芸術

バウハウス・コスモロジー

近代デザインの基礎をつくった「バウハウス」について、ドイツ留学・研究滞在経験のある発行者がわかりやすく解説していきます。いっしょにバウハウスの宇宙を旅してみませんか。

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[バウハウス・コスモロジー No.54]

2003/11/27

Design: Art & Technology            - 不定期発行 - 
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○△□ バウハウス・コスモロジー (((bauhaus cosmology)))  No.54

                     発行者:ドクトル・ケンタ
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●□□□(バウハウス・レトロ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

美術教育の偉人はバウハウスをどうみたか?
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○ ハーバート・リード
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ハーバート・リードは、イギリスの詩人、評論家であり、その着眼点は、芸
術、教育、政治など、文化領域を幅広く捉えるものでした。

日本の美術教育は、理論的な基礎として彼の影響を強く受けています。それ
は、彼が1943年に刊行した『芸術による教育』が大きな衝撃を与えたか
らです。日本では1953年に翻訳が出版されています。

この書は、教育における芸術の機能を追究したものであり、「芸術を教育の
基礎とすべきである」という命題の証明であるといえます。また、分断して
捉えがちな感性と知性を、統合された一つのものとして修正する力をもった
「教育改革の原典」といえるものです。

最近、新たに翻訳出版されています。

宮脇理・岩崎清・直江俊雄訳『芸術による教育』フィルムアート社
(訳者は、私の恩師、そしてお世話になった方々です!)

イギリス人のリードは、ドイツのバウハウスをどう捉えていたでしょうか?

このことは、彼の『インダストリアル・デザイン』に記されています。
(原題:Art and Industry, The Principles of Industrial Design)
この本は、1934年初版のもので、その1953年改訂版が勝見勝と前田
泰治によって1957年に邦訳されています。

彼は当時のイギリスにおけるデザインの停滞を感じており、その解決策をド
イツのバウハウスに見いだそうとしていました。そして、次のように述べて
います。

「すくなくとも、美術および技術の問題に関して、わが国の教育制度を完全
に修正しない限り、われわれが必要とする変化を、実現することはできない
だろう。そのような態度の変化は、実際に可能であり、国全体のデザインに
影響をおよぼし、これに新しい生命をふきこむことができる。これを現実に
証明しているのは、ドイツの建築家ヴァルター・グロピウスの指導のもとに
行われた『バウハウス』の実験的な運動である。」

また、グロピウスのバウハウスに関する言葉を引用し、「私は、本書では、
グロピウス博士がここにのべているような理想を心から支持し、これをもっ
と多くの人々にひろめたいと思う」としています。

実は、リードは、デッサウのバウハウスを手本にして、イギリスのエディン
バラに、1932年、「バウハウス」を設立しようと働きかけをしたことが
あるのです。これは実現しなかったわけですが、彼がいかにバウハウスを評
価していたかを示す事実だと思います。

リードは「感覚の教育」の重要性を主張していましたが、その理想をバウハ
ウス教師のモホリ=ナジの実践に、彼の著書『ザ・ニュー・ヴィジョン』に
見たのです。リードは、モホリ=ナジと手紙のやりとりもしており、個人的
な交流もあったようですが、『ザ・アーキテクチュアル・レヴュー』に『ザ
・ニュー・ヴィジョン』や『ヴィジョン・イン・モーション』の書評を書い
ています。とくに後者の書評のタイトルは「偉大な教師」となっており、そ
の信頼の大きさがうかがえます。

さて、リードがバウハウス信奉者であることを確認し、また彼の『芸術によ
る教育』に戻ってみましょう。興味深い内容があります。

「第9章 教師」に、哲学者マルティン・ブーバーの言説が引用されていま
す。1925年の第3回国際教育会議「子どもの創造力の開発」(ハイデル
ベルク)における彼の「教育的なるものについて」という講演が基礎になっ
ていますが、描画の授業のあり方について次のことが指摘されています。

