雑学

縦横無尽の知的冒険

知的刺激を必要とする方、思索力を鍛えたい方、教養を幅広く求める方のために、毎月様々なテーマでレクチャーをお届けします。本誌をガイドに、エキサイティングな学問のジャングルを縦横無尽に冒険してみませんか。

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縦横無尽の知的冒険 日本の農林水産業はどうあるべきか

2018/08/06

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            縦横無尽の知的冒険   2018/08/06  発行者:永井俊哉

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☆ 日本の農林水産業はどうあるべきか


日本では、農林水産業(広義の農業)は斜陽産業の象徴のように思われ、先進産業と
見なされた工業から後進産業と見なされた農業への所得再配分が行われてきた。しか
し、先進国に農作物輸出国が、途上国に農作物輸入国が多いことからもわかるとおり、
農業は先端的な技術を持つ先進国のほうが有利なハイテク産業である。自然環境に恵
まれ、技術立国を自負する日本は、本来農業を先進産業に育成することができたはず
なのに、そうならなかったのはなぜなのか。日本の官僚は、規模が小さいから競争力
がないと考え、大規模化と集約化を進めているが、日本の農業の根本問題は、規模の
小ささよりも、むしろ規模の大きさにある。

https://www.nagaitoshiya.com/ja/2018/agriculture-forestry-fisheries-japan-policy/

短縮URL :: http://bit.ly/2KvdSxu


☆ 永井家のルーツ


1977年10月、まだ小学生であった私は、父と一緒に『ルーツ』というテレビドラマを
見た。このドラマで、アフリカ系米国人作家、アレックス・ヘイリーは、西アフリカ
のガンビアで生まれ、米国に奴隷として売られたクンタ・キンテを自分の祖先として
探し当てた。放送後、日本では自分のルーツ探しが流行し、私の家でも、永井家の先
祖が誰なのかを探ろうということになった。後日、父方の祖父と会食する機会があり、
その時、永井家の先祖はどういう人だったのかと尋ねた。すると、祖父はニコニコし
ながら、先祖は梅月(うめづき)氏という長州藩の藩士で、幕末に藩の金を横領して、
大坂に逃げ込み、正体を偽るために永井氏を名乗ったと語った。私はその話を聞き、
自分は犯罪者の子孫なのかと衝撃を受け、こんなことなら、先祖の話など聞かなけれ
ばよかったと後悔したものだった。

https://www.nagaitoshiya.com/ja/2018/nagai-family-roots/

短縮URL :: http://bit.ly/2M715Gc


☆ 高度プロフェッショナル制度の問題は何か


高度プロフェッショナル制度(第1次安倍政権が目指したホワイトカラー・エグゼン
プション)の導入で、残業が無制限に増え、過労死が促進されるという批判は、雇用
の流動性が低いことを前提にしています。安倍総理は解雇規制の緩和に消極的なので、
安倍総理批判としては正しいのですが、高度プロフェッショナル制度に対する批判と
しては、前提を考え直す必要があります。

高度プロフェッショナル制度とは、金融ディーラー、アナリスト、コンサルタント、
研究者など、労働時間と成果の連動性が低い専門職に従事し、かつ年収1075万円以上
の労働者を労働時間の規制の対象から外す成果報酬制度のことです。成果報酬制度で
労働時間が増えるのは、労働者が成果を出せないか、成果を出しているにもかかわら
ず、上司がそれを評価しないかのどちらかです。前者の場合、自分が向いている職種
を探すべきであり、後者の場合、自分を評価してくれる上司がいる職場を探すべきで
す。どちらにせよ、労働者に仕事を選ぶ自由がある限り、成果報酬制度は、長時間労
働を帰結する必然性はありません。

このことは自営業者を見ればよく分かることです。自営業者は、仕事内容が高度とは
限らないし、年収1075万円以上もないのが普通ですが、労働時間に関する規制が何も
ない完全な成果報酬型制度で働いています。それで、自営業者がみな過労死するほど
長時間働いているかといえば、そういうことはありません。商売が儲からない場合、
自営業者は労働時間を延長するよりも、もっと儲かる仕事を探すのが普通だからです
 。米国では、金融ディーラー、アナリスト、コンサルタント、研究者といった職種
の人たちは、大きな裁量権を持った半ば自営業者のような人たちで、高い報酬を求め
て職場を転々としています。そういう場合、成果報酬制度だからといって、ワーク・
ライフ・バランスが崩れるということはないのです。

経団連は、高度プロフェッショナル制度の導入を求める一方で、不当解雇の金銭解決
に対しては「企業が経営上の予測を立てやすくなる」と評価しつつも、雇用の流動化
につながるか疑問として、慎重な姿勢を示しています。しかし、これはおかしな話で、
雇用の流動化につながらないということは現状維持ということだから、反対する理由
にはならないし、疑問というのなら、本当に流動化につながらないのかどうか試しに
やってみればよさそうなものですが、そうしないということは、本当の理由は別のと
ころにあるということなのでしょう。

雇用が流動的な社会では、有能な従業員は「待遇を改善してくれなければ、他の会社
に転職するぞ」と経営者を脅すことができます。ところが、日本のように流動性が低
い社会では、転職すれば待遇が悪化するのが普通です。おかげで、日本の経営者は、
優秀な従業員を失うことを心配せずに低賃金で扱き使うことができるのです。経団連
には保守的な経営者が多く、終身雇用制度という名の奴隷制度の存続を願っている人
が多いということでしょう。優秀な従業員に高い賃金を支払うことができない無能な
経営者は、たとえ当人たちが反対しているとしても、労働市場を機能させることで、
淘汰しなければなりません。

