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厚塗りで代わり映えのしない日本画にもやっと新しい波が

2008/09/29

厚塗り系のいわゆる最近の日本画といった感じの作品しか見かけなかっ
た日本画にもやっと面白い作家が出てきたと思える最近の展覧会。

銀座 スルガ台画廊 龍口経太(9/8〜13)

メイド系とかアニメ系といえるような少女像と、水墨風景の大作だっ
たが水墨といえる淡彩と、少女の髪などに見られる線の美しさが際立
つ作家。日本画における線の美しさは厚塗りによって長い間忘れられ
ていたように思うがこのところ絹本によるうす塗りの作品などで線の
美しさが見られる作家が出てきた。龍口の少女の作品も異常に長い髪
で、その線の美しさが魅力になっている。少女の作品は完売だった。

ギャラリーNike 寒河江智果展(9/8〜20)

寒河江は、比較的にうす塗りでその分彩色が鮮やかで発色の美しい作
品。少女と花、鳥などでシリーズ的に作品を描いて展覧会を行ってい
るが、今回は少女と猫のシリーズだった。線描と伴にあまり見られな
かった箔使いも最近見るようになったが、寒河江も金箔を使った作品
が何点かあり、明るく鮮やかな色彩が金箔に映え新たな魅力になって
いる。

スパンアートギャラリー パライソ(10人グループ)展(9/15〜20)

10人のグループ展だが、その中の真条彩華が絹本の日本画で切箔等も
使い繊細な作品で魅力がある。今回は比較的に大きい30号の女性像の
作品があり魅力的な良い作品だった。

番町画廊 安藤栄梨・關加奈子展(9/16〜27)

安藤は、ハンバーガーの具の肉の部分が顔になっている作品などを描
いている作家で、その画題と目を引くアイキャッチがある点で非常に
面白い作家と思う。關加奈子は、キャンバスに描いているが下地を作っ
て日本画顔料で描いており日本画といえる作品。クリーム系の彩色の
滲みのあるような下地に、細い線描で稚拙な感じの人物などが描かれ
ているがペンなどで描いているのかと思ったが、全て面相筆で描いて
いるということでその点でも日本画といえる作品。新しい日本画とし
て魅力のある作品ではないかと思う。

ギャラリーQ 柳井信乃展(9/22〜27)

クリーム系の下地に部分的にお菓子やケーキが描かれておりそれに沢
山のアリがたかっていると言った感じの作品。ただしアリは描かれて
いるのではなく、ビーズで作ったアリが貼り付けられている。絵の部
分は日本画顔料で描かれており日本画といえるものだが非常にユニー
クで面白い作品。画面に穴が開けられそこからアリが出てきたり、穴
に入っていくように作られている部分もあり、その穴が羊の鼻の穴に
なっている作品もあった。技法のユニークさとアイデアが面白く好み
とは違うが非常に期待できる作家ではないかと思う。

その他気になった展覧会としては

ギャラリー2+ 下地貴之展(9/22〜27)

下地は、こっけいな表情や、奇妙な表情をした顔をアップで描く作家
だが、今回は2階が鉛筆画で3階が油2点だった。ギャグ漫画の世界
をシリアスに描いたような作品で、3階の油は本人と奥さんの絵で、
白目をむいた奥さんと、人差し指を立てて「シー」と言っている妙な
顔つきの自画像が向き合って飾られている。写実的に描かれた奥さん
の絵は白目をむいていなければ、きれいな女性が飲み物を飲もうとし
ているそれなりにきれいなただの絵になってしまう作品だが、白目を
むいていることで、下地らしい特徴が出ておりよい絵だったが、作家
と目を描かないのかと言われると言った話が出て、白目だから現代美
術となり良い作品だと話をしていたら、ちょうどそこに来たお客がそ
の作品を買っていった。好みとは違うが自分が評価した作品が売れる
のはうれしい経験だった。

外苑前 ときの忘れもの 小野隆生展(9/19〜10/4)

小野はイタリアに暮らし主に人物を描く作家だが、今回も顔と全身の
人物像で全身のものは等身大かそれよりやや大きいぐらいで、小野ら
しい落ち着いた色調だが印象深い良い作品だった。最近は70年代生
まれ以降ぐらいの若い作家を買っており、小野さんは値段も上がって
きたので買わなくなってしまったが油の所有作家の中ではメインの作
家と言える。最近の自分の考えでは、最新の文明国からしか新しいアー
トは生まれてこないと言う考えで、客観的に見て二流の文明国だった
60年代以前の日本の作家はあまり評価していないが、小野さんもそ
の世代だが、この世代でも世界的に評価されている日本人の作家が例
外的に出ている。ちょうど小野さんの回顧展をやっている伊東の池田
20世紀美術館で、19世紀から20世紀にかけての美術史の年表が
あるが幾つかの美術潮流の中に何人かの日本人の名前が出てくる。代
表的な作家が藤田と国吉だが、二人とも若くして外国に渡りその地で
小野さんのように溶け込んで生活している。この世代においては、二
流の日本に居ては世界に通用する作品は制作出来ないと思え日本人と
しての根源的な脳は持ちながらも、若くして外国に渡りその土台に新
しい外国の脳が出来たような人が、二つの脳の葛藤や止揚によって新
しいアートを作れるのではないかと思う。そういった意味では、小野
も池田20世紀での回顧展を通じて、藤田などに並ぶ例外の日本人作
家の仲間入りが出来ればと思う。コレクターとしての贔屓も含めて個
人的な評価としてはその実力は備えていると思う。


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創刊日:2000-09-07  
最終発行日:  
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