芸術

バウハウス・コスモロジー

近代デザインの基礎をつくった「バウハウス」について、ドイツ留学・研究滞在経験のある発行者がわかりやすく解説していきます。いっしょにバウハウスの宇宙を旅してみませんか。

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[バウハウス・コスモロジー No.31]

2002/02/12

◆ Design: Art & Technology            - 不定期発行 - 
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○△□ バウハウス・コスモロジー (((bauhaus cosmology)))  No.31

                     発行者:ドクトル・ケンタ
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●□□□(バウハウス・レトロ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

私の拙論抜粋の続きです。

展覧会カタログ『バウハウス展 ガラスのユートピア』読売新聞社、2000年
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○バウハウス教育のコスモロジー(抜粋)p.30
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教育理念における統合論 ○△□

このようなバウハウスの造形教育(前号掲載)に、教育学的な背景を引き込
んだのはイッテンである。イッテンはその生涯を通じて「芸術」と「教育」
の間を往来した。

教育者になるか、芸術家になるかを悩みながら青年期を過ごし、その双方に
関わることで自らの能力を高めていった。イッテンは当時の前衛芸術に関心
をもつのと同様に、新教育運動にも精通していた。

欧米諸国における19世紀末から20世紀にいたる新教育運動は、ドイツにも教
育改革をもたらした。それは当時の知育偏重教育への反動であり、近代文明
のもたらした分裂的症状への警鐘であったといえる。ドイツ改革教育運動の
理論的位置づけを行った教育学者ヘルマン・ノールは、ドイツの教育運動の
基盤を、人間と文化共同体についての新しい理解であり、「人間性」とその
「全体性」への希求であるとしている。

イッテンの「あらゆる教育は肉体的、精神的、知的機能を解放、強化、洗練
することである」という視点は、その機能とシステムの総体としての「身体」
を有効な道具とみなし、感覚的活動、精神的活動、知的活動の相互関連によ
る人間形成へと向かった。

予備課程におけるイッテンの教育実践では、心身の統合を目的とする柔軟体
操や呼吸法、オートマティスム的な線描、明暗法による平面構成、基本的な
形態による立体構成、自然研究、材料研究、色彩論、そして芸術作品の「表
現的な鑑賞」を発展的に教育内容としていた。

彼の対照化による形態や色彩の訓練は、素材、リズム、構造の研究なども包
含し、特にテクスチュアの研究においては、「触覚」を用いて能力の改善と
拡張が求められた。

また、構造的思考を目的とする幾何学的形態の訓練においても、「感情」か
ら出発したものであることが重視された。つまり、イッテンの造形活動や教
育実践においては、人間の精神性と論理性の狭間にある感情と思考の分裂し
ていない状態が求められているのである。

さらに、巨匠の古典的作品を用いた造形分析の課題は、巨匠の行った心身一
体の表現を自ら再現してみるものであり、リズム的な描画訓練は、筋肉のリ
ズム運動から生じるだけではなく、心の内的なリズムからの衝撃を受けると
いうものであった。

イッテンの傾倒した神秘主義思想の「マスダスナン」においても、「内なる
神的精神による人間の統合」ということが求められている。

ドイツ改革教育運動における理念の共通分母は、「生」や「全体性」を求め、
遊びや学校の共同生活、あるいは労働を通して、単なる教養的体験から実際
の原体験へと連れもどすことであった。単なる知識の注入ではなく、「興味」
や「創造的能力」へと深化させることによって「立場や世界観や宗教をこえ
た生の全体的連関」を求める。

これをノールは「人間のうちの創造的可能性の総体としての新しい人間性の
概念」であるとしている。ここにはイッテンがバウハウスにもたらした予備
課程の根幹を見ることができる。

このようなドイツ改革教育運動の源流には、すでにデザイン批評家の勝見勝
がバウハウス運動について指摘しているミューズ運動と、それを母体とする
ミューズ教育がある。

この「ミューズ」とは、ギリシア神話に登場する女神たちのことであり、芸
術に関するすべての領域を司るとされているものである。そこから、ミュー
ズは芸術の統合論を主張するためのアナロジーとして取り上げられることに
なる。

そうしてミューズ運動は、市民生活における総合的文化を理想とし、人間の
統合的であったはずの生が近代社会の分業化と合理化によって分裂させられ
てしまっていることへの警鐘を鳴らすのである。

つづく ○△□


●□□□(バウハウス・カフェ)□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 

久しぶりにいつものクラブへ行ったら、少し改装されていて、フロア周りに
モニタが6台設置されていました。

(こちらのクラブは天井がそんなに高くないので、VJは、スクリーンではな
くモニタに映像出力します。)

「いつでもVJやってくれ」とのこと。自由にさせてくれることに感謝!


ドクトル・ケンタ、ラジオに登場!?!?
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○「NOMAD CITY ザ・モーリー・ロバートソン計画」J-WAVE
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今月11日(月)、モーリー・ロバートソンさんとJ-WAVE御一行様が、雪と氷
の東北の地までFM番組収録のためわざわざいらっしゃいました。

うちの学生・院生たちの自己表現活動を取り上げてくれたのですが、なんと、
私もモーリーさんのインタヴューを受けてしまいました。 

院生二人ともうすぐ院生一人のHP:
http://203.174.72.113/tmm2002/

番組はモーリーさんをパーソナリティーとする「NOMAD CITYザ・モーリー・
ロバートソン計画」(毎週日曜日 20:00-20:54)です。

http://www.j-wave.co.jp/special/livingintokyo/morley2/ 

モーリーさんのHP: 
http://homepage2.nifty.com/morley/5th/index_mr.html 
 
今回収録していただいたものは、24日(日)20:00からの放送予定!


講演情報
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○ 映像業界の現状について・宗宮賢二さん
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『AfterEffects の達人』の著者である宗宮賢二さんが、「映像業界の現状」
を主旨とするご講演をされるそうです。

2002年2月20日、カナダ大使館内クリークアンドリバー社にて

http://www.c-place.ne.jp/training/trialseminar/workstyle/005/index.html

デジタル映像のプロである宗宮さん、昨年はわざわざ会いに来ていただいた
りして恐縮でした。上記の著作は自ら DTPの版を組んだそうで、すごい力作
だと感じました。

私もいい仕事したいなー。


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 http://kenta.edu.iwate-u.ac.jp/bau-cos/bau-cos.html
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● 発行者:ドクトル・ケンタ(e-mail: vjdrkenta@hotmail.com)
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