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Moyan Odiria

ファンタジー世界の源である中世ヨーロッパ民俗文化について解説。
中世に関する素朴な疑問等もお待ちしております。

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[Moyan Odiria]#148 12/08号

2010/12/08

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                                                                  第148号
                                                              2010/12/08
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            ファンタジー/中世ヨーロッパ民俗文化情報マガジン

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[Contents]

○中世ヨーロッパ・情報ヘッドライン
○告死童子の中世的物質コラム
○編集後記
○本日の一言

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今月24日はクリスマスイブ、25日はクリスマス本祭があります。
日本は不景気の影響もあってか、おうちの飾り付けが少ない気がします・・・で
すが、お祝いすることに変わりはないので、よしとしましょう。
ちなみに中世のクリスマスは11月から1月12日前後までとロングです。ご存じでし
たか?

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▲▼▲▼中世ヨーロッパ・情報ヘッドライン▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

webサイト「Medieval news(http://medievalnews.blogspot.com/)」
に掲載されている情報をメルマガにてお届けする新コーナーを設置いたします。
現在でもヨーロッパ各地では中世の名残の祭りや発掘などが続けられています。
その情報をニュース形式で日本の皆様へお届けします!

●アーサー王伝記の原版原稿が落札〜イギリス〜

日本でも人気が高いアーサー王物語を含めた最古の原稿が、イギリスの老舗オー
クション「サザビーズ」で239万ポンド(約3億1000万円)という高値で落札され
ました。
中には彩色ゆたかな円卓の騎士たちが描かれたイラストも含まれているとのこと
です。描かれたのは1315年〜1323年頃、フランスの貴族によって製作され、2回
ほど転売された後、19世紀になってイギリスのコレクター・サー=フィリップス
が買い取ったといわれています。

詳細は下記リンクからどうぞ。
[independent(英語)]
http://www.independent.co.uk/

※落札された原本はサザビーズサイトから閲覧可能。
[Sotheby's]
http://www.sothebys.com/app/live/lot/LotDetail.jsp?sale_number=L10241&live_lot_id=33
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○告死童子の中世的物質コラム・第11回○
〜錬鉄のお話/ちょっと専門的編2〜

※8か月ぶりの再開です。前回分はバックナンバーからどうぞ。
http://archive.mag2.com/0000047400/20100427200000000.html

銅を溶かすのに十分な温度の窯があれば、鉄鉱石を還元し、鉄に浸炭処理を施し
て鋼製品を作れますが、まだ鉄は溶けません。さらに窯が発達して、温度が摂氏
1,100〜1,300度を超えると、“鉄を溶かす”ことができるようになります。溶け
て還元された鉄は、窯の底に孔をあけておけば、そこから流れ出しますから、窯
を火にかけたまま、次々と鉄鉱石を投入して、連続的に鉄を生産することができ
るようになりました。
低温固体還元の時には、還元作業が終わる都度、固体の鉄を取り出さなくてはな
らず、とても面倒でしたが、こうした炉により飛躍的に生産性が向上したのです。
そして鉄鉱石と一緒に十分な木材を投入してやれば、固体より液体のほうが炭素
を取り込みやすいこともあって、十分な炭素を含んだ鉄が出てきます。こうして
中国では、固体浸炭のものより多くの炭素を含む“鋳鉄(銑鉄)”が紀元前にでき
ました。なお、この方法を“低温固体還元法”に対して、“高温液体還元法”と
いいます。

前述の通り、鋳鉄は硬く脆いので、強靱さが要求される武器などには使われず、
始めは農具、犂や鍬の刃などに用いられました。春秋戦国時代には鋳鉄製の農具
が出回りだしていましたが、武具に使われたのは、依然として固体浸炭鋼や青銅
だったのです。最終的に秦が中国全土を統一するこの戦乱の時代に、各国で他国
より優位に立つべく、頑丈な鉄が研究されました。

そして、その混乱を最終的に収めた漢の時代になって、“攪錬鋼”が発明されま
した。この鋼は、錬鉄に浸炭するのとは逆に、鋳鉄から炭素を抜いて造るもので、
鋳鉄を溶かして攪拌し、鉄中の炭素と空気中の酸素を結びつけ、二酸化炭素にし
て飛ばすことで炭素量を少なくする方法です。
浸炭に対して“脱炭”させるのですね。鉄を酸素に触れさせることで、炭素だけ
でなく不純物も酸化析出するので、鍛打、除去して、不純物の少ない鋼が得られ
ました。ただ錬鉄に浸炭させるのと同様、現象としては逆ですが、厚い材料では
中の炭素が抜けきらず脆くなってしまうので、やはり鋳鉄を十分に薄くして脱炭
する必要があります。しかし錬鉄を浸炭するのに比べると炭素の量が多く、脆さ
はあるものの硬いことから、攪錬鋼のほうが良材とされました。なおヨーロッパ
でこの方法が始まったのは、18世紀頃といわれます。

ただ“攪錬鋼”も良材とはいえ、均質な材料を造るには大変手間がかかりました。
そこで紀元3世紀頃になると、“灌鋼法”が開発されます。これは純鉄と鋳鉄を混
ぜて一緒に溶かしてしまう方法で、このときの純鉄は錬鉄ではなく、鍛打する前
の海綿鉄を使います。取り出した海綿鉄に溶けた鋳鉄を注ぎ込むと、海綿鉄、鋳
鉄のそれぞれに含まれた不純物が熱によって酸化して除去しやすくなり、さらに
鋳鉄も適度に脱炭されて、鍛打によって均質な鋼を造ることができました。
海綿鉄と鋳鉄の比率をコントロールすることで最終的な炭素の量も制御できたの
で、特に南北朝時代には南方で広まっていたようです。

その後、近代になるまで鋼は改良されましたが、いずれもベースになったのが灌
鋼でした。特に“蘇鋼”は、さらに高くなった炉の温度により、鉄にとって有害
な燐分や硫黄が少なく、とても良質の鋼だったといわれています。

                                                       (文責:告死童子)

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○編集後記○
休みの日は極力中世の料理やお菓子作りに専念していますが、中世当時と現代の
作り方は大差ないことが改めて実感できました。
アップルパイを例にとると、今は「現代の産物」パイシートを使ってリンゴをちょっ
と煮詰めて焼けばできあがりですが、中世はリンゴを「水に溶かす」以外はほと
んど変わりない焼き方です。パイ生地は今のようなバターたっぷりなものではな
いですが・・・。
再現料理の実践もIllusion Windブロにグちょこちょこ掲載していますので、資料
用などにお読み頂けると幸いです。クリスマスの時期はクリスマス料理も実践し
てみたいですね。

[Illusion Brog]
http://illusion.gjgd.net/
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:本日の一言:
知識のない熱心さは、光のない火である。
                                                    (イギリスのことわざ)

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Moyan Odiria 148
発行・編集人:Illusion Wind
最終発行日: 2010/12/08

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Mail:illu@woodruff.press.ne.jp
(問い合わせ・掲載希望等は上記アドレスまでお願いします)

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創刊日:2002-01-28  
最終発行日:  
発行周期:隔週  
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