは
◆2011年度ワンダーランド支援会員を募集!
◆「クロスレビュー・挑戦編」5月公演応募受付中(4月15日締め切り)


□web wonderland から============ http://www.wonderlands.jp/

◇NODA・MAP「南へ」
 分からないことにチクッとする自虐的嗜好への思慕
 岡野宏文
◇高嶺格「Melody Cup」
 民主主義的演出へのアンビバレンス
 竹重伸一(舞踊批評)
◇ジエン社「スーサイドエルフ/インフレ世界」(クロスレビュー挑戦編第3
回)
◇F/T11公募プログラム国内参加7団体決まる
◇演劇セミナー2011追加募集を締め切りました
◇【レクチャー三昧】何のために学ぶのか
◇青年団若手自主企画「不機嫌な子猫ちゃん」
 見えるものは「男の性」 「母と娘」の世界の中に
 金塚さくら
◇カンパニーデラシネラ「あらかじめ」(TOKYO DANCE TODAY #6)
 イメージの連鎖で紡ぐ、俯瞰と詳細で描いた夢のおはなし
 田中伸子
◇KUNIO08「椅子」
 舞台の中心で『婦人』は怒る
 鴨下易子
◇相馬千秋F/Tプログラムディレクターインタビュー


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荒川チョモランマ「偽善者日記」
◎熱が伝わるとき―偽装とベタの間で
梅田径

 劇場MOMOに足を踏み入れれば、舞台中央に鎮座まします螺旋階段のデカ
さに度肝を抜かれ、同時に不安も覚える午後四時前。荒川チョモランマ『偽善
者日記』の観客席は千秋楽を控えてほぼ満席である。
 まず諸注意と主宰の挨拶があった。続いて、元気いっぱいに「エアロビを披
露いたします!」の号令がかかるやいなや、俳優たちが満面の笑顔で、舞台い
っぱいにあらわれた。モーニング娘「恋愛レボリューション21」のリズムにあ
わせて軽快かつ爽やかなエアロビが始まるも、センターに陣取った男の子は階
段に足を取られてうまく踊れないようだ。センターのタコ踊りに主宰がぶちギ
レ、舞台にあがって説教をはじめたかと思いきや、あかりが落ちて暗転した。
 再び照明がつくと、エアロビの時とまったく同じ姿勢で、スーツ姿の男性が
上司の女性に怒られている……。

 劇の始まりだ。

 三幕で構成される『偽善者日記』は構えの大きなこしらえの演劇である。
 好景気から不景気への転換が起きた八〇年代から一〇年代までの、親子二代
の年代記であり、フィクションのメタ性やモデルの問題を扱う虚構論としても
読める。SFでもあり青春群像劇でもあるけれど、ゆがんでしまった家族像の
ねじれを兄妹が解消してゆく「家族劇」としての性格が色濃く存在している。

 第一幕は、たぶん八〇年代。好景気のあの頃が舞台だ。幸福とチャンスの洪
水にみなが浮かれていたその時代、T大卒のジュンヤ(加賀美秀明)は長年の
夢だったJAXAへの就職に失敗し、文系就職で電気メーカーの営業についてい
た。しかし、やる気も能力もなく仕事はミスばかり。そんなジュンヤはひょん
なことから幼なじみのクミコ(荒木昌代)と再会し、友人のヤス(山本恭裕)
に背中を押され長年秘めていた思いを伝えることに成功する。二人はまもなく
結婚し、双子のかわいい娘も生まれ順風満帆な日々が始まると思っていたその
時。

 ジュンヤはリストラに遭う。

 時代はバブル崩壊後の不景気。家には双子の姉妹、レナ(妹/三輪友実)と
ハナ(姉/吉武奈朋美)がいて、父の帰りを待っている。妻にも子供にも、リ
ストラされた事実を告げることができなかったジュンヤを双子の笑顔が追い
詰めていく。だがジュンヤの「やり直し」はことごとく失敗してしまう。就職
活動はうまくいかず、あげくに手を出した競馬にも負け、五十万円の借金すら
返せずに借金取りに追われる生活が続く。
 彼にさらなる悲劇の追い打ちがかかる。娘のレナに重い心臓病が発覚するの
だ。手術の費用は三〇〇〇万円。ジュンヤは絶望の故か借金の故か、家族の前
からその姿を消したのであった……。

 バブル時期のトレンディドラマ的な発想やゼロ年代的なカルチャーなどの
複数のレイヤーを巧みに取り入れ、元気いっぱいに踊って見せる場面と静的な
場面の対比など、さまざまな演劇的手法がてんこもりの楽しい舞台だ。ストー
リー展開の速さと巧みさに舌を巻く第一幕のリズムはそのままに、双子の妹で
あるレナを主人公とする第二幕から物語は加速度を増して展開してゆく。父の
夢を追って宇宙開発の道を選んだ優秀な姉への嫉妬と劣等感。恋愛の苦悩や絶
望。レナが悲しみや自己憐憫の連鎖から立ちなおり、他者への愛に気づいてい
く姿を描いて、幼稚園、小学校、中学受験、大学、メイド喫茶から芸能界まで
舞台を広げながらジェットコースターのように物語が展開してゆく。
 だから、自然と俳優たちの演技もドラマチックで大袈裟なものとなるのだろ
う。コントのように大胆な動作と、感情のたっぷりこもった悲鳴や怒号。泣い
て笑って愛しあう、喜怒哀楽のはっきりした演技と演出を支えるのが、舞台中
央に鎮座まします巨大な螺旋階段だ。東京タワーの屋上になり、ダンスの舞台
になり、アパートの二階になる。空間の上下を表すだけではなくて、時には椅
子や、人が隠れるスペースにもなる。人生の隆盛だとか人間関係の上下、一緒
に生まれても、いつか違った存在になってしまう姉妹の残酷さなんかを表して
いて、せわしなく俳優たちが上下する。大胆で斬新な身体表現があるわけでは
ないし、台詞回しが独特なわけでもない。でも、ストーリーの展開も、舞台の
明るさも、やさしさにあふれたメッセージもどれもこれもがバランスよく配置
されて楽しい気分になってくる。

 本作の最大の魅力は、物語の中で生きる人の描き方の力強さにある。
 物語性の強い演劇においては、人の挫折や栄光や成長に観客の目と心が奪わ
れる。『偽善者日記』には、演劇という人生の写し絵が観客を素直に感動させ
て「すばらしかった!」と、叫びたくなる火力があった。脚本の構成力と持続
力が強くて、観客が物語に感じる原初的な喜びを与えてくれる。そして舞台に
注ぎ込まれた熱がある。演出も時代がかっているけれど悪くないし、照明や音
楽の使い方も悪くない。人の不器用さを表す、沈黙と間の取り方もよかった。
ハリウッド的な定型を感じさせつつも、定型に飲まれないぞという気概も感じ
させる。人と人との、複雑で時に悲しい関係になってしまう機微を描き出す感
性もいい。

