芸術

バウハウス・コスモロジー

近代デザインの基礎をつくった「バウハウス」について、ドイツ留学・研究滞在経験のある発行者がわかりやすく解説していきます。いっしょにバウハウスの宇宙を旅してみませんか。

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[バウハウス・コスモロジー No.112]

2013/11/12

●□□□(バウハウス・レトロ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

もう寒い季節になってしまいましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

メルマガの発行はゆっくりやっておりますので、ぜひ気長におつき合いいた
だければ幸いです。

今回は、バウハウスの関係者としては、あまり知られていないかもしれない、
ヒルシュフェルト=マックを取り上げることにしました。

○△□

光の造形家
──────────────────────────────────
○ ルートヴィヒ・ヒルシュフェルト=マック
──────────────────────────────────
Ludwig Hirschfeld-Mack, 1893-1965

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ヒルシュフェルト=マックとはどんな人物?

ヒルシュフェルト=マックは、フランクフルトの革製品製造業者の家庭に生
まれました。ペスタロッチの理念を取り入れた実科ギムナジウム(全人教育
的なモデル校)に進学し、彼の興味と才能は強化されましたが、卒業試験を
受ける前に退学し、父親の作業場で修行をしていました。その後、ミュンヘ
ンの応用・自由美術の学校にて芸術の訓練を始めました。

1919年の春、ヒルシュフェルト=マックは、アカデミーで教鞭を執って
いたアドルフ・ヘルツェルに色彩論を学ぼうと、シュトゥットガルトに向か
いました。当時のヘルツェルは、画業とともに先端的な芸術論を展開してお
り、後にバウハウスで活躍することになるシュレンマーやイッテンなども師
事していました。ヒルシュフェルト=マックも、実績のあるヘルツェルから
直接の指導を受けることを望んでいたのです。

しかし、ヘルツェルが退職のため、師事することはできませんでした。その
後、ヒルシュフェルト=マックは、グロピウスによるバウハウス創立宣言に
魅了され、すぐに入学手続きをしたのでした。

バウハウスで学んだヒルシュフェルト=マックは、1921年にゲゼレ(職
人)検定試験を受け、銅版画職人の資格を得ました。同年、彼はバウハウス
の版画工房において報酬つきのゲゼレに採用されています。バウハウスで様
々なことを学んだヒルシュフェルト=マックは、学生たちのために課外の色
彩セミナーを開講したこともあります。また、ゲゼレ代表に選出されること
もあり、彼はバウハウス内部において縦横のつながりを円滑にするためにも
重要な役割を演じていたといえるでしょう。

○△□

カラーライトプレイズ?
colour light plays [英] 

独語:Farbenlichtspiele(複数形)

ヒルシュフェルト=マックがバウハウスにおいて成した最大の功績は、光を
投射する装置の設計です。

英訳をもって「カラーライトプレイズ」としましたが、独語の「ファルベン
リヒトシュピーレ」を「色光運動」、音楽に合わせてその場で操作するとい
う意味において「色光演奏」、バウハウスにおける祝祭の遊び的な雰囲気か
ら発想され、上演されていたことから「色光遊戯」などに訳すことも可能か
と思います。

バウハウスにおける祝祭的な催しの遊び的・協同的・創造的なあり方ととも
に登場してきたのがヒルシュフェルト=マックのカラーライトプレイズなの
ですが、これは下記のような偶然の出来事から発想されました。

1922年のランタン祭のため、木彫・石彫工房のレーリング(徒弟)であ
ったクルト・シュヴェルトフェーガーは影絵芝居を上演することを思いつき
ました。そのため、彼は同工房の手工親方であるヨーゼフ・ハルトヴィヒの
手を借り、アセチレンランプの光源で厚紙の型を手で動かす装置を作ってい
ました。そして、そのランプ交換の際に、ヒルシュフェルト=マックは気づ
いたのです。

透ける紙の上に影が二重になったり、異なる色のランプは寒色や暖色の影を
落としたりしました。すぐにヒルシュフェルト=マックは、光源を増やすこ
とや色ガラスを動かすことなどを想起しました。

その結果として作られたカラーライトプレイズの装置は、一つの大きなライ
トボックスで出来上がっており、背面が開放されている側長約1メートルの
立方体です。この立方体の背面にはワイヤーが渡されており、6〜8個の投
影用ランプが設置されます。影絵となる型板はネガの状態(通常の影絵とは
逆)になっており、ライトボックス前面に差し込まれ、ここで動かされる開
口部が造形的な照射部分となります。

参考:
http://www.medienkunstnetz.de/works/farbenlicht-spielen/images/1/
http://www.medienkunstnetz.de/works/farbenlicht-spielen/images/2/

このライトボックスは舞台上のスクリーンの背後に設置して光を投射するた
め、観客はこの機械的な装置を目にすることなく、舞台上の表現の鑑賞体験
が損ねられないようになっています。

こうして、新しい表現手段が誕生することになりました。音楽に合わせ、色
のついた光源の動きと型板の動きの連携によってなされるインタラクティブ
映像メディア表現の原型といえるものでした。

1924年にはベルリンのフォルクスビュネ・という劇場における初公演、
さらに、ヴィーンの音楽・演劇祭で上演されるまでになっています。

当時の写真(1924年頃):
http://www.eu-topias.org/upload/gal_13.jpg

カラーライトプレイズ装置及びそれによる表現の再現:
http://www.mlab.at/falisp/farbenlichtspiele.html
http://www.mlab.at/falisp/dwnloads/coloredliteplays_info.pdf

●□□□(バウハウス・カフェ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

私の近況報告です。

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□ 展覧会を企画実施しました!

 Experiment Bauhaus Ihatov
 「イーハトーブ・バウハウスの実験」展:
 http://www.art.iwate-u.ac.jp/drkenta/EBI/

 @旧石井県令邸(盛岡市)
 2013年10月11日(金)〜20日(日)

 総合芸術、アート&テクノロジー、コラボレーション、
 今日的な表現に向けた実験など
 平面作品からメディアアート、インテリアまで。

○△□

□ SoundCloudに自作曲をアップしました!
 https://soundcloud.com/drkenta

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創刊日:2000-09-04  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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