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Wisteria+Plus NEWS

藤掛汐里個人サークルの情報メイン。二次創作系のSSなどの配信をします。

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創刊日:2006-03-24  
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サンプル記事

2000/01/01

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   Wisteria+Plus NEWS♪ Vol. 000
                                       2006.03.24発行

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         ■■■Shiori Fujikake■■■
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■イベント情報■

●5月4日 SCC Wisteria+Plus

新刊予定>>ヒビキさん本、蜂受本、冒険赤黒本、剣道おっさん本

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[甘やかな毒 カブキヒビキ(再録)]



 はぁ……


 深い息を吐いて、カブキは板の間に腹這いになった。

「なんだ?」

 火の番をしていたトウキが乾いた一瞥を投げ寄越した。
 錆びた火箸で囲炉裏の灰を無造作に掻く音が響く。
 他の連中はすっかり眠りに就いていた。

「別になにもねぇよ」

 頬杖をつき、カブキはぶっきらぼうにトウキを突き放した。
 トウキが飽きれたように小さな笑いを転がした。

「あぁに笑ってんだよ。てめぇは」

 精一杯凄んでみる。
 年上のトウキ相手では容易に見破られてしまう虚勢でも、張らねば続かない。

「判り安すぎるんだよ。お前は」
「なにがだよ」
「ガキみたいに拗ねたところで、来ないと言ったものは来まい」
「な、なんの話だよ」

 トウキが再び笑い声を立てた。
 本気で笑っているのではない。形ばかりの空っぽ。嘲笑にすらなっていない。

「ほんっとにいけすかねぇ野郎だぜ。このクソ坊主」

 腹立ち紛れに、カブキは握り締めた拳で古びた床を叩きつけた。

「仏をも恐れぬ暴言だな」
「生憎と俺は鬼なんでね。信心はしてねぇんだよ」

 トウキは口角をへの字に歪めて、肩を竦めた。
 カブキは舌打ちをして、ごろりと寝返りを打った。煤けた天井を睨み据える。


 人を殺したと言っていた。
 それも、自分の弟子————明日夢の兄貴を。
 明日夢を信じないわけではない。
 だが————あいつに限って、と思う。

 こんなことなら、弟子なんて反対すれば良かった。
 あの頃は、近くにいたのだから。
 身長はあっても、線の細い猛士とか言うガキを見たとき、妙な予感はあったのだから。
 もやもやした苛立ちを言葉にするのが悔しくて、口を噤んでしまった。
 こんなことなら————

 今更どう足掻いたって、翻らない過去でも。
 悔やまずにはいられない。

 ————こんなことなら。
 そんなガキを弟子にするなと言ってやれば良かった。


 いまだに名前を呼ばれただけで、疼く思いを抱えている自分がどうにも憐れに思えて来た。

(馬鹿野郎だな…)

 報われなかったのだと認められずに背を向けたくせに、引き摺るなんて。
 一緒にこの場にいたらいたで、別の苛立ちを背負うのに、あの笑顔が傍に欲しいと願う。
 まるで常習性の強い毒のように、常に傍らに。

「諦観と言う言葉は学ばんか」
「はあぁ?」

 トウキの唐突な言葉に、カブキは軽く身を起こした。

「諦観だ。て・い・か・ん」
「あんだよ。それは」
「諦めと言う意味だ」
「あぁにを諦めろってぇんだよ」

 食ってかかりそうになる寸前で、自らを制する。

「自分が一番良く知っているだろうが」
「…………」

 カブキは唇を噛み締めた。
 トウキが力ませに囲炉裏の灰を掻いた。鈍い音が耳朶を打った。

「願って無駄なものは願わんことだ」
「くっだらねぇ」

 より一層ぶっきらぼうに言い放って、カブキは再び仰向けに倒れた。
 トウキが鼻先で笑いを転がした。
 囲炉裏の火が弾けた。


諦めろだと?
 諦め切れるくらいなら、こんな俺はここにいない。 思いを引き摺ることも。

 鬼でいることも………。
 俺は諦め切れない。
 醜く愚かに引き摺り続ける。


 俺をこんなにしたのはお前だ。
 ちゃんと責任は取ってもらうぜ。
 必ず引き摺り出す。鬼を辞めたなんて言わせない。
 覚悟しとけ。

 ————ヒビキ…。



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 第1号からは新作の掲載をいたします。主に二次創作ですが。
 よろしくお願いしますvv

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