 けれども、この芝居の一番の大仕掛けで、しかも本当は一番推したかったで
あろう偽装劇的な仕掛けは僕にとってはあまり面白くなかったのだった。
 『偽善者日記』の売り文句である嘘と騙し=偽装劇の、ほとんどのツボは第
三幕で展開される「第一幕と第二幕が実は作り話だったかもしれないし、実話
なのかもしれない」という兄と妹のスリリングなやりとりにあることは、はっ
きり書いておいていいだろう。第三幕は動的でドラマティックな先の二幕と違
って、作家の兄(加賀美秀明)と妹(椎谷万里江)の出生の秘密や家族との葛
藤や軋轢を巡る「静かな演劇」である。第二幕でのダンスあり恋愛劇ありのス
ペクタクルと対照的な、第三幕の対話劇は長文の蛇足のように感じられてしま
った。
 第三幕の冒頭で、まず第一幕と第二幕が虚構の作中世界であった可能性が示
唆される。第二幕は兄である落ちぶれた作家が書いたライトノベルの作中世界
でしかなかったようなのだ。明確には示されないが、第一幕はその作家が書い
た処女作であり、兄妹の父の日記をモデルにしていた可能性を巡って、兄と妹
が激しく対立するという仕掛けになっている。
 作中世界だったのかもしれない第一幕、第二幕は、恥ずかしい台詞や演出の
オンパレードである。ベタベタなビルドゥングスロマンである。でも荒川チョ
モランマの『偽善者日記』はそういう恥ずかしいところで人を思いきり泣かせ
て笑わせることができる作品だったのだ。詩的に飾った言葉や斬新な身体表現
がなくても、まっすぐでストレートな言葉や優しい振る舞いが、思いの質感や
手触りを伝えてくることが何度もあったし、その手触りがこの舞台の魅力だっ
たのだと僕は信じたい。
 全編を通していちばん興奮したのは、やっぱりなんといっても二幕を彩る俳
優たちの力だったし、それを引き立てるストレートなプロットや演出の強さだ
った。双子の姉妹、レナ(三輪友実)とハナ(吉武奈朋美)は、幼稚園児から
大学生までの十数年を心の成長と共に体現する。アイドルグループを結成する
メイドカフェのリーダーであるメアリ(あに子)の存在感は舞台全体の中でも
ひときわ注目したくなるし、メアリとレナの恋人で、恋愛依存症のダメ男であ
るケイスケ(佐藤幸樹)は、ダメ男っぷり全開なのにまったく憎めない。メイ
ドカフェに入り浸りアイドルグループに熱を上げた挙句にテロにまで走るタ
ケ(近藤伸哉)も気持ち悪くて最高に好感がもてる。俳優たちが繰り広げるダ
ンスやファッション、ちょっとしたジョークや演出が物語を下支えしていたけ
れど、それら一つ一つが輝くのは細やかな芸や気配りの気持ちよさだけではな
くて、物語の芯がシンプルで少し残酷なビルドゥングスロマンだったからとし
かいいようがない気がする。荒川チョモランマにしかできない軽やかで鮮やか
なで楽しい舞台から伝わるあたたかさに、観客もじんわりと体温をあげたくな
る。その魅力。この温かさをもっと追求してほしかった。そういう演劇を作り
出せる素敵なカンパニーなのだから。

 ただ、こんなふうに評してしまうのは東日本大震災の影響があるに違いない。
まだ終わっていないこの震災の一番最初の地震の日。3月11日に僕はこの『偽
善者日記』を観ていた。チラシには「《東京公演》2011年3月11日(金)〜
14日(月)」とはっきり書かれているのに、『偽善者日記』の台本の奥書には「3
月18日」と延期になった再公演の日付が傷跡のように記されている。3月11
日から18日までの間に台本が少しでも変わったのかは分からない。大阪の公
演と東京の公演に違いがあったのかも、少し興味はあるけれどわからない。
 けれども、18日の再公演の時には、地震に対するメッセージが一枚、折り込
みのチラシに挟み込まれていた。

 11日から18日までの7日間という期間がどういう時間だったのかは今でも
よくわからない。ほんの数日とも言えるし、長い一週間でもあった。多くの人
が生きるとか死ぬとか日常とか電力とか原発とか食料とか、ACのコマーシャ
ルばかりのテレビとか、いままで考えたこともなかったような様々な事柄や事
態に翻弄されて訳が分からなくなっていたときでも、演劇は落ち込んでいた観
客に何かのメッセージを一番最初に込めなければならなかった。
 そんな観客たちに『偽善者日記』はきちんとメッセージを届けていたんだ。
もし、地震がないままに『偽善者日記』を観ていたら、きっと僕は三幕構成で、
うまく嘘をつこうとする努力を褒めただろうし、一つの物語をさまざまな工夫
で多角的に見せようとする構想の「巧みさ」を褒めたかもしれない。けれども、
地震の後ではそれをうまく褒める言葉がみつからなくなってしまった。現実が
想像を少しだけ追い抜いていったような、何かに置き去りにされたような気分
のなかで、僕はそういう見方をどうしてもしてしまうのだけれど、震災から一
週間という短い期間に、荒川チョモランマが折り込みチラシに含めたメッセー
ジは舞台の上で体現されていた。「元気出せよっ」て。それが一番凝縮されて
いたのは、『偽善者日記』が見せる、人の生き方が発する熱量を舞台の上で爆
発させて、なんだかとてもいい気分になる演劇だったのだし、それこそがあの
時あの瞬間に、僕が演劇に期待してしまったものの一つではあった。それに力
強く応答してみせた『偽善者日記』は、ただのベタな、よくできた演劇では終
わらない強さをもっていたよ。

【筆者略歴】
梅田径(うめだけい):1984年生。早稲田大学大学院日本語日本文学コースの
博士後期課程に在籍中。

【上演記録】
荒川チョモランマ 愛とさすらいの旅公演『偽善者日記』
http://arakawachomolungma.web.fc2.com/index.html
【東京公演】劇場MOMO(2011年3月11日-14日)※大地震発生により公演
中止。(2011年3月18日-20日)※延期公演
作・演出:長田莉奈

出演
加賀美秀明(青春事情)、荒木昌代(THE☆メンチカツ成)、山本恭裕(劇団
東京ペンギン)、三輪友美、吉武奈朋美、あに子、佐藤幸樹(てあとろ50')、
寺尾みなみ(劇団東京ペンギン)、近藤伸哉(てあとろ50')、石井由紀子、椎
谷万里江(拘束ピエロ)

スタッフ
舞台監督:桜井健太郎
美術:三井優子
照明:山内祐太
音響:カゲヤマ気象台(sons wo:)
衣装:あに子
小道具:兼桝綾
演出助手:相川春樹 

プロデューススタッフ
宣伝美術:サノアヤコ
WEB:吉武奈朋美
映像協力:木下幸太郎
制作協力:田中祐太
制作:本山紗奈

【大阪公演】一心寺シアター倶楽部(2011年3月5日-6日)


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◇劇場企画「芸術創造環境はいま−小劇場の現場から」
 第8回 鳥の劇場主宰 中島諒人さん
◎地域や社会に必要とされる劇場とは

 今回は、再び地方へと足を延ばし、寄稿者の藤原ちからさん(フリー編集者)
とともに、鳥取の鳥の劇場を訪ねました。廃校を活用したこの劇場では、演劇・
アートを通して人々と多様なかかわりをもとうと、秋の「鳥の演劇祭」をはじ
め、一年を通して多彩なプログラムが展開されています。また鳥の劇場は、劇
場名であるとともに創作集団の名前でもあるというところもユニーク。主宰で
演出家の中島諒人さんに、お話をお聞きしました。(編集部)

▽フルタイムの演劇人として

−このインタビューでは、どんな環境で舞台作品が作られているかを、現場の
方からお聞きしています。まず中島さんのプロフィールをうかがいたいと思い
ます。演出家で、鳥の劇場の主宰をなさっていますが、これまでの経緯をお話
しいただけますか。

