文学

日々雑感

内科医のエッセイです。思いつくままに、医療、医学、科学、社会、政治、芸術、自然、文化、食べ物、本、昔の思い出、などについて語ります。

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日々雑感(40)

2007/05/08


(続きです)




                  5月8日に思ふ




                     3




     今から、12年前の事です。チェコ・スロヴァキア(当時)のハヴェル
    大統領が、日本を訪れる直前、朝日新聞の週刊誌「アエラ」に次の様な記
    事が載りました。その年の(1992年)2月、ドイツのコール首相が、
    チェコの首都プラハを訪れ、チェコ・スロヴァキア(当時)とドイツの間
    に善隣友好条約の調印が結ばれたのですが、その条約に、第二次世界大戦
    直後の或る歴史が、明記された、と言ふニュースです。先ず、その記事を
    お読み下さい。




         社会主義独裁が自滅して二年四ヵ月のチェコ・スロ
        ヴァキアで、人心が、大きく分裂している。
        「(わが国民のやったことは)度外れた非道でありま
        した」
         こういう言葉遣いで、過去への謝罪が、第二次大戦
        終結までナチス・ドイツに支配された国家とドイツと
        の首脳会談で行われたら、それはドイツ側からのもの、
        と思うのが普通かもしれない。

         
              プラハだけで死者一万五千人


         しかし、この発言は、劇作家でチェコ・スロバキア
        大統領でもあるバツラフ・ハベル氏(55)が、ドイ
        ツのヘルムート・コール首相に対して為したものだ。
        二月二十七日、首都プラハで、ドイツとの善隣友好協
        力条約を調印した日のことである。
         条約には、第二次大戦直後にチェコ・スロバキアで、
        三百万人以上のドイツ少数民族が即時国外追放を強制
        された事実も、「追放」という語を用いて盛り込まれ
        た。
         チェコ・スロヴァキアでは当時、ドイツ人に対する
        大虐殺が発生していた。1945年5月5日、連合国
        に対する無条件降伏にドイツが調印する二日前のプラ
        ハで、それは始まった。
         チェコを領有していたドイツの執政機構の関係者で
        あろうとなかろうと、ドイツ人であれば、小さな子ど
        もでも、難民でも、所かまわず、滅多打ちにされたり
        して殺された。生きているままガソリンをかけられ、
        火をつけられ、焼け縮んだ死体が吊された。
         難民も含めて、プラハだけで1万5千人のドイツ人
        が殺された、とドイツ側は推定している。チェコ・ス
        ロヴァキア全土での死者数は捉えようもない。
         ナチスに抵抗した人々であっても、ユダヤ人でも、
        ドイツ系であれば虐殺の標的となった。死を免れた人
        たちは、強制収容所へ放り込まれ、死者も続出した。

        
       (「チェコ 終戦時のドイツ人虐殺を謝罪/謝罪を国賊 
         視する反撃を受けてもハベル大統領は動じない」
        朝日新聞社「アエラ」1992年4月7日号 18ペー
        ジより引用)




     第二次大戦中のドイツ側の残虐行為については、戦後、散々語られ
    て来ました。しかし、その逆に、ドイツの女性や子供たちが、戦争直
    後のチェコやポーランドで大量に殺されてゐた事は、余り知られてゐ
    ません。上の記事は、そうした、ドイツの女性や子供たちの悲劇を取
    り上げた、珍しい記事ですが、皆さんは、こうした歴史の事を、今ま
    で、御存知だったでしょうか?

                               (続く)





    