文学

ハイリゲンシュタットの怪人

一人の日本人ジャーナリストが、21世紀のウィーンで、ベートーヴェンの亡霊に出会い、9・11後の世界について語り合うと言う物語です。

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ハイリゲンシュタットの怪人(8)

2006/05/07


(続きです)




              ハイリゲンシュタットの怪人




                  第一の変奏曲




                    8




     僕は、その家の窓から、外を見た。通りと反対側に面したその窓からは、
    庭の木々と、その向こうに見える遠くの家の光景が見えた。それは、一枚
    の水彩画の様な風景であった。あの人物も、この景色を見たのだろうか?
    と、僕は、思った。いや、そんな筈は無い、と僕は、思った。当時と今で
    は、この辺りもすっかり変わってしまってゐる。この窓から見えるこの風
    景も、今では、すっかり変はってしまったに違い無い。だから、これは、
    彼が見た風景などではないのだ、と僕は、心の中で思った。

                                 (続く)





    核時代60年3月10日(木)











                       西岡昌紀(にしおかまさのり)

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創刊日:2004-09-11  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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