中島 僕はもともと東京で活動していました。2003年に、利賀村の利賀演出
家コンクールで最優秀演出家賞を頂いたのがきっかけで、2004年10月から静
岡県舞台芸術センター(SPAC)に行き、その契約は2006年3月までだったの
で、その後、どうしようかと考えました。東京で演劇をやっても、パートタイ
ムの演劇人にしかなれない。僕は、静岡で初めて、演劇だけで生活するという
体験をしましたが、その生活を続けたいと思いました。
 そのためには、お金の問題は当然重要。経済的に自立するには、ひとつの方
法は、商業的にチケット収入だけでペイできる体制を作るということですね。
それはある意味では理想かもしれないのですが。でも、日本の演劇を取り巻く
トータルな環境の中で、これこそが演劇の現代における存在理由だというもの
を追求していったときに、チケット収入だけやっていくのは、おそらく難しい
だろうなという判断がありました。そうすると、公的な助成ということを、あ
る程度頭に置きながら考えなくてはならない。公的な助成が、活動の根幹を支
えられるくらい安定して得られるためには、劇場が、社会にとって必要なもの
でなければならないだろう。
 では、社会の中で劇場が必要だというシナリオが考えられる場所はどこかと
いうと、それは大都市ではないだろうと思ったんですね。グローバル化の中で、
経済的な意味も含めて自分たちの地域の生き残り方に万策尽きた感のある田
舎の方が、やったことが目立つだろうと思ったんですよ。じゃあ、出身地の鳥
取で活動の拠点を探してみようと。鳥取は人口最小県でもあり、押しも押され
ぬ田舎なので(笑)。
 場所と言ってもなかなかないんですが、ある程度大きい所となると、廃校が
候補に挙がってきます。で、行政の方にもお願いし、いろいろ探してみて、こ
の場所に出会った。初めは、幼稚園の方だけ借りることになっていたんです。
今はスタジオと呼んでいる、元は遊戯室のスペースも、大きさとしてはそこそ
こあって、とりあえずこれでもいいかなとも思っていたんですが、すぐ横に体
育館があったので、どうせやるならそっちでやろうかなと。それで2006年の
9・10・11・12月の第三土曜・日曜に、連続して違った演目をやるという企画
を立てて、活動を始めたんです。
 その頃は、今みたいにフルタイムでやりたいとは思いつつも、でもどうやっ
たらそんなことができるのか、分からなかった。ですが、劇団のメンバーも、
場所があって誰にも邪魔されずに稽古が集中してできるということにすごく
魅力を感じてくれて、とりあえずスタートを切りました。
 で、9月から11月まで、元体育館の劇場で上演し、12月は寒いので、元遊
戯室でやりました。4か月やってみて、面白いんだけど金がないよな、という
話になり、そのあたりから、だんだん資金調達のことなんかを考え始めて、と
いうことです。そこから先もさらに長い話になるんですけど(笑)。
 初めは、ともかく自分たちの芝居づくりのことしか考えてなかったんですが、
活動していく過程で、どうも、私たちがこの場所で手の中に持ちつつある可能
性っていうのは、劇場という「場」の可能性だな、ということに気づくんです
ね。じゃあ、ということで2007年秋から〈創るプログラム〉〈試みるプログラ
ム〉〈いっしょにやるプログラム〉〈招くプログラム〉の四つの活動の柱を立て
て、劇場として、地域の中に存在することの価値を探していこう!と。活動の
目的をシフトしていくっていうか、そういうことも視野に入れるようになって
きました。
 もちろん芸術団体ですから、つくるということは柱なんだけれど、それだけ
だと、初め考えていたような「地域の中で劇場が必要とされる」ということに
はならないだろう。すごくシンプルに言えば、外から一般の人がこの場所を見
たときに、「ああ、あそこは演劇好きな人が演劇を作って、演劇好きな人が見
に行く場所だよね」だけの認知になってしまってはいかん、そうならないため
にはどういう活動をしていくべきなのかっていうことを、2007年くらいから
考え始めました。その流れの中で2008年に第1回の鳥の演劇祭というのを行
って、だんだん海外との交流も増えてきて、ということですね。その流れの中
で、僕は肩書きで言えば「芸術監督」をやっています。
 僕はここを、劇場を通じての社会実験の場だと思ってるんですよ。演劇・劇
場という文化を使って、どのように社会と化学反応を起こし得るかということ
を、最近は考えて活動しています。

▽創造集団であり続ける

−このシリーズで今回は8回目。これまでお話を伺った中には、劇場運営のプ
ロであっても、つくり手ではないという方もいらっしゃいました。現役の演出
家としては、せんがわ劇場のペーター・ゲスナーさんに次いでお二人目なんで
す。中島さんは迷いなくずっと現役で活動を続けていらっしゃるんですね。そ
れはひとつの基軸になっているということですか。

中島 はい。そうですね。
 それも、いくつかの面があるのですが、例えば国立劇場・県立劇場など公立
の劇場の場合。僕は最近よく軍隊にたとえるんですが、正規軍は、アメリカの
軍隊にしても、日本の自衛隊にしても、戦う相手がいなくても、戦争があるか
もしれないということで存立の根拠がありますよね。「日本は文化国家なんだ
から」とか「地方都市にも文化が必要なんだから」という、誰も反対できない
大義名分があれば、そこで存立の根拠が与えられます。
 しかし、我々は正規軍じゃなくて、ゲリラなんですよね(笑)。ゲリラの場
合は常に戦う相手が具体的にいるんですよね。あるいは、戦う相手を見つけて
いかなければならない。私たちの生活状況において何が敵かということを見定
めて、それと戦っていかなければならないという側面がある。ゲリラだから資
金も限られているので、いろんなことを創造的に分担しながらやっていかなけ
ればならないという側面も。
 ですから、私たちが何をやるべきかを発見していくためにも、私たちは創造
集団でなければいけないと思っているんですよ。私自身も、演出家としての活
動で、演劇を通じて地域社会に対して何ができるかということを常に考えなく
てはならないし、つくる過程を通して発見されることがすごく多いので、それ
はしなければいけないし、したいとも思っているということです。他の俳優や
技術スタッフ、制作スタッフなども含めて、やっぱりつくるという仕事抜きに
うちの劇場は考えられないというところがあるんですよね。
 劇場だからこういうことをしていればいいとか、劇場だからこういうことは
やらない、という発想は基本的にはありません。「あ、何か匂いがするな」と
思うことをいろいろやってみる中で、「ああ、このことの価値はこういうこと
だったから、次にはもう少し形を変えてこんなふうにやってみよう」とか、「こ
のことは匂いがするからやってはみたけど、この次は止めよう」とか。そんな
ことをいろいろ試行錯誤してやっているところで、それでいろんなことをして
いるように見えるのかもしれません。常に社会との関係の中で、本当に何が価
値があるのかを探そうとしている試行錯誤の過程だと思います。

−こちらにおられるみなさんは、スタッフとお呼びすればいいんでしょうか、
劇団の方とお呼びすればいいんでしょうか。

中島 基本的には、仕事が役者であれ何であれ、劇場のスタッフですね。

−全部で何人いらっしゃるんですか。

中島 私を含めて14人です。内訳は、俳優8名、演出家1名、音楽家1名、
制作および技術スタッフ4名。鳥取出身者が3名です。

−みなさん、劇場スタッフでもあると。

中島 はい。仕事の分担はだいたい決まっていて、お芝居をつくるときは、役
者、テクニカル、アドミニストレーションと分かれます。自分たちの作品を上
演するのではない企画の場合は、その作品につくテクニカルがいて、あとは基
本的にはアドミニストレーション、つまり管理系の仕事、広報、財務などの仕
事ですね。