旧方式の教師は、模範的な手本によって、生徒らがどれだけそれに近づいた
かを判断するだけでよいと、しかし、「自由な学校の教師」は、例えばこん
なことをやると。

「『自由な』学校の教師は、例えば、水差しに入った一束のシダをテーブル
に置き、生徒にそれを写させます。あるいは、初めにそれをテーブルの上に
置いておいて、生徒に見るように言い、次にそれを取り除いて、記憶で描く
ように言うかもしれません。いずれにしても、それぞれの生徒にとっての結
果は、相当異なっているでしょう。」(上記『芸術による教育』より)

このように、一つのゴールが決まっているのではなくて、個性に応じた様々
な結果がありえるのだということを、リードはブーバーの引用で示している
のですが、私は別の意味で衝撃を受けたのです。

「こりゃ、イッテンじゃないかー!」と。

イッテンは、バウハウスの予備課程で行っていた教育実践について次のよう
な回想をしています。

「学生は一週間、毎朝30分間、シダの入れてある鉢の前に座り、この描画
の研究を行った。その週が終わると、学生はこのシダを記憶に基づいて構成
しなければならなかった。シダは20分間で自由に描かれた。」

ブーバーのいう「自由な学校の教師」というのは、バウハウス教師であった
イッテンのことではないでしょうか。知ってか知らずか、リードはその教育
方法を教師論を述べるために引用したということでは?

この真偽はどうあれ、リードがバウハウスの理念と実践を評価していたこと
に変わりはありません。


●□□□(バウハウス・カフェ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

私の近況報告です。

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VJ(映像演出)関連:
トランス・イベントのVJをやりました。

「Trance Rave」:11月14日(金)@ FACES
ゲストDJ: KAYA

今回は、FARM RECORDのリリースツアーでもありました!

そのアルバムは、「ゲッツ!〜スーパー・トランス・ヒッツ〜」です。

パーティーで流行中の曲、注目すべき新曲などが収録されています。

少し前までは、クラブでしか聴けなかったような、文化的アンダーグラウン
ドとしてのトランスが、今やどんどんポップに、ポピュラーに上がってきて
います。最近は、テレビのBGMでも流れていますね。
このような状況をクラブシーンから体験していると、新しい表現の誕生・成
長と、それが広く大衆に受け入れられていくという文化構造に興味が湧いて
きます。

クラブ情報HPも更新中! 

下記:
http://www.art.iwate-u.ac.jp/faces/
(※地域のサブカルチャー、若者文化、総合芸術のケーススタディ)

○△□

「デジタル・イーハトーヴ・グランプリ2003」:

今年も審査発表会&記念講演会が開催されます!

11月29日(土)13:30〜

私も審査員、受賞作品コメント、景気づけ(BGM+VJ)スタッフとして参加!

岩手大学工学部情報システム工学科より:
http://www-cg.cis.iwate-u.ac.jp/mm/program/prog_50.html

○△□

サウンド・デザイン:

上記イベントのカンパ・グッズとしてまとめたアルバム、自作CDのHPです。
「パッヘルベルのカノン」(著作権フリー素材)のテクノ調リミックスにも
挑戦しています!

下記:
http://kenta.edu.iwate-u.ac.jp/KENTA/HTML/se.html

○△□

福島県ものづくり専門委員会報告書:

「ものづくり」を中心にした地域振興のプロジェクトの提言に、委員として
参加しました。バウハウス研究者の立場からの意見が報告書の背景的なもの
として集約されています。

私としては「バウハウスの理念と地域振興」というテーマの実践として位置
づけられます。

福島県庁労働領域より:
http://www.pref.fukushima.jp/syoko/roudou/ginou/senmon/monozukurihoukoku.htm
報告書(PDFファイル):
http://www.pref.fukushima.jp/syoko/roudou/ginou/senmon/houkoku.pdf


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