音楽

ドイツ発『劇場訪問記』〜もっとオペラを楽しもう〜

皆さんオペラやオペレッタ見たことありますか?私も日本では見たことありませんでした。ドイツに住んで十数年、私が今までに観賞したオペラ、オペレッタ、ミュージカル、バレエ、演劇の紹介です。

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ドイツ発『劇場訪問記』〜もっとオペラを楽しもう〜

2017/02/18

2017年最初の配信です。すっかり遅くなりましたが、皆さま、健康に新年をお
迎えになられましたでしょうか?私は例年通り、自宅で年越しそばを食べ、窓
から花火が上がるのを見て新年を迎えました。

クリスマスと元旦は雪は降りませんでしたが、2日の朝起きたら雪が積もって
真っ白になっていました。日本のバラエティ番組の動画で芸能人の俳句査定を
よく見ますが、その中で「御降(おさがり)」という季語があり、新年三が日
の雨や雪が降ること、の季語だそうです。

「御下(おさがり)」という言葉を知った後に、この雪景色を見ると真っ白な
雪で年越しの花火の残骸やゴミなどがすっかり覆われて綺麗で厳粛な感じがし
ました。また、積もっている雪だけでなく、空から降って来る雪のイメージも
頭に浮かんできました。言葉を知らずに見ていた時より感じる情報が明らかに
多くなってくるようです。言葉の力のすばらしさをあらためて感じました。



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 ☆☆☆今回の目次☆☆☆
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★オペラ(65)『エレクトラ』R.シュトラウス


●クラシック・ニュース

<フランクフルト音楽賞 今年はヴァイオリニストのデビット・ギャレット>

<エルベフィルハーモニーホールがこけら落としコンサート>



●動画配信

1月11日のエルベフィルハーモニーホールのこけら落としコンサート

『エレクトラ』R.シュトラウス Youtube


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 ★★★オペラ(65)★★★ 

    『エレクトラ』R.シュトラウス
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2014年がR.シュトラウス生誕150年ということで、ここの劇場で『サロメ』が
上演されました。翌シーズンも彼の作品『エレクトラ』が上演されました。

『サロメ』は以前にも上演されたことがありましたが『エレクトラ』は初めて
です。『サロメ』よりオーケストラの規模が大きいということで、地方都市の
中小劇場ではあまり上演されないようです。もちろんここのオーケストラでは
メンバー足りないし、オーケストラボックスも小さいので、小編成版での上演
でした。


原題:Elektra (ドイツ語)
原作:ソポクレスのギリシア悲劇『エレクトラ』 
台本:フーゴ・フォン・ホーフマンスタール   
初演:1909年 ドレスデン 


【 あらすじ 】(ご存知の方はとばして下さい)

古代ギリシャ、トロイア戦争から凱旋してきたミケーネ王アガメムノンは、王
妃クリテムネストラとその愛人エギストに、王妃の娘イピゲネイラを生贄にし
た報復として殺されてしまう。アガメムノンとクリテムネストラの娘エレクト
ラは、父の仇を討つチャンスと伺っている。


ミケーネ城の庭で女中たちがエレクトラの奇行について噂話をしている。女中
たちが去るとエレクトラが現れ、父アガメムノンを殺した2人への復讐を語る。
そこに妹のクリソテミスが来て、奇行を重ねるエクストラを2人が幽閉しよう
としていると告げ、エレクトラに復讐を止めるよう説得するが聞き入れてもら
えない。

クリソテミスが去ると王妃クリテムネストラが侍女とともに現れる。王妃は夫
殺しの罪に怯え不眠と悪夢に悩んでいる。エレクトラに夢を見ない方法はない
か尋ねる。エレクトラはその方法を謎で答える。そして弟オレストを城へ戻す
ように迫るが王妃は居場所を知らないと答えるとエレクトラは恐ろしい予言を
告げる。王妃は良心の苛責に怯えて喘ぎ、二人は目を見合わせている。そこに
侍女が駆け寄り王妃に耳打ちする。王妃の表情が明るくなり、侍女と一緒にそ
の場から去る。

そこへ妹クリソテミスが嘆き悲しみやってくる。弟オレストが外国で馬に蹴ら
れて死んだことを告げると、エレクトラは2人で父の仇を討とう、今夜決行し
ようと妹に協力するよう迫る。その狂気じみた様子を恐れた妹はエレクトラを
振り払い逃げて行く。残されたエレクトラは一人で復讐することを決意し、地
面に埋めておいたアガメムノン殺害に使われた斧を掘り出し始める。そこへオ
レストの死を知らせに来た使いの男が現れる。しかし2人で話しているうちに
にお互いの正体を明かし合う。男は死んだばずの弟オレストで復讐を果たしに
戻って来たのだ。