−では、かなりフレキシブルに、各自がいろんなことをなさるんですね。

中島 そうですね。一人二つくらいは主な仕事がありますね。

−この方たちは、創設された2006年の時点から集まっておられるんですか。

中島 創立メンバーは何人だったっけ、10人くらいだったと思うんですけど
(笑)。大半が創立の頃からずっといますね。

−みなさん「社員」ということなんですか。

中島 正確には、契約の形態としては給与ではなく報酬です。だから、導入し
たいと思いつつ、まだ社会保険なんかもないんですが。そういう意味では社員
というのは変ですね。

−アルバイトではなくフルタイムですよね。契約社員ですか。そういう雇用形
態はなんと言えばいいんでしょうか。こちらの組織は…。

中島 NPOです。ですから、そういう文脈から言えば、NPO法人の職員です
ね。

▽スタッフの経済的基盤を確保したいが 

−こちらの劇場の年間予算が6000万円くらいとか。

中島 ええ、去年2009年の数字で、だいたい6000万円から6500万円くらい
です。

−そのうち入場・参加料が600万円くらいなんですか。あとは、ひと口5000
円のサポーターシステムからの収入と、それ以外はどういうものでまかなって
おられますか。

中島 サポーター寄付金が500万円弱。あとはまず、私たちの劇団がどこかに
呼ばれたときの上演料。それから、鳥の演劇祭なんかは実行委員会形式で、実
行委員会から鳥の劇場に対して委託ということになるので、その委託料ですね。
そして、助成金、補助金。文化庁とかアサヒビール芸術文化財団、セゾン文化
財団などから入るお金です。

−2009年度活動報告書には、事業と運営にかかった6000万円のうち、主な財
源は、入場料・参加料が約9%、上演・事業の企画運営に対する委託料が約36%、
サポーター寄付金約7パーセント、各種助成金・補助金約44%、支出のうち、
劇団メンバーにかかる人件費の割合は約40%とありますね。

中島 普通の財団などでは、人件費は最初から枠としてあって、その上に事業
費を乗せることになりますね。ですから補助金などを得られると、事業費に充
てることができます。でも僕らの場合は、毎年資金調達がゼロからなんですね。
 ですから本当を言うと、今の事業費6000万円というのを最低でも1億円に
したいんです。そうなると、スタッフに報酬として、平均年収350万円から
400万円という金額を払えることになりますので。何とかそうしたいのですが、
残念ながら今の我々を取り巻く環境では、1億円に到達する手段が見えないん
ですよ。そこをどうしようかなあと、いろいろ苦心しているところです。

−ただ、今は、中央・地方を問わず経済的に厳しい中で、地方の民間の劇場と
して精力的に活動なさっていて、こういう数字を拝見すると、大変うまく運営
されているんだなあとお見受けするんですが、いかがですか。

中島 ある意味では、その通りだと思います。東京の民間劇場なんかが非常に
難しい状況にあると聞くにつけ、地方での活動ということで、いろんな方から
積極的にご理解をいただき、ご支援いただいているところは、紛れもなくある
と思います。
 でも一方で、うちのスタッフなんかは、1日12時間以上働き、週に1回休み
があるかないかで、年収は200万円に届かないんですね。それでいいのか?(笑) 
日本のよくある見方では、好きなことをやっているんだから、それでもいいじ
ゃないかって言われるんですけど。確かにそうだ、ありがたいことです、あり
がとうございます、なんだけど(笑)。
 やっぱり、僕が願うのは、何度も申し上げているように、社会の中でそれが
必要だということがちゃんと証立てられて、公的に意味のある仕事だと認知さ
れることであって、みんなが年収1000万円なくちゃいけないっていうんじゃ
全然ないんですよ。
 350万円から400万円というのが、鳥取県の給与所得者の平均年収です。そ
のくらいのお金があって、いわば経済的には普通の環境の中で、集中して仕事
ができて、ということを願うんですね。これは僕らの側からの言い分ですが、
芸術に対する投資は、非常にコストパフォーマンスが高いわけじゃないですか。
道路を1m作るお金でどれだけの文化事業ができるかという話はよくされます
けれどね。
 1年の事業費が6000万円とか6500万円というのは、確かに、非常にありが
たい数字なんですけど、毎年これが維持できる保障は、どこにも全くないんで
すよね。それはもちろんどこでもそうだし、民間の企業もそうなんですけれど。
 劇団の主力メンバーが30代半ばになってきていて、そうすると僕としては、
ひとつは演劇人の社会的立場ということで考えたとき、400万円くらいの年収
が普通にあって、社会保険や年金も整っているという環境を、意地でも作らな
ければいけないと思っているんですよ。特殊な事例としてではなく、ごく普通
のこととして、こうやって働けるんだということをね。
 みんな無謀にもここまで来て、客観的に見れば、こんなところで活動を始め
るというのは、人生を捨てるような行為ですからね(笑)。それをしてくれた
同志たちに対して、僕は、最低限そういう形で報いなきゃいけないという気持
ちもあるんです。

▽民間だが公共の劇場でありたい

−こちらは、いつでも何かしら活動をなさってますよね。今月は何もないとい
うこともありますか。

中島 そうですね、ほとんどないと思います。

−貸し館事業もしていらっしゃるんですか。

中島 ないですね。ときどきそういう話も来るんですけど、正直言って、料金
をいくらにするんだ?というのもあってね(笑)。基本的には、うちでやるも
のは全部主催事業で、ということにしているんです。 

−他の劇場との提携とか連携、共同製作のようなことはなさっていますか。

中島 まだやっていません。他の劇場で作ったものを招聘することはあります。
そういうことも全然考えていないわけではなく、やる気はあって、少しずつ進
めてはいます。具体的には、韓国の劇団と共同製作の話をしています。国内の
劇場とはまだありません。将来的にはあるかもしれませんね。

−韓国の劇団とは、一緒に作って両方で上演するということですか。

中島 去年、鳥の演劇祭3で呼んだティダという劇団なんですが、僕らと同じ
世代で、ソウルで活動していたのが、彼らも江原道(カンウォンド)という田
舎に移って、廃校で活動を始めた。さらに、偶然にも鳥取県と江原道というと
ころは、姉妹県みたいな関係なんです。彼らも僕の作品を見たりして、何かや
ろうねっていう話になり、来年度から3年計画でやろうということになってい
ます。彼らのやる演劇祭の1回目が2011年の7月にあるので、それに上演に
行ったりして、一緒にいろいろ考えるためにトータルで2週間くらい向こうに
いる計画があります。ファッチョン演劇祭だったかなあ。

−ところで「鳥の劇場」というのは、劇場=場所の名前でもあり、劇団=創作
集団の名前でもありますよね。それは今の日本では珍しいケースに思えますけ
ど、あえて同じ名前にした理由はなんでしょうか。

中島 ヨーロッパだと劇場も劇団も「シアター」で、そういうパターンがもと
もと多かったらしいですね。今は状況が少し変わってきてるらしいですけど。
日本でも「座」って言ってた頃はそうだった。創作者と場が一体のものとして
あるんだという、我々演劇をつくる側としては、演劇の本来的な状況をつくり
たいという思いが、もともとあったんですよ。