経団連とは対照的に、改革派の経営者が多い経済同友会は、解雇の金銭解決に積極的
に賛成しています。さすがです。中小企業でつくる日本商工会議所は、「解決金の基
準が高額になれば、経営への悪影響を考えざるを得ない」と懸念しつつも、容認する
姿勢です。中小企業の社長からは「人手不足が深刻で、雇用の流動化よりも、今の社
員を守る方が先」という声も上がっているようですが、雇用が手厚く守られているの
は大企業の方で、もしも大企業が社内の窓際族を解雇すれば、その人たちは中小企業
に職を求めるようになるでしょうから、中小企業の人手不足解消に役立つはずです。
ある企業で能力を生かすことができない人材でも、他の職場では才能を開花させるこ
とはあるので、転職は本人にとっても大きなチャンスです。

労働組合と人権派弁護士の大部分は、不当解雇の金銭解決に反対しています。雇用の
流動性が低い現在では、労働者が待遇を改善しようとすると、労働組合に頼らざるを
えません。転職が容易になれば、転職を武器に待遇を改善することができるので、労
働組合は不要になります。労働組合が解雇規制の緩和に踏み切るのは、自分たちの利
権を守るためなのです。また、弁護士の大部分は、現在のように不当解雇のルールが
不明確な方が、解雇のトラブルが起きやすく、自分たちの仕事が増えるので、解雇
ルールの明確化に反対しています。労働者の味方のような顔をしながら自分たちの職
業利益を守ることしか考えていない人たちの偽善的な反対論は、傾聴に値しません。

社会制度を変える時、社会全体として利益があるかどうかを考えて判断しなければな
りません。たとえ部分的に不利益を被る人がいても、社会全体が豊かになるなら、富
の再配分制度を通じて、底辺に落ちる人たちを救うことができます。そうした観点か
ら考えるなら、まずは解雇規制を緩和して、労働市場を機能させ、その上で、成果報
酬制度を導入し、企業単位で行われていた社会保障制度を個人単位に変え、脱工業化
社会にふさわしい「一億総自営業化」を目指すべきでしょう。

https://www.nagaitoshiya.com/ja/2015/japanese-labor-productivity-levels/#comment-4694

短縮URL :: http://bit.ly/2rZeAM5


☆ 仮想通貨への投機はゼロサムゲームか


ゼロサムゲームの典型は賭博です。娯楽産業としての賭博は、娯楽以外のいかなる生
産も行っていませんから、胴元や勝者が儲けるためには、誰かが同じ額だけの損失を
被らなければなりません。これに対して、投資は生産活動ですから、インカムゲイン
を目指す投資にせよ、キャピタルゲインを目指す投機にせよ、ゼロサムゲームになら
ざるをえない必然性はありません。

特に株や債券の場合、インカムゲインが期待できるので、売らずに持ち続けていても
利益を得ることができます。また、世界経済は、長期的には成長を続けていますので、
キャピタルゲインに関しても、投資家全員が利益を得ることは理論的には可能で、現
実においても、投資は、平均的には損失よりも儲けの方が多い。つまり、ゼロサム
ゲームではないということです。

仮想通貨は、持っているだけではインカムゲインを生じません。仮想通貨で融資すれ
ば、利息を得ることはできますが、仮想通貨は価値が激しく変動するので、融資の手
段には向いていません。実際、仮想通貨を買う人の動機は、ほとんどの場合、キャピ
タルゲインです。この点で、仮想通貨は、貴金属、石油、穀物といったコモディティ
と同じです。しかし、こうした伝統的なコモディティには、確かな需要があるのに対
して、仮想通貨に対する需要は不確かです。

仮想通貨に投機する人は、他のコモディティに投棄する人と同様に、需要があると思
っているはずです。仮想通貨の投機家たちは、しかしながら、この点で、価値の安定
に対して矛盾した願望を持つことになります。仮想通貨が、通貨としての需要に裏付
けされた価値を持つためには、その価値は法定通貨なみに安定している必要がありま
す。しかし、もしも価値が法定通貨なみに安定すると、キャピタルゲインを稼ぐ対象
としてはおもしろくなくなります。投機家たちは、この矛盾を時間上に振り分けて解
消しています。現在、価値は不安定だけれども、将来は安定し、通貨として使用され
るようになるというわけです。

しかし、仮想通貨が本当に将来法定通貨に取って代わるほど幅広く使われるかどうか
は不確定です(だからこそ、その価格は激しく変動するのです)。仮想通貨のコアと
なる技術は、ブロックチェーンですが、ブロックチェーンは仮想通貨だけが利用でき
る技術ではありません。法定通貨をブロックチェーンを用いて電子マネーとして発行
することもできます。ナスダック・リンクのようなブロックチェーンを用いた証券の
売買もすでに行われています。

もしもブロックチェーンを用いて、法定通貨による決済を低コストで実現することが
できるようになるなら、そして消費税に相当する税金を仮想通貨の使用に課すなら、
法定通貨に対する仮想通貨の優位性が失われます。その結果、仮想通貨の価値は、安
定は安定でも、ゼロで安定してしまうということも考えられます。その場合、投機目
的での仮想通貨の売買は、最終的にはゼロサムゲームであったということになります。
仮想通貨への投機を行おうと思っている人は、そうしたリスクを考慮に入れて始める
べきでしょう。

https://www.nagaitoshiya.com/ja/2001/speculators-market-stability/#comment-4696

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