音楽

ドイツ発『劇場訪問記』〜もっとオペラを楽しもう〜

皆さんオペラやオペレッタ見たことありますか?私も日本では見たことありませんでした。ドイツに住んで十数年、私が今までに観賞したオペラ、オペレッタ、ミュージカル、バレエ、演劇の紹介です。

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ドイツ発『劇場訪問記』〜もっとオペラを楽しもう〜

2005/07/18

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    ドイツ発『劇場訪問記』〜もっとオペラを楽しもう〜

        『マルタ(リッチモンドの市場)』フロート
                                第87号
                            発行2005.07.18
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こんばんは、マリナです。ドイツの各州の学校も夏季休暇に入り、心なしか街
中にの子供達の姿が少なくなったような気がします。ようやく夏らしい気候に
なって、お天気が良い夕食時には、近所の庭から美味しそうなバーベキューの
匂いが漂ってくるようになりました。

ドイツ人はバーベキューが大好きで、スーパーの肉売り場には味付けされた肉
がパック詰めで売られています。もちろん私達日本人はそんなお肉は買わずに、
自分達でお醤油を使って味付けしていますが。

この季節あちこちでバーベキュー・パーティに招かれますが、外で食事をする
と食欲が増し、ビールも身体から蒸発しているように全然飲んだ気がしません
ね。また体重計に乗るのが怖い日々になりました。


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 ☆☆☆今回の目次☆☆☆
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      ★オペラ(40)『マルタ(リッチモンドの市場)』フロート

   ●最近の新聞記事より
    <Tomlinsonがバイロイトの出演を辞退>7月1日、バイロイト発
    <ヴィヴァルディのオペラが上演禁止>7月13日、デュッセルドルフ

   ●最近の話題のプレミエ
    『運命の力』ヴェルディ   6月28日(火)
    『オペラ舞踏会』Heuberger  7月3日(日) 
    『マヤコヴスキーの死』Schnebel  7月15日(金)
    『アルチーナ』ヘンデル    7月17日(日)

   ●ドイツ国内の歌劇場、劇場紹介(65) フォルツハイム

   ● 夏の音楽祭情報
     バード・イシュル レーハル祭 7月8日〜8月28日
     バイロイト ワーグナー音楽祭 7月25日〜8月28日
     ザルツブルク 夏の音楽祭   7月25日〜8月31日

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 ★★★オペラ(40)★★★

   『マルタ(リッチモンドの市場)』フロート 
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第86号でご紹介したスメタナの『売られた花嫁』もコミック・オペラと名付け
られておりますが、フランスのオペラ・コミークやドイツのジングシュピール
では会話の部分が普通に話されるのに対し、ドイツのコミック・オペラでは会
話の部分がレチタティーヴォで歌い語りされます。その代表としてロルツィン
グの『ロシア皇帝と大工』(1837年)、ニコライの『ウィンザーの陽気な女房
達』(1849年)、フロートの『マルタ』(1847年)などが挙げられ、今日でもよく
ドイツ国内で上演されております。

今回の作品『マルタ(リッチモンドの市場)』は1847年9月25日ウィーン初演か
ら大成功で1882年には500回記念公演がウィーンで上演されています。現在で
も劇場経営が苦しい時には支配人が『マルタ』を少なくともプログラムに取り
入れるという噂です。

※「マルタ」という名前は主人公のレディ・ハリエットが農婦に変装したと 
 きに使った偽名、「リッチモンド」は舞台となったロンドン郊外。


原 題  :  Martha oder der Markt zu Richmond(ドイツ語)

原 作 : サン・ジュルジュのバレエ『レディ・ハリエット』
           
台 本 : ヴィルヘルム・フリードリッヒ(Willhelm Friedrich)

初 演 : 1847年、ウィーン。



【 あらすじ 】(ご存知の方はとばして下さい)