−それはさきほどの「貸し館をしない」ということ、すべてを主催事業にする
ことともやはり重なりますか。

中島 そうですね。なかなか思うようにはいかないんですけど、僕がここで活
動を始めるときに思い描いていた絵というのは、我々が芸術団体としてここで
つくるお芝居があって、それに対して共感してくれるお客さんがいて、そのお
客さんに、こういう面白い作品もあるんですよと紹介する場としても機能させ
ていきたいということでした。
 僕はよくレストランにたとえるんです。レストランというのはもちろん料理
が一番大事なんだけど、料理がありつつ、その空間がありつつ、接客がありつ
つ、ということで、どれだけ内的体験も含めた非日常体験を与えられるかとい
うこと。それがレストランだとすると、基本的には僕はシェフとしているんだ
けれど、たまには別のシェフもいて、つまり、これいいですよといろいろな作
品を呼んできて見せることで、お客さんにそれも食べてもらいたいなという気
持ちも、もともとあったんですよ。

−位置づけとしては、鳥の劇場は「公共劇場」ということになるんでしょうか。

中島 「公立か民間」かというと、民間です。何が「公共」劇場かという議論
はあるんですよね。公共の場としての劇場とはどういう場所かという議論にな
ると、鳥の劇場は「公共の劇場」でありたいと思っています。

−お話を伺うかぎりでは、中島さんの個人的(パーソナル)な活動の延長とし
て鳥の劇場が生まれたのだと思いますが、しかし外から見ていると、鳥の劇場
の活動は、かなり公共的(パブリック)なものになっているように見えます。
つまり、組織の成立過程がどうであれ、広義の意味での「公共」でありたいと
いう意識が中島さんの中にあるということですね。

中島 当然そうですね。

▽町全体をフェスティバル空間に

−最初におっしゃられたように「劇場が、社会や地域にとって必要である」と
いうロジックを考えられているとは思いますが、とはいえロジックだけではな
く、地域とのかかわりの中で活動されてきていると思うんですね。それは例え
ば具体的にはどんなことでしょうか。

中島 それを話すのはちょっと難しいところがある。じゃあ、学校をどれだけ
訪れてますかとか、地域振興とかかわってこんなことをしてますっていう話に、
現れとしてはなるんです。そこのところで、地域とのかかわりで何をしてます
かと言われると、アウトリーチの話ばかりをしなければならないような感じに
なりますよね。
 こういう小さいコミュニティでは、演劇好きのためだけのラインナップを揃
えても、例えばフェスティバル/トーキョーみたいなことを鳥取でやっても、反
応してくれる人は少ないわけですね。だから演劇祭の中でも、海外ものも含め
て作品を呼んでくるんだけど、そういうことにプラスしてほかのこともやる。
例えば、クリエイティブシティみたいなことを一緒に考えましょうとか、鳥取
でクリエイティブな活動をしている異分野の人の話を聞きましょうとか。
 それと、第1回目からやってるんですけど、とっとり体験といって、鳥取の
いろんな魅力に触れてみましょうというもの。山に登ったり、人から話を聞い
たり、日本酒を飲んだりね。僕の中では、「人に触れて驚く」ということはひ
とつの演劇的体験だ、ということにしているんですよ、若干強引ですけど(笑)。
我々はテキスト情報や、画像情報で、世界中のものに瞬時に触れることができ
るんですが、やっぱり生に人に会うとか、味わうとか、歩いてみるとか、身体
的な体験や感動は少なくなってきてるところがあるから、そういうのを鳥取に
ついて体験してもらう。
 午前中にこれをやって、午後は演劇を見て、丸一日、演劇祭というフレーム
の中で楽しんでもらおう、それも地域とのかかわりということなんですよ。あ
とは、子ども向けにワークショップを、演劇に限らず詩、美術、音楽などいろ
いろやったりね。

−つまり活動は狭義の「演劇」に限らないんですね。

中島 そうです。アートセンターみたいなものを持ちたいと、僕は思っている。
体験ができる場ということでね。鳥取には、柳宗悦の民藝の伝統があって、非
常に面白いものがありますから、そういう民藝の器などを劇場の中でセレクト
ショップで売ったりとか。あるいは、町中全部を使って、紙芝居や読み聞かせ
のようなことをやる。やっていらっしゃる方もけっこう多いので、そういう一
般の方たちに集まってもらって、町中の8、9か所でやり、町歩きと組み合わ
せて楽しんでもらう。

−こちらの劇場に限らず、周辺の地域も巻き込んで、ということですね。

中島 そうです。町全体をひとつのフェスティバル空間としてとらえて、町中
の、お客さんが歩いて行ける範囲に3つ劇場を仮設して、うちの2劇場と合わ
せて5会場を、見ては次へ行き、見ては次へ行きみたいにしてもらいましょう
と。教育とのかかわりとしては、それ以外にも、鳥取県教育委員会からの依頼
で、学校に行ってワークショップをやったりもします。また、今度初めてなん
ですけど、少年院へも行きます。

−近くにあるんですか。

中島 鳥取県西部の米子の方に美保学園というのがあるんです。法務省の管轄
で、日常的に触れ合えるものじゃないんですが、そこの園長が訪ねて来てくれ
て、何かやりましょうという話になりました。

−それは劇団の「鳥の劇場」として行くんですね。

中島 そうですね。劇団に依頼があってということですね。

−なるほど。そういう意味では「鳥の劇場」は、劇場としての拠点をもって地
域に根を張りつつ、劇団としては移動もできる媒体として、周辺の町なり、鳥
取なり、韓国なりで活動を展開されているということなんですね。劇団として
は、去年のBeSeTo演劇祭で、東京のこまばアゴラ劇場にもいらっしゃいまし
たね。

中島 ええ。ワンダーランドでも、その時の「白雪姫」の劇評を、芦沢みどり
さんという方が書いてくださいました。 

−鳥の劇場が、町や周囲に、どの程度、どんなふうに浸透しているのかにも、
興味が湧きます。タクシーの運転手さんに「知ってますよ」と言われたり、演
劇祭にも、私たちみたいに東京から来る人もいるけど、鳥取の方で、そんなに
コアな演劇ファンではないけど、ちょっと行ってみようかなっていう人もいら
してますよね。そして、町の方がボランティアになられたりと、そういう意味
では、かなりつながりができてるんでしょうか。

中島 おそらく、他の地域と比較するとできてるんじゃないかと思います。た
だ、もっともっと僕はつくりたいんですよね。文化環境が違うので、単純によ
そと比較はできませんが、うちなんかだと、年間の延べ入場者数が1万人くら
いなんです。アウトリーチで学校に行くのなんかを含めるともうちょっと多く
なるんですけど。で、うーん、少ないなと思うんですよね。これをどうやって
増やしていくかな、っていうのが頭が痛いところなんですね。

−HPに「ふたつの1000のお願い」と書かれてますね。サポーター1000口、
1公演あたりの観客数1000人という具体的な数値目標。現状の倍増を目指す
感じでしょうか。

中島 今、うちで1週間ほど公演すると、お客さんは実質600〜700人程度な
んですね。そのくらいは来てくれるんですけど、まあ、分かりやすい数字とし
て1000人くらいは常時達成できるようにしたいと思いつつ、なかなかそこが
届かない。

