文学

オルフェウスの杖

妻を亡くした老作曲家が、クリスマス・イヴの夜、新宿の喫茶店で怪人メフィストフェレスに遭遇します。そして、その怪人から、或る条件で、作曲家が、冥界から妻を連れ戻す手伝いをすると言われます。その条件とは何でしょうか。

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オルフェウスの杖(7)

2006/05/01


(続きです)




                   オルフェウスの杖




                       7




     すると、メフィストフェレスは、満面の笑みを浮かべて答えた。
    「それは、私共が、先生の音楽を愛してゐるからでございます。」
    その答えに、黒田は、当惑した。
    「あなた方が?私の音楽を?」
    黒田は、唖然とした。
    「はい。さようでございます。」
    怪人は、そう言ってうなずいた。その言葉に、黒田は、信じられないと言ふ顔
    で問い返した。
    「あなた方が、私の音楽を愛してゐるですと?この世の者でないあなた方が、
    私の作品を愛してゐると言ふのですか?」
    メフィストフェレスは、うなずいた。
    「は、は、は。」と、作曲家は、笑った。
    「これは、傑作だ。」
    「?」
    「つまり、私の作品は、この世では聴衆に愛されず、あの世で愛されてゐると!
    傑作だ!これが、現代音楽の運命なのですかな?」
    黒田は、笑いながら、涙を拭いた。

                                   (続く)





    核時代59年(西暦2004年)1月27日(火)
















                         西岡昌紀(にしおかまさのり)

                    http://macky.nifty.com/cgi-bin/bndisp.cgi?M-ID=tohno1

 

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創刊日:2002-11-27  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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