アン女王の治世時代(1702-14在位)、イギリス・リッチモンド。

第一幕(リッチモンドのハリエットの部屋、女中市の開催されている市場)

アン女王に仕える女官ハリエットは宮廷生活の退屈さに堪りかねて沈みがち。
ハリエットの侍女で親友のナンシーはハリエットの気分を変えたり元気づけよ
うと努めたがうまくいかない。ハリエットの従兄弟で求婚者であるトリスタン
卿が訪ねて来るがハリエットに冷たくあしらわれる。その時窓の外から女中市
に行く娘たちの歌声が聞こえてくる。ハリエットは好奇心から農婦に変装して
市に出かけることを思いつき、ナンシーとトリスタン卿も農民の服を着て一緒
に出かける。

市場では田舎から職探しに来た娘たち、女中を探している人々で大賑わい。裕
福な農夫のプランケットと義弟のライオネルも女中を探しに来ている。ライオ
ネルはプランケットの両親に見取られて亡くなった父が「困った時に女王に見
せるように」と遺言した指輪を持っている。プランケットとライオネルは美し
いハリエットとナンシーに目を付け、手付け金を渡して家へ連れ帰る。


第二幕(プランケットの農家)

大変なことになったと後悔しているハリエットとナンシーは、マルタとユリア
と名乗り、プランケット達から仕事を言いつけられても何もできない。糸紡ぎ
機の使い方をプランケット達がやって見せると4人は楽しく歌いだす。プラン
ケットがナンシーと部屋を出て行くと、ライオネルがハリエットに歌を要求す
る。その歌声に魅惑されたライオネルはハリエットに求婚するが、ハリエット
は断る。夜になりトリスタン卿がハリエット達を助けに来て、2人は無事に逃
げ出す。


第三幕(森の狩場)

プランケットがピクニックして飲んでいると女王の狩りの一行がやってくる。
その中にナンシーを見つけ連れて帰ろうとするが、ナンシーはプランケットに
女猟師達を差し向け追い払う。一方ライオネルはマルタに振られて逃げられた
ショックで落ち込んでいるが、益々マルタ(ハリエット)のことが忘れられなく
なっている。

トリスタン卿を退けて1人で沈んでいるハリエットを見てライオネルは駆け寄
り愛を告白するが、ハリエットは人違いだと相手にしない。そこへ宮廷の人々
が集まってきて大騒ぎになり、ハリエットの本当の身分が分かる。貴婦人達の
お遊びに騙されたとライオネルは怒り、宮廷の人々から捕らえられる。ライオ
ネルは父の形見の指輪を思い出しプランケットに渡す。


第四幕(ブランケットの家)

ハリエットはその指輪を女王に見せ、ライオネルが追放されたダービー伯爵の
息子であることが判明する。身分の違いがなくなり、ハリエットは改めてライ
オネルへの愛に気付きライオネルに告白するが、傷ついたライオネルは心を閉
ざしたままだ。一方プランケットとナンシーは仲直りし婚約を交わす。

ハリエットは策を用いてプランケットの家の前に最初に二人が出会った女中市
を再現する。ブランケットに連れられてあの日と同じ姿のハリエットを見たラ
イオネルは心を開き、お互いの愛を確認する。


【 雑 談 】

Fridrich von Flotow(1812-1883)はロストック近郊の教養がある地方貴族の家
に生まれ、音楽を愛する両親の影響を受け幼い頃より音楽に親しむ。親の勧め
では外交官になる予定だったが、16歳の時親を説得してパリで音楽を学び、そ
の後1847年までパリに留まり作曲家として活動。

1844年オペラ『アレクサンドロ・ストラデッラ』のハンブルグ初演が成功し、
ウィーン宮廷歌劇場の支配人からオペラ作曲を依頼され、1843年パリのオペラ
座から依頼されたバレエ『レディ・ハリエット(グリニッジの女官)』を題材に
したオペラ台本を『ストラデッラ』の台本作家に依頼してこの作品ができる。