−鳥取県内部では、鳥取市や米子市に人口は集中していると思うんですが、こ
ちらの劇場は鳥取市からも、距離的にはそれなりに離れてはいると思います。
とはいえ鳥取大学も近くにありますし、米子の先には、すぐお隣の島根県松江
市もありますが、そういった各都市に働きかける具体的な方策は何かあるんで
しょうか。

中島 一番有効だろうと思ってやっているのは、チラシを丁寧にまくとかポス
ターを貼るとかいうことですね。来てくれて住所を残してくれた人に案内をす
るとか、メールを送るとかいうことをするのは、もちろんのことなんですけど。
一般の人はやっぱり、チラシやポスター、新聞に記事として載る、というよう
なことが大きいんですかね。

−地域に対するアピールという点では、もちろん何かを具体的にやっているこ
とが大前提として重要でしょうけど、「あそこはどうやらいつもいろいろやっ
てるな感」みたいなことも、存在感としては大きい気がします。その点、鳥の
演劇祭は、ボリュームがすごくある。しかも、演劇だけじゃない。量的なこと
だけでも、面白いぞと思ってくれる人がいると思います。演劇祭にかぎらず、
実に精力的に活動をされている印象がありますが、プログラムを決めたりする
のは中島さんですか。

中島 はい、そうですね。

▽劇団滞在型のプログラムも

−では、〈招くプログラム〉についてお聞きしたいのですが、今回は、公募で
岡崎藝術座と鳥公園の2つの劇団を呼んで、12日間の滞在の後に公演するとい
うプロセスを採用されましたね。こうした公募による長期滞在の創作プログラ
ムは、日本ではかなり珍しいケースだと思いますが、どうしてこのようなプロ
グラムを組まれたんでしょうか。

中島 もともとは、うちの創作環境を、実績のあるなしに関わらず、演劇に対
して志を持った舞台芸術のアーチストにどんどん使ってもらいたいという想
いがあったんです。貸し館はしないんだけれど、しっかりした作品づくりの場
として使ってもらえるのは、大歓迎なんですね。うちはチームとしては一つで
すが、場所はスタジオと劇場と二つあるので、常に一つ余るんです。なので、
これはぜひ使ってもらいたい。
 ところで、フランスのナントという町で、廃工場をリノベーションしたリュ
ー・ユニックっていうのがあって、そこにずいぶん人が来てるって言うんだけ
ど、ナントの場合、人口規模がそれなりにあって、壁の外には人が歩いていた
から、中をリノベーションして門さえ開ければ人は入ってくる。でもうちの場
合は、田舎なので、基本的に外を人が歩いてないんですよ(笑)。若い人もあ
まりいない。そうすると、魅力的なコンテンツさえつくれば人が来るというシ
ナリオは成立しないんですよね。しかし、何らかの形でアピールしていきたい
という中で、まずは作り手にどんどん知ってもらい、使ってもらえたらいいな
と。
 それで、一つは演劇祭のような場に、ある程度評価が固まった舞台芸術の人
たちを呼びたい。もう一つは、もっと若い人たちにもぜひ使ってもらいたい。
実際、僕なんかも東京でやってた感覚で言うと、稽古場で稽古して、劇場には
たとえば水曜日に入って金曜日に本番とかね。仕込みに2日とれればいい方で、
なかなか3日はとれないですよね。それだと当然、かなり落ち着かない、集中
できない。セットもほぼはじめて組んだ、音響もはじめてデカイ音で聞いた、
照明もまったくゼロからやると。事実上、総合芸術とは言い難い状況ですよね。
ぜひ、そこのところを、テクニカルも含めて集中してできるという環境で、仕
事をしてもらえたらいいなと思ったんですよ。
 実は、昨年1回目をやって、その時は1週間だけの滞在。週明けに来て、土
日に本番だったという感じだったんですよ。でも、正直言って、僕は舞台成果
にかなり不満があった。何か、中途半端な舞台づくりになってるなと。観客か
らも、「いったいこれは何の意味なんだ?」というような問いが出て、つくり
手への刺激になればいいかなと思ったんだけれども、お客さんの方も親切で、
よくあるんですけど、わかんないのは私が悪いんだと思っちゃうパターンにな
って、観客との議論も活性化しなかった。うちとしては本意じゃないところが
あった。
 それで今年は、12日間でしっかりつくってもらい、かつ、試演会もやり、う
ちの劇団のメンバーも試演会に参加して、互いに見合う、意見を言い合うって
いう機会を持ちました。
 東京なんかで、ユースカルチャーとしての演劇、若い同世代の人ばかりが見
るというのがありますね。もちろんそれにも、一つの役割があると思うんだけ
ど、そういう状況じゃない場所で、本当に自分たちの作品がどういうふうに見
られるのかというのを、しっかり考える機会にしてくれたらというのもあって、
こういう企画にしたということですね。

−今回招かれた方たちは、民宿か何かに滞在してるんですか。

中島 民家ですね。うちで劇団として借りてるのと、まちづくり協議会が借り
てるのと、2軒あって、劇団ごとに家1軒という形。

−稽古場使用料などはないんですか。交通費・滞在費などはどうされるんでし
ょう。

中島 条件については、滞在費・使用料はうちがもちます。フィーは交通費を
含めて、各団体に40万円支払うってことにしてます。

−若い劇団にとっては、いい話ですね。今回は、応募した22団体の中から2
団体が選ばれており、けっこう倍率も高い。12日間の滞在のあいだに試演会も
やられて、お互いの作品を見て意見を言い合う機会をもったとも聞いています。
そうしたコミュニケーションを重視したプログラムということでしょうか。

中島 そうですね。お客は、舞台美術であれ、音響であれ、作品を「読む」わ
けじゃないですか。そこのところで、世代・趣味を超えて、どれだけ開かれた
ものを提供できるか。そういう訓練が、当然、若い人たちは不足してるところ
があるから、そこが深まればいいかなと思いますね。

−そこで「開かれる」ということは、もちろん、「一般にわかりやすくなるよ
う薄める」ということとは、全く違うわけですよね。

中島 もちろんそうですね。

−普段、東京で演劇を見ることが多いのですが、情報や感想は数多くあります
けど、そうした意味での「開かれた」コミュニケーションは難しい環境なのか
もしれないと思うことがあります。批評も含めてですが。奇妙な空気の読み合
い、探り合いはあるかもしれませんが、息苦しい雰囲気もないではありません。
東京の若い劇団が、長期間、そこから離れた立場で創作にあたるのは、そうし
た面からも大きな経験になりそうな気がします。

中島 完全なアウェイですからね。

−今、東京で若い演劇人と話をしていると、今後のビジョンとして、大きな商
業演劇に向かうのとは別に、「海外」と「地方」という選択肢が見えていると
思います。特に地方にという意識が増えていると思うんですね。それはネガテ
ィブに言えば「東京にうんざりした」ってことがあるにしても、ポジティブに
言えば、もっと地に足をつけたいとか、何年か先まで食べて活動を続けていく
ために、っていう意識が出てきているのだと思います。
 そうした傾向に、今回、鳥の劇場が〈試みるプログラム〉を用意されたのは、
何か、噛み合うものを感じますが、今後、このプログラムをどのように育てて
いこうとお考えですか。

