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それぞれの個性ー二人の女性作家

2008/07/01

アートは個性が重要と言われるが、公募展などを見に行くと本当に別
の人が描いているのかと思う様な作品が並んでいることもある。そん
な中で同時期に、本人の容姿、技法、画題と全てが、具象ではあるが
全くと言っていいほど異なる2人の若手女性作家の展覧会があった。

江戸川橋 ラ・ガルリ・デ・ナカムラ 山口智子展(6/13〜7/6)
 
山口は、小柄な可愛らしいと言った感じの作家で、服装なども今回の
オープニングでは可愛いアップリケのついたスカートだった。作品も
パステル調の色彩で身の周りの物や出来事、自画像と言える様な少女
などを軽い爽やかなタッチで描いており、少女の表情などに憂いや悲
しみが伺えることもあるが、第一印象では可愛さがまず目につく作品
である。絵の題も文章的なものが多いが、実際はどうか分からないが
思いつき的なものが多い。今回買うことにした長い髪に沢山のリボン
を付けた少女も「りぼんのう」でリボンとぼんのうを架けた題だと言っ
ていた。数を数えていないがリボンの数は108在るのだろう。また
今回の展覧会は「ききょう」と言う小画集の出版記念でもあり、1階が
画集に載った旧作、2階が新作という構成だが、この画集も赤い表紙の
小振りの可愛らしいもので、山口の少女作品の特徴でもある白いパン
ツを穿いたようにリボンのついた白い布で下半分が覆われており、本
ではなくその布に限定番号が入っているという作りである。なお、画
廊のオーナーの中村さんも小柄な可愛らしい感じの女性である。
 
九段下 成山画廊 松井冬子展(6/19〜7/5)
 
松井は日本画作家のみならず現在の画家中で一番の美人と言われてい
る長身の美人作家で、今回のオープニングにも魅力的なドレス姿で現
れた。作品は、日本画だが古典技法と言える薄塗りの絹本で、幽霊や
腑分け図、奇妙な花などを暗い色調で細密に描いている。その余りに
古典的な技法から、同じく日本画だがユニークな線描の町田久美ほど
現代美術として評価していなかったが、今回裸婦とドレスの様な内蔵
とに分かれた下絵のコピーを見せられて、下絵段階ではコピーを多用
し構想を練っているということで、その制作過程での現代性を知り評
価を改めた。その記念にその下絵のコピーを買うことにした。松井の
絵の題も文章的だが、その題は仏教用語から引用したものなどが多く
難解で如何にも熟考の上で付けられたという感じのものだ。この展覧
会も画集の出版記念展なのだが、その画集も重厚とまでは言えないが
オーソドックスなものである。そして、画廊のオーナーの成山氏も相
撲取りを彷彿させる巨漢である。

山口と松井の二人は、全て正反対と言った感じで、一言で単純に言っ
てしまうと女性的と男性的ということになると思うが、そう言った西
洋的な価値観ではなく、東洋的、日本的な価値観に基づいた意味が有
るように思う。日本の美術には同時期に正反対のものがよく現れる。
絵画で言えば、水墨と金壁障壁画、建築で言えば、雪の桂離宮と紅葉
の日光東照宮、同時代に出来た訳ではないが能面と歌舞伎の隈取り。
こういった二つの価値観が混在するというのは、多神教的な日本の良
い所で、「かわいい」と「幽玄な不思議」は現代の日本が世界に押し
出せる価値であり二人の作家は、それを表現できる優れた女性作家と
思う。

その他面白かった展覧会としては
上野 バスハウス チェ・ラウム展(5/27〜6/28)

画廊の中央に天井から花の蕾が沢山ついた巨大なシャンデリアと言っ
たものが吊るされている。その蕾が電子制御で花開きLEDライトが灯
る。蕾は一斉に開く訳ではなく、部分的に何カ所か開くように制御さ
れており、いつも何処かの部分が花開きライトが灯るようになっている
開く時に多少音がするが、それほど耳障りではなく、波の満ち引きで
花が開いている様な感じであった。照明の落とされた室内で見るとな
かなか幻想的で面白い作品だった。他に機械仕掛けで動く小品が2点
と平面作品が有った。

京橋 ギャラリー山口 岡本敦生(6/9〜28)

新作の石の彫刻で、ギャラリー東京ユマニテとの同時開催だが、山口
に有った卵形の旧作の再組み立てが面白かった。5年前に作りコレクター
などの手に渡っていた卵の殻を数十個に分解した作品を再収集して組
み立てた作品。2個あり1個は、一つのピースを残して全て集まりほぼ
卵形になっていたが、もう一個は十数個のピースが集まらず黄身にあ
たる内側の彩色した部分がかなり見えていた。全て集まれば見えない
内側が、わずか5年で音信不通になった人がいることで見えるという
ことと元は一つの石だった返って来たピースの色が、保管されていた
状況でかなり変化していることが面白かった。所蔵者も含めたインス
タレーションアートとして新しい可能性が感じられた。

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創刊日:2000-09-07  
最終発行日:  
発行周期:週刊  
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