日記・blog

物書庵藤一週記帖

物書庵藤一が綴る、森のこと、樹々のこと、野鳥のこと、蕪村のこと、また経済のはなし、地理のはなし、歴史のはなしなどなど、雑感雑記で書き連ねていきます。

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物書庵藤一週記帖(213号)「恒常性」ということ…

2017/03/31

今年は例年になく春のくるのが遅いようです。東京地方では、気象庁に
よるサクラの開花宣言こそ早かったものの、その直後からの寒の戻りも
あって、お花見はどうやら四月にずれ込みそうです。そんな中、抗がん
剤治療第5クールの入院を来週に控え、昨三十日の木曜日、歩いて十分
ほどの大きな公園で、連れ合いとともに一分咲きにも満たないお花見を
ささやかに楽しみました。遅れてやって来る連れ合いの姿が公園の入り
口に見えたとき、愚庵の座るベンチのすぐ隣に一羽のムクドリがちょこ
んと佇んでいるのに気づき、びっくりしました。ムクは元来とても警戒
心の強い野の鳥。よほど人なつこい個体なのでしょうか。なんだかとて
もうれしくなり、しばらくたわむれたことでした。

前回の入院時に読んだ本に、細胞生物学者であり歌人でもある永田和宏
氏の『生命の内と外』(新潮選書)があります。細胞一つひとつはすべ
て「膜」に被われており、内と外との境界で、あるときは閉じあるとき
は開いて、必要物を摂取し、不要物は拒みまた排除して、生命を維持し
ている。この、生命を維持させていくシステムを恒常性(ホメオスタシ
ス)と言うそうです。常に変わることのない生命維持体とは、わかりや
すく言えば自然治癒力のことであり、愚庵流に勝手に翻訳すれば「自救
力」ということになるでしょう。

もちろん生命科学や細胞生物学などは門外漢であり、著者の言わんとす
ることがすべて理解できようはずもありませんが、さりげなく触れられ
たひと言が愚庵の胸に突き刺さりました。いわく、数ある抗生物質がそ
うであったように、いまやがん細胞も抗がん剤に対する多剤耐性、つま
り「抗がん剤を数回投与してのち、がん細胞が耐性を獲得して効果が薄
くなったと判断し他の抗がん剤を使用しても、そのがん細胞は既に新し
い抗がん剤への耐性を備えてい」るそうです……。

このまま抗がん剤治療を続けることは、ただただアメリカの超巨大製薬
会社に臨床データを提供し、耐性を獲得したがん細胞に抵抗するためさ
らに毒素を高めた劇薬を体内に投与され、やがて身も心もボロボロに朽
ちてゆく……。そうした考えなど単なる取りこし苦労に過ぎないよ、と
一笑に付されるだけなのかもしれません。決してそうならないためにも、
あと2クール分の抗がん剤治療でなんとかがん細胞に退出していただき、
免疫力を高めてくれるというネギやアブラナ科の野菜を積極的に摂って
恒常性=「自救力」を養い強化していきたい……。そう願いつづけてや
まないきょうこの頃です。

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「物書庵藤一週記帖」213号──「恒常性」ということ…

●編集・発行:<物書庵藤一>松見 藤一
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