オレストと従者の2人は城に入り、王妃クリテムネストラの寝室へ忍び込む。
やがて悲鳴が響き、それを聞きつけた妹クリソテミスと侍女たちが集まって扉
の前に立っているエレクトラを見つけ何が起こったか悟る。エギストが帰って
来てエレクトラが松明をかざして出迎え宮殿へ導き入れる。その後助けを求め
るエギストをオレストが殺害する。復讐の成功に歓喜し乱舞するエレクトラは
やがて倒れて息を引き取る。


【 雑 談 】

西洋の生活や文化はキリスト教とギリシャ神話の思想を知らないと理解できな
いことが多いと思います。

ドイツに来るとき、聖書は持ってきませんでしたが、ギリシャ神話関係の文庫
本2冊購入しました。30年近く前のことなので、当時はまだ簡単にインターネ
ットで検索できなかったので、とても役に立ちました。今でも時々引っ張り出
して読んでいます。

「ギリシャ神話 付北欧神話」 山室 静 著
「ギリシャ神話小事典」    B.エヴェスリン著 小林 稔 訳


エレクトラについては、「ギリシャ神話小事典」内に以下の記載があります。
(固有名詞の記載について、オペラではドイツ語読みになっています、)

アガメムノンとクリュタイムネストラの娘、アトシウス家の凄惨な物語の中心
人物、父親をたいへん愛していて、父がクリュタイムネストラとアイギストス
に殺害されたとき、その復讐を誓った。殺害の行われた晩、エレクトラは弟の
オレステスを城から連れ出した。アイギストスがオレステスも殺そうとしてい
ることを知っていたからである。

彼女はオレステスを隣国に残してミュケナイにもどり、母親とその愛人に対す
る憎しみを隠して、母思いの娘であるふりをしていた。そしてオレステスが成
人したとき、エレクトラは彼に流浪の地から呼び戻し、自分のいだいている憎
しみの情を彼の心中にもかき立てた。その夜、オレステスは抜き身の剣をひっ
さげて王の寝室に侵入し、母親とアイギストを殺した。

その後恐ろしい時がやってくる。オレステスは復讐の女神たちに追いまわされ、
夜ごとに、すさまじい叫びをあげる母親の亡霊につきまとわれるが、その間、
エレクトラはやさしく弟の面倒を見、彼が自殺しないように気を配った。

エレクトラというのは琥珀(こはく)のことで、その琥珀色が彼女のすばらし
い目の色だった。英語のelectrictcity〈電気〉は、この情熱的な娘の名に由
来する。その不思議な力は、はじめ琥珀を絹布でこすることから生じたからで
ある。


ギリシャ神話を知っている人が「エレクトラ」の名前を聞いたら、私たちが
「桃太郎」を聞いた時と同様に、頭の中に上記の物語が浮かぶのではないでし
ょうか?映画などで、エレクトラの役を演じる人の瞳の色に今度から気を付け
てみたいと思います。


ギリシャ神話は古代ギリシアより語り伝えられる伝承文化ですが、現在ギリシ
ア神話として知られている物語の始まりは、紀元前15世紀頃に遡ると考えられ
ています。当時口承形式で歌われて伝えられ、紀元前9世紀または8世紀頃に属
すると考えられるホメーロスの二大叙事詩『イーリアス』と『オデュッセイ
ア』は、この口承形式の神話の頂点に位置する傑作とされています。

口承で伝えられていた物語を文字で記録し、神々や英雄たちの関係や秩序を、
体系的にまとめたのは、ホメーロスより少し時代をくだる紀元前8世紀の詩人
ヘーシオドスです。

その後、ギリシア悲劇の詩人たちが、ギリシア神話に奥行きを与えると共に、
人間的な深みをもたらし、神話をより体系的に、かつ強固な輪郭を持つ世界と
して築き上げて行きました。


この作品の原作と言われる「エレクトラ」を書いたソフォクレス〈紀元前496
年頃〜紀元前406年頃)は、アテナイの悲劇作家、古代ギリシア三大悲劇詩人
の一人に数えられています。(残りの2人は、アイスキュロスとエウリピデ
ス)


R.シュトラウスとフーゴー・フォン・ホーフマンスタールは、作曲家と詩人と
して『エレクトラ』(1909年)、『ばらの騎士』(1911年)、『ナクソス島のアリ
アドネ』(1912年、1916)、『影のない女』(1919年)、『エジプトのヘレナ』
(1928年)、『アラベラ』(1939年)の6つのオペラを共同制作したことで知ら
れています。2人の協力関係は1906年から1929年のホーフマンスタールの死ま
で23年間に続きました。

