文学

子供の為のお話

内科の医者が書く、子供の為のお話です。(もちろん、大人の読者もどうぞ。)お子さんが寝る前のお話にいかがでしょうか。或るいは、保育園や幼稚園、小学校などで、紙芝居にでもして頂けたら、作者は嬉しく思います。

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子供の為のお話・第一話(3)

2007/06/20



(続きです)




                    あじさい




                     3


     「坊やお聞き。」とお母さんが言いました。「お前は、まだ子供だからそう
    思うのだろうけれど、私たちは、雨と仲良しなのだよ。」坊やは、何も言わず
    にお母さんの言葉を聞いています。
   「そりゃ、雨が降れば、人間の子供たちは、部屋の中で遊ぶよ。でも、お前はね、
    雨が降っても、お庭で咲いていられるのだから幸せだよ。それもね、雨が、お
    前やお姉さまの事を、生まれた時から、とても可愛がってくれているからなん
    だよ。それに、お前には、この庭に沢山、お友達が居るじゃないか。」と、お
    母さんは、言いました。
   「あの軒先を見てごらん。ほら、燕のお母さんが来ただろう。あそこにね、おと
    とい、燕(つばめ)の赤ちゃんが三匹生まれたんだよ。あの子たちは、まだ、
    赤ちゃんだけれど、もうじき、ぴいぴいと可愛い声で鳴くよ。そうしたら、お
    前もお兄さんに成ったような気持ちがするよ。燕の子たちは可愛いからねえ。
    それも、毎年、あの巣に燕の赤ちゃんが生まれるのが、頂度、お前が咲くこの
    雨の時分だからだよ。だから、お前は、寂しがる事なんか無いんだよ。」
     すると、下駄箱の横でその話を聞いていたお姉さんが、言いました。
   「お母さま、私は、寂しくないわ。だって、私がここで一生懸命咲いていると、
    保育園の子供たちも、先生たちも、ああ、今年もあじさいが咲いたよ。きれい
    だね、と言ってくれるんですもの。それに、お迎えの時、こうたくんのお母さ
    まも、けんたくんのお父さまも、それに、ゆかちゃんのお母さまも、みんな、
    私を見て、きれいだね、って言ってくれるんですもの。」
     お姉さんがそう言うと、お母さんは、微笑みました。しかし、下の坊やの方
    は、何も言いません。


                                  (続く)




    平成十四年八月三日(土)
   (2002年)









                        西岡昌紀(にしおかまさのり)
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創刊日:2002-07-13  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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