中島 そこのところは、ちょっと考えることがあるんですよね…。実は、いつ
も舞台写真を撮ってくれるカメラマンが、東京の若い人の演劇はみんな同じな
のかって言うんです。鳥の劇場が質に責任を持って面白いから見に来いって言
うからお客は見に来るけど、東京の若手劇団っていうんで、毎回同じものを見
せられたら、もうお客は来ねえぞって。そういう意味で考えなきゃいけないな
ってことも、思うんですよ。それは全体状況的な問題ですけど。
 でも、もう一方で、演劇を一生の仕事としてしたいと思う人が増えるってい
うことは、いいことだなあと思うんですよね。単純に、テレビに出てタレント
として稼ぐってことしか人生の選択肢にないということだと、やっぱりつまら
ない。もちろん、それがしたい人は、それで全然いいと思うんですけれども。
そうじゃなくて、舞台人としてやっていきたいと思う人たちが増えることは、
すごくいいことで、そういう人たちへの支援が、ここで少しでもできるなら、
有難いと思うんですよね。

▽地域ごとに顔の見える劇場を

−では、劇場法(仮称)についても、少しうかがいたいと思います。皆さんに
お聞きしてるんですけど、その方によってこだわれてるポイントが違います。
例えば、芸術監督制の是非や、劇場を創造型や鑑賞型など3つに区分けし、創
造拠点型の劇場でつくった作品を鑑賞型の劇場に回すといったフランス的な
システム等々が挙げられると思いますが、どうお考えですか。

中島 公共ホールについての劇場法は、それにどのような条件がつくのかとい
うこともありますが、芸術監督や専門の技術・制作スタッフがいるってことは、
当然必要なことじゃないかと思いますね。正直言って、僕は、提案されている
意見について、あんまり異論はないんですよ。公的なお金をとってやる以上は、
いろいろな条件が付くのはしょうがないだろうなと。
 皆さんそれぞれの立場で、体験も踏まえながら賛否を述べられるのはいいと
思うんですが、ともかく公的なお金を得るためには、ちゃんとした法律が必要
で、そのことに向かって、まずは暫定的でもいいから踏み出して、やってみた
上で、建設的に議論を進めるべきでしょう。日本的に、やる前から反対意見ば
かりが出て、具体的な一歩が踏み出せないのは、今の民主党なんかの状況を見
てるみたいで、よろしくないんじゃないかと思っています。

−劇場法が通ると、公共劇場ばかりに補助金などがいって、民間劇場が圧迫さ
れるのではという考え方もありますが。

中島 それは、東京と田舎の民間劇場の違いというところが、多分にあると思
うんですけど。東京だと、一般の人という顔が非常に見えづらいんですよね。
どうしても演劇ファンという顔ばかりが見えてくるから、パブリックな活動と
いうのが、なかなかしづらいという問題もあるでしょうね。
 「地域」ということの再定義をする必要がある。要するに、先にも言った通
り、劇場というのはローカルなものだと僕は思っていて、半径何km圏内の人
たちに対して、何らかの影響を与えようとしてるという企みの場と思うんです
よね。だから、地域に対して何ができるのかっていうことの考え直しが、おそ
らく東京の劇場には必要になってるんじゃないかなあ。東京にあっても劇場は
ローカルなんです。新国立劇場を除いて。

−東京も、実はひとつの地域なんですが、何か地域感が希薄な傾向があるかも
しれませんね。

中島 そうそう。ひとつの地域だということを、どうやってとらえ直すか。確
実に地域ごとの問題はあるはずだから、その問題に対して、劇場文化を通じて
どうかかわり得るんだと。それで、あくまでも劇場なんだから、舞台作品の芸
術性・創造性を通じて、どうアクセスし得るんだっていうことを考える。それ
こそが一番大事なことなんじゃないかと思うんですよね。

−東京でローカリズムを見い出していくのは今のところ難しいと感じます。
 たとえば、こまばアゴラ劇場は周りに商店街があって、あそこで1度でも買
い物や食事をすれば、俄然、身近になるでしょうし、下北沢あたりまで散歩で
もすれば、見える景色はかなり変わると思いますが、電車で来て、劇を見てパ
ッと帰るだけだと、その町のランドスケープ感覚はなかなか根付かないと思い
ます。電車っていうのが罠な気はしますね。ちょっと歩く時間を増やすだけで
も、だいぶ違うと思います。たとえば王子小劇場に行ったらできるだけ近くの
店で飲んで帰ってお金を落とそう、とか思ってるんですけど(笑)。
 でも、ここ鳥の劇場の圧倒的な地域感には、なかなかかなわないですね。距
離が遠いのは不便でもあるけれども、逆にそこに行かざるを得ない、いざるを
得ないというのは強みかも。

中島 そうですね、来てもらっちゃえば…というのはありますね。

−劇場法が通って、各地域の劇場の存在感が今よりもっと膨らんできた場合に、
他の劇場と連携していきたいというお考えはありますか。

中島 ええ。望ましいと思うのは、地域ごとに魅力のある、個性のあるユニー
クな劇場が出てきて、だからこそ人々はそこに足を運びたいと思うっていう形
ですね。今は結局、北九州芸術劇場とか山口情報芸術センター(YCAM)とか
も、たとえれば、世田谷パブリックシアターの支店化してるみたいなところが
あるでしょう? そうじゃなくて、いくつかの場所で、それぞれの面白い作品
がつくられ、それが巡回するというのがいい。
 で、この点は、日本の文化政策の中で、一つの大きなエポックだと思ってい
るんですが、つまり、今まで日本は、大きくは東京に中心があって、それに対
するアクセスの保証の一環として、各地に図書館もつくられ、美術館もつくら
れということだった。それに対して劇場法というのは、地方で、それぞれの場
所でつくりなさいってことになるから、これは大きな転換。何らかの形で、具
体化、成果を残さないといけないことだと思うんですよね。

−芸術監督制というのは、ある意味では、劇場の属人性が増すことにもなりま
すね。その芸術監督の、パーソナリティなり能力なり指向性なりの影響力が大
きくなる。その点についてはどのようにお考えですか。

中島 そこは、難しいとこですよね。ただ、今、日本の公立文化施設がなかな
か個性が表わせないのは、顔が出せないんですよね。SPACの宮城聰さんなん
かは、それで意識して顔を出されてるんだと思うんですけど。
 先のレストランのたとえでも、人は、このシェフがいるっていうから行きた
いっていうわけでしょ。その人が責任をもってやってるなら、文句もその人に
言えばいいんだから、行こうっていうことになるんですよね。それが、芸術監
督じゃなくて、プロデューサーでもかまわないんですけど、とにかく、顔が見
える誰かがいるってことは重要なんじゃないかと思います。

−つまり責任を持てるってことですよね。

中島 そうそう。

−顔が見えることは魅力的でもありますね。昨秋の鳥の演劇祭で、SCOTの公
演のアフタートークに、地元のお医者さんである徳永進先生(内科医、終末期
医療の専門家)がいらして、鈴木忠志さんと、死ぬことについてなどの話をな
さいましたが、劇場でこんな話がされるということ自体が驚きでした。そして、
鈴木忠志さんと主催者である中島さんが、幼稚園の中庭でひなたぼっこをしな
がら座っていらして。こんな演劇祭もあるんだ、鳥取の鳥の劇場ならではだな
と、たいへん印象深かったんです。
 そういうものを、観客は、劇場の色として受け止めると思うんですよね。そ
ういう色を見に行きたい。いろんな色のところがあると楽しいですよね。

