文学

広島のメリー・クリスマス

広島を舞台にした小説です。原爆投下は正しかったと言うイギリス人が、クリスマス・イヴの日、広島で、奇妙な老人に出会ひ、百物語と呼ばれる降霊術に招かれると言ふ物語です。

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広島のメリー・クリスマス(15)

2006/05/07


(続きです)




                                広島のメリー・クリスマス




                                          15




        どれだけ時間が経っただろうか?いつの間にか、イギリス人は、その市電の座席
      で、眠りに落ちてゐた。その心地良い眠りから、イギリス人を揺り起こしたのは、
      老人であった。
     「着きましたぞ。」と、老人は声を掛けた。
     「はい。・・」と、イギリス人は、日本語で答えた。
     「ここは、何処ですか?」寝ぼけ眼で、イギリス人は、尋ねた。
     「終点ですよ。さあ、降りましょう。」
        その言葉に、イギリス人は、自分が、この老人と、クリスマス・パーティーの会
      場に向かってゐた事を思ひ出した。そして、周りを見回した。見ると、そこは、先
      程の市電の中であった。だが、そこには、もう、乗客は一人も居らず、彼の前には、
      老人が立ってゐるだけであった。イギリス人は、荷物を持って、立ち上がった。
     「お疲れの様ですね。」と、老人は、言った。
     「ええ、まあ。」と、言って、イギリス人は、老人と共に、出口に向かった。見る
      と、車内からは、もう運転手も居なく成ってゐた。イギリス人は、その誰も乗って
      居ない市電を降りて、辺りを見回した。見ると、辺りは、真っ暗であった。一体、
      ここは何処なのだ?と、イギリス人は、思った。

                                                                    (続く)





      平成十五年八月九日(土)

      長崎に原爆が投下された日に









  


                                                 西岡昌紀(にしおかまさのり)

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創刊日:2002-07-17  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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