2人の最初の出会いは1899年ベルリンで、その後詩人は作曲家にバレエ『時の
勝利』の台本を送っていますが、作曲家に断られ実現しませんでした。

2人の最初の共同作品である『エレクトラ』は、最初戯曲として上演されたも
のを作曲家が見てオペラ化を提案しましたが、前作の『サロメ』と題材が似て
いることから作曲家が躊躇しはじめ、詩人の熱心な勧めで完成しています。
『エレクトラ』の台本では、戯曲の大幅なカットなど変更のほとんどは、作曲
家の要求に詩人が従っているのは、詩人の譲歩によるものでしょう。


戯曲の初演は1903年で、マックス・ラインハルト演出でベルリンの小劇場で上
演されていますが、作曲家がこの戯曲を見たのは1905年が最初で、1903年にベ
ルリンでは『サロメ』を見たと言われています。


ここの劇場の動画です。

https://vimeo.com/155794153

アメブロに舞台の様子を記事にしています。

http://ameblo.jp/marina5055/theme-10068766330.html


最初の明るい庭園、白い洗濯物など日常的なシーンからはこれから起こる恐ろ
しい殺人劇は想像もできません。

特に最後はここまでする必要あるのか?と疑問もありましたが、前作の『サロ
メ』でも、最後はサロメがピストルでほとんどの登場人物を殺しすシーンで終
わっていたので、その繋がりから同じような結末にしたのでしょう。

歌詞はドイツ語ですが、歌詞の内容を聞き取ることができませんでした。後か
ら日本語訳を読みました。

https://www31.atwiki.jp/oper/pages/462.html

歌詞の内容が分かって作品を観ると、また印象が違ってくると思います。



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 ●クラシック・ニュース
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<フランクフルト音楽賞 今年はヴァイオリニストのデビット・ギャレット>

                      2月17日 フランクフルト発

ヴァイオリニストのデビット・ギャレット氏が今年のフランクフルト音楽賞を
受賞しました。この賞は1982年から毎年、国際的な音楽界への顕著な貢献をし
たアーティストに15000ユーロの賞金を授与しています。デビット・ギャレッ
トは1980年にドイツのアーヘンで生まれ、5歳で "Jugend musiziert"で優勝。
12歳で大手レコードレーベルと契約。クロスオーバーCDでベストセラーのミ
ュージシャンの1人です。



<エルベフィルハーモニーホールがこけら落としコンサート>
  
                        1月11日 ハンブルク発

ドイツのニュースの映像です。2100席もある大ホールに、メルケル首相も来て
います。今シーズンのコンサートのチケットはすでに完売だそうです。

https://www.zdf.de/nachrichten/heute/videos/elphi-eroeffnung-100.html



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 ●動画配信 
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1月11日のエルベフィルハーモニーホールのこけら落としコンサート

http://www.3sat.de/mediathek/?mode=play&obj=64255


<<プログラム>> 

Ludwig van Beethoven
Ouverture zu ≫Die Geschopfe des Prometheus≪ op. 43

Emilio de' Cavaliere
Dalle piu alte sfere, aus: La Pellegrina

Rolf Liebermann
Furioso

Olivier Messiaen
Finale aus: Turangalila-Sinfonie fur Klavier, Ondes Martenot und Orche
ster

Jacob Praetorius
Quam pulchra es / Motette fur 5 Stimmen und Basso continuo

Richard Wagner
Vorspiel zu ≫Parsifal≪

Wolfgang Rihm
Reminiszenz / Triptychon und Spruch in memoriam Hans Henny Jahnn / Ura
uffuhrung / Auftragswerk des NDR
u.a.


『エレクトラ』R.シュトラウス Youtube

ちょっと古い録音ですが、検索して見つけたのでご紹介します。
舞台や演出が違うと、音楽も違って聞こえますね。

1989年 ウィーン国立歌劇場

https://www.youtube.com/watch?v=i63RB51N7ME

Clytemnestra: Brigitte Fassbaender
Elektra: Eva Marton
Chrysothemis: Cheryl Studer
Aegisthus: James King

Claudio Abbado
Wiener Staatsoper

Libretto: Hugo von Hofmannsthal
Producer: Harry Kupfer

1989, Vienna State Opera



【おわりに】

ここ数ヶ月劇場に行く機会がなくて、また以前観た作品のご紹介になりました。
先週はやっと「ニュルンベルグのマイスタージンガー」を観に行ってきました。
次回はそのご紹介ができればと思います。

2月になりだいぶ日が長くなって温かい日もありますが、まだまだ油断大敵で
す。日本の皆さんもインフルエンザが流行っているようなので、お身体ご自愛
くださいませ。  
 


それでは、またこのメールでお会いできますように。


   このメールに関する皆様からのご意見・ご感想をお待ちしています。

   アドレスはこちら matsuno_marina@hotmail.com
   タイトルは    「エレクトラ」でお願いします。


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創刊日:2002-05-22  
最終発行日:  
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