文学

広島のメリー・クリスマス

広島を舞台にした小説です。原爆投下は正しかったと言うイギリス人が、クリスマス・イヴの日、広島で、奇妙な老人に出会ひ、百物語と呼ばれる降霊術に招かれると言ふ物語です。

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広島のメリー・クリスマス(12)

2006/05/07


(続きです)




                               広島のメリー・クリスマス




                                         12




       二人は、原爆ドーム前から、市電に乗った。そして、車窓から見える原爆ドーム
     を後に、市内を西へと向かった。車内は、少し混んでゐたが、幸い、二人は、座席
     に座る事が出来た。
    「何処へ行くのですか?」と、イギリス人は、老人に尋ねた。
    「まさか、宮島じゃないでしょうね?」と、イギリス人は、皮肉とも冗談ともつかぬ
     言葉を放った。
    「ほ、ほ、ほ。」と、老人は、笑った。そして、揺れる車内で、イギリス人の顔を見
     ながら、言った。
    「着いたら、教えてあげます。」
    「そうですか。」と、イギリス人は、無表情に答えた。そして、何気無く、周りの乗
     客たちを見回した。見ると、目の前の席で、中年の男が、劇画を読んでゐるのが目に
     入った。
     (大の大人が!コミックなど読んで!)と、イギリス人は思った。
     (戦争中も、こいつらは、コミックを読んでゐたのだろうか?)そう思って、イギ
     リス人は、目の前の男を軽蔑した。

                                                                   (続く)




     核時代58年8月4日(月)










                                                西岡昌紀(にしおかまさのり)

                    http://macky.nifty.com/cgi-bin/bndisp.cgi?M-ID=roosevelt

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創刊日:2002-07-17  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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