文学

ハイリゲンシュタットの怪人

一人の日本人ジャーナリストが、21世紀のウィーンで、ベートーヴェンの亡霊に出会い、9・11後の世界について語り合うと言う物語です。

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アイリゲンシュタットの怪人(7)

2006/05/07


(続きです)




              ハイリゲンシュタットの怪人




                  第一の変奏曲




                    7




     中には、観光客が数人居た。彼らは、無言のまま、その小さな家の中の
    展示を見つめてゐた。そこには、手紙のレプリカが有り、そして、あの人
    物の肖像画が掛けられて有った。僕は、その手紙のレプリカを読もうとし
    たが、読みにくい筆記体で書かれたその手紙は、良く読めなかった。その
    代はりに、僕は、彼の肖像画に目をやった。そして、彼が、かつて、この
    世に生きてゐた時、彼のその眼差しの奥に、どんな心が有ったのだろう?
    と想像した。そうなのだ、と僕は、思った。彼は、この家で、遺書を書い
    たのだ。この家で、彼は、一度は、死を決意したのだった。
    
                                 (続く)




    核時代60年(平成17年)3月9日(水)











                       西岡昌紀(にしおかまさのり)

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創刊日:2004-09-11  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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