文学

広島のメリー・クリスマス

広島を舞台にした小説です。原爆投下は正しかったと言うイギリス人が、クリスマス・イヴの日、広島で、奇妙な老人に出会ひ、百物語と呼ばれる降霊術に招かれると言ふ物語です。

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広島のメリー・クリスマス(42)

2006/03/04


(続きです)




                広島のメリー・クリスマス




                     42




     「二階です。」と、老人は言った。
    「二階?」イギリス人は、不自然な程、驚いてみせた。
    「はい。二階ですが。」老人は、イギリス人が、不自然なまでに驚いた
    顔をしたので、少し驚いた様子だった。
    「ははあ!」と、老人は言った。
    「二階と言ふのは、三階ではありませんぞ。」
    そう言って、老人は、笑って見せた。
    「あなたのお国では、二階と言ふのは、私達が三階と呼ぶ階の事でした
    な?」そう言って、老人は、満面の笑みを浮かべた。
    「いや、いや。」イギリス人は苛立った。イギリス人は、こんな下らな
    いやり取りをする積もりは、全く無かったのである。それなのに、二階
    と言ふ言葉に、別に驚いても居ないのに、驚いた真似をした自分に、イ
    ギリス人は、苛立たずには居られなかった。しかし、彼のその苛立ちに
    は、全く気付かぬかないかの様に、老人は、面白がって言った。
    「面白いですな!二階を事を一階と呼ぶ国が有るとは!だから、二階が
    三階に成る!」
    老人は、赤ら顔で笑った。

                                (続く)





    核時代60年(平成17年)6月30日(木)










                      西岡昌紀(にしおかまさのり)

                            http://blogs.yahoo.co.jp/nishiokamasanori/

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創刊日:2002-07-17  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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