この作品は翌1848年3月25日、ドレスデンでワーグナー指揮により初演されて
います。ワーグナーはこのオペラを忌み嫌い、続けて指揮するのを拒否するた
めに革命に身を投じたと言われているほどです。

またワーグナー(1813-1883)は同年代でパリで認められ、裕福な地方貴族出身
のフロートにあまり好意を抱いていなかったようで、フランス風ダンス音楽を
退屈だと評しています。

古くからのオペラ論争で、庶民的な音楽を低俗だと評する時代が何度もありま
した。ロルツィング、ニコライ、フロートらの現在でもよく上演されているコ
ミック・オペラ作品が書かれた時代は1848/49の革命前10年間だけです。


このオペラの時代はアン女王の治世時代となっておりますが、アン女王はオペ
ラ内には登場しませんので、演出によって現代風にアレンジされた作品も近年
では見られるようです。

ここの劇場では2002/03のシーズンに上演していました。確か劇場経営の苦し
い頃でした。舞台の枠の部分を赤いバラの蔓で囲んでロマンチックに、衣装は
18世紀風でした。

1幕のハリエットの部屋は薄いクリーム色のカーテンと重厚な木の家具、ハリ
エットが下着姿でナンシーが色々衣装を選んでいるのに不満なハリエット。
市場のシーンでは、大道具はなくコーラスの人たちで舞台が埋め尽くされてい
ました。

2幕の糸紡ぎの歌のシーンでは、糸紡ぎ機が足踏みミシンのように足で踏むと
輪がくるくる回わり、歌も楽しくて面白かったです。曲としては「おやすみの
四重奏」の方がハーモニーが美しくて好きです。

3幕の森のシーン、解説書には森の居酒屋と書かれていますが、ここでは木の
代わりに巨大な赤いバラの木(?)が中央に1本立っていて、そこで床に布を広
げてブランケットとライオネルがピクニックしていました。このバラの木の3
輪の巨大バラがちょっと安っぽい。

狩りの衣装は赤い上着に白の乗馬ズボン、黒の乗馬靴で統一されて、バックの
青い空の色とのコントラストがきれい。

4幕ではもう一度市場のシーンを再現しなければならないのに、コーラスが舞
台にいなくて変でした。

レチタティーヴォの部分が私にはよく聞き取れなくて内容がよく理解できませ
んでした。これは新聞の批評にも書かれていたので、ドイツ人にも聞き取りに
くかったようです。


この作品の中で歌われるアイルランド民謡「夏の最後のバラ」(日本語題名
『庭の千草』)は皆さんもよくご存知だと思います。どうしてバラか千草にな
ったのか、貴婦人と農婦の違いでしょうか?皆さんも歌詞を比べてみてくださ
い。


「庭の千草」
http://www.mahoroba.ne.jp/~gonbe007/hog/shouka/00_songs.html

「夏の最後のバラ」
http://www.ffortune.net/symbol/poem/ireland/lastrose.htm


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  最近の新聞記事より 
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<Tomlinsonがバイロイトの出演を辞退>7月1日、バイロイト発

音楽祭の1ヶ月前に『さまよえるオランダ人』の主役を歌うJohn Tomlinsonが
出演を取やめた。代役として歌うフィンランド人バリトン歌手Jukka 
Rasilainenが、第94回ワーグナー音楽祭でデビューすると音楽祭責任者が発表
した。Tomlinsonは1988年から毎年連続して音楽祭で歌い続けてきた。事故の
ため手術を受けなければならす、秋まで舞台に立てないというのが辞退の理由
だと伝えられている。


<ヴィヴァルディのオペラが上演禁止>7月13日、デュッセルドルフ発

デュッセルドルフ地方裁判所は上演が予定されていたヴィヴァルディのオペラ
『Motezuma』の上演禁止の仮処分を下し、ベルリン・ジングアカデミーの訴え
が認められた。この作品は250年前に著作権が切れているものの、最近になっ
てベルリン・ジングアカデミーの書簡庫から発見されている。