中島 まあ、極端なことを言えば、演劇の流行や様式のことなんか、一般の人
にとっては、どうでもいいわけじゃないですか。そうじゃなくて、作品を通じ
て、社会や人間にとって大事な何かが語られて、それをきっかけにして、ふだ
ん考えないことを考えるというのが、芸術体験の本質だと思っています。あの
トークは、僕も非常によかったと思ってるんですよ。

▽さらなる目標や敵を模索

−最後に、3年先、10年先くらいのスパン、つまり近未来と、もうちょっと先
の話として、中島さんの野望があればお聞かせください。

中島 芸術的に、作品づくり的にはあるんですけど。場としてはほんとにね、
毎年毎年、どうやって金をつくるかしかないんですよね。現状のシステムだと、
先ほど申し上げたように、得られるお金も、限界にきてるなというところもあ
るので、ともかく、どうやって生き残っていくかっていう以外にない。3年先
までどうやって生き残っていけるか。
 ただし、死ぬまでやるというのはもう決めているんです(笑)。地域の人に
も、死ぬまでやりますからと言ってるので、それはやるんですけどね。観客で
ある地域の人たちと、目標とか敵を共有して、どうやって運動にできるか。今
までは、我々の変わった試みに対する支援っていうこと自体が、一つの運動だ
ったんだと思うんですね。今も随分、というかものすごく応援してもらってい
るんですけど、そこを広げていくためには、やっぱり、もう一段デカい目標を
うまく共有して、あれを倒すために俺たちはここに来るんだっていうふうな目
標設定かなあ、と思ってるんですよね。そこが、どうやったらうまくできるん
だろうと。

−その敵なり目標なりは、今、見えてますか。

中島 えーっとね、私たちの社会が直面している問題はたくさんあるわけでし
ょ。それを、芸術活動とどのようにリンクさせて、ここに来て芝居を見て、考
えることが、その敵を打ち倒すことになるんだというところでの言語化やもう
一段の仕掛け作りは、まだできていないんですよね。そこがうまくできなきゃ
いけない。どうやって公論形成の場にするかっていうことが、おそらく、一つ
の抽象的な目標なんですけどね。それを、もうちょっと具体的にどういう形に
するか。パブリックな場っていうのは、まさにそういうことなわけだから。そ
のことを、いつも考えてるんですよね。

−公論形成と、実践的な活動と、その両輪でってことですね。

中島 ここで行われる、芝居を見たりほかのことを通じて、みんながいろんな
ことを考え、意見が交換されてっていうようなコミュニケーションが起点にな
って、地域の何かが動いていく。そういう一つの流れをつくることを、どうし
たらできるんだろうてなことを、考えるんですけどね。

−今日は、いろいろと貴重なお話を有難うございました。

(2011年3月5日、鳥の劇場にて。聞き手=大泉尚子、藤原ちから)

【鳥の劇場】
2006年(平成18年)1月開設。鳥取県鳥取市鹿野町の廃校になった小学校と
幼稚園を劇場にした。地上1階建。劇場(196席)、スタジオ(90席)。 
http://www.birdtheatre.org/

【略歴】
中島諒人(なかしま・まこと)
 1966年生まれ。90年、東京大学法学部卒業。大学在学中より演劇活動を開始、
卒業後東京を拠点に劇団を主宰。2004年から1年半、静岡県舞台芸術センタ
ーに所属。2006年より鳥取で廃校を劇場に変え、「鳥の劇場」をスタート。二
千年以上の歴史を持つ文化装置=演劇の本来の力を社会に示し、演劇の深い価
値が広く認識されることを目指す。芸術的価値の追究と普及活動を両輪に、地
域振興や教育分野にも関わる。代表作「老貴婦人の訪問」(デュレンマット)、
「剣を鍛える話」(魯迅)、「母アンナの子連れ従軍記」(ブレヒト)など。2003
年利賀演出家コンクール最優秀演出家賞受賞。2006年芸術選奨文部科学大臣
新人賞受賞。


=============================================
◇2011年度 ワンダーランド支援会員を募集します。
http://www.wonderlands.jp/info/support2011.html

 「ワンダーランド」はメールマガジン(週刊)とwebサイトが連携したイン
ターネットマガジンです 。公演が終われば消えてしまう演劇、ダンス、パフ
ォーマンスなどの舞台芸術を、批評やレビュー の枠組みで定着しようと2004
年にスタートしました。それから7年。主に小劇場で上演される公演を取り上
げ、約100人の執筆者による1200本を超える記事を掲載し てきました。演劇
研究者や劇作家、演出家だけでなく、熱心な観客が書き手となって成長し続け
ています。

 通常の劇評のほかにも、昨年スタートした初日レビューや劇場企画「芸術創
造環境はいま−小劇場の現場から」も連載してきました。新進劇団や先端的な
ユニットに周知と評価の機会を提供するクロスレビュー挑戦編、またロングイ
ンタビューやその年のベスト3を選ぶ年間回顧なども掲載してきまし た。
2008
年から毎年 「劇評を書くセミナー」を開催し、今年は最前線の劇作家、演出
家の話を聞く演劇セミナー「クロストーク150分」を企画しました。年ごとに
活動の幅が広がってきたと思います。

 演劇は作・演出、俳優ら舞台の側だけで成立するわけではありません。客席
からもドラマが生まれ、観客の書く劇評・レビューという「作品」は演劇の欠
くべからざる要素になっています。

 「観客が書く」。この基本をこれからも実現したいと思います。
 そのためにはみなさんの力添えが必要です。ワンダーランドの活動を続ける
ため、支援会員への参加と協力をお願いします。

 会員は個人登録が基本です。会費は一口5000円。期間は2011年4月-2012
年3月の1年間。招待公演などの特典もあります。自主自律の劇評メディアを
みな
さんの手で支え、育てていただきたいと思います。

 申し込みは次の【申し込みフォーム】から。会費納入は、フォームページ記
載の銀行口座からお願いします。
https://lolipop-wonderlands.ssl-lolipop.jp/form/members/

2011年3月
ワンダーランド(小劇場レビューマガジン)代表 北嶋孝


=============================================
◇「クロスレビュー・挑戦編」5月公演応募受付中(4月15日締め切り)

 「クロスレビュー・挑戦編」の5月公演団体の応募受付中です。締め切りは
4月15日(金)。旗揚げ間もない劇団、これまでの活動が評価されていないと

じているグループ、短期間の公演で周知/宣伝が広がりにくいカンパニーなどの
積極的な応募を歓迎します。詳細は次のページをご覧ください。
http://www.wonderlands.jp/crossreview_challenge/


=============================================
【編集日誌】
☆荒川チョモランマ『偽善者日記』評の梅田径さんは、最初の観劇中に地震に
遭遇し、上演は中断。後日、延期された公演を再観劇されたそうです。その間
やそれ以降に起こった、多くの言い尽せないこと。この劇評でのみならず、こ
れからも、少しずつでもその何かが明らかになればと思います。

☆鳥取の鳥の劇場での取材は3月はじめ。今年は、ほんとうに寒い初春でした
が、広い庭の隅の方には、雪がまだ残っていました。裏山のある劇場で、地べ
たに足のついたお話をうかがえたことが印象的でした。

☆クロスレビュー・挑戦編の5月公演受け付けは4月15日まで。締め切り間
近ですが、ふるってご応募ください。

☆今月から、毎月第2週の編集は大泉尚子が担当します。これまで執筆してい
ただいた方、新しい書き手、そしてもちろん読者の方々との、誌面や劇場での
さらなる出会いを、心より楽しみにしています。
(大泉尚子)

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