文学

広島のメリー・クリスマス

広島を舞台にした小説です。原爆投下は正しかったと言うイギリス人が、クリスマス・イヴの日、広島で、奇妙な老人に出会ひ、百物語と呼ばれる降霊術に招かれると言ふ物語です。

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広島のメリー・クリスマス(5)

2006/05/07


(続きです)




                                広島のメリー・クリスマス




                                         5




       「どんなパーティーですか?」とイギリス人は尋ねた。すると、老人は微笑を
      浮かべ、静かな声で答えた。
     「毎年、広島を旅行中の外国の方達をお招きし、行なっているパーティーです。
      日本人も外国人も大勢おいでになります。」
      イギリス人は、心の中で苦笑して考えた。
     (ふん。白人好きの日本人が考えそうな事だ。どうせつまらないパーティーなん
       だろう。しかし、きっと、若い女が来るに違い無い。行ってみるのも悪くない。
       どうやら、やっとクリスマスらしく成って来たな。)
      そんな事を思いながら、イギリス人旅行者は、老人に行った。
     「旅行中なので、普段着しか持っていませんが、いいのですか?」
     「構いません。」
      老人は、微笑みながらそう答えた。イギリス人は、心の中で苦笑しながら、目を
      大きく開けて言った。
     「そうですか。では行く事にしましょう。で、何処で行なわれるのですか?その
      パーティーは?」
     「広島市内です。」
      (それはそうだろう。)とイギリス人は思った。が、どうせこの老人が案内して
      くれるだろうと思い、場所の事はそれ以上聞こうとしなかった。
     「どんな事をするのですか?ダンスをするとか?」
      イギリス人は、心の中で日本人が下手くそなダンスをする姿を想像し、しかも、
      その滑稽さから起こる笑いを顔に出さない様にしながら、そう尋ねた。すると、
      老人は、驚くべき事を答えた。
     「降霊術が行なわれます。」
     「降霊術?」
      イギリス人は聞き返した。
     「今、何とおっしゃいました?」イギリス人は、自分の耳を疑った。いや、この
      日本人は英語の単語の意味を理解していないのに違い無い、とイギリス人は思っ
      た。
     「降霊術(necromancy)と言いましたか?」
     「ええ。」と言って、老人は微笑んだ。

                                                                 (続く)




       核時代57年(2002年)9月2日(月)
     (大韓航空機撃墜事件19年目の日の翌日に)











                                              西岡昌紀(にしおかまさのり)
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創刊日:2002-07-17  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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