判決の理由は、ベルリン・ジングアカデミーはこの歴史的で未発表の作品をイ
ンターネットを通じて初公開した。そのため著作権がベルリン・ジングアカデ
ミーに生じるということだ。


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  最近の話題のプレミエ
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ミュンヘン・オペラ祭(6月25日〜7月31日)

http://www.muenchner-opern-festspiele.de/

  『運命の力』ヴェルディ   6月28日(火)
   指揮:Fabio Luisi   演出:David Alden  

  『オペラ舞踏会』Heuberger  7月3日(日)
   指揮:Andreas Kowalewitz  演出:Josef Ernst Kopplinger

  『マヤコヴスキーの死』Schnebel  7月15日(金)
   指揮:Ekkehard Klemm  演出:Florentine Klepper

    『アルチーナ』ヘンデル    7月17日(日)
     指揮:Ivor Bolton   演出:Christoph Loy


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  ドイツ国内の歌劇場、プレミエ紹介 (雑誌「Opernwelt」参照)
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65  フォルツハイム  Pforzheim

http://www.theater-pforzheim.de/

来シーズンのプレミエ紹介です。

※「フィデリオ」:ベートーベン9月24日
※「ヴェネツィアの一夜」シュトラウス:11月9日
※「エビータ」ミュージカル:12月31日
※「トスカ」プッチーニ:2006年3月3日
※「Non(n)sense」Goggin:3月の予定
※「ドン・カルロス」ヴェルディ:5月9日


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  夏の音楽祭情報
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※バード・イシュル レーハル祭 7月8日〜8月28日

レハールのオペレッタ『エヴァ』、ミレッカーの『乞食学生』など
 
http://www.leharfestival.at 


※バイロイト ワーグナー音楽祭 7月25日〜8月28日

オープニングはChristoph Marthaler新演出の『トリスタンとイゾルデ』

http://www.bayreuther-festspiele.de  


※ザルツブルク 夏の音楽祭 7月25日〜8月31日 

ヴェルデイの『椿姫』Anna Netrebko, Rolando Villazon, Franz Schrekers

http://www.salzburgfestival.at  


【 おわりに 】  

日本もそろそろ夏休みの時期ですね。私の周囲の人達も休暇を取って日本へ帰
ったり、どこかに別荘を借りて過ごしに行ったりしていますが、コーラスの練
習には夏休みがないので毎週続けて行っています。

というのは、11月末にコンサートが予定されていて、ハイドンの『四季』全曲
歌うことになっているからです。オラトリオといって農夫の父、息子、娘がソ
ロで四季の移り変わりをオペラのように歌うのですが、練習ではコーラスの部
分だけ歌い、そのほとんどが繰り返しの歌詞なので物語がよく分かりません。
ドイツ語でも古い単語が使われているので、時々辞書を引いて歌詞の内容を確
かめています。

また先日、『ボエーム』のイタリア語上演を観て来ました。ここの音楽大学学
生の公演でした。始めのうちは若者達の面白い会話が分かった方が楽しいだろ
うと思いながら見ていたのですが、ミミが登場するシーンからはイタリア語で
も関係なく表情や動作で内容が自然に理解でき、ラストはやっぱり泣いてしま
いました。言葉を理解しようと歌詞に集中するよりも、音楽と舞台が自然に入
ってきた感じでした。
 

それでは、またこのメールでお会いできますように。
次回は  オペレッタの予定です。


   このメールに関する皆様からのご意見・ご感想をお待ちしています。

   アドレスはこちら matsuno_marina@hotmail.com
   タイトルは    「マルタ」でお願いします。


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ドイツ発『劇場訪問記』〜もっとオペラを楽しもう〜 
編集・発行 / 松野マリナ  matsuno_marina@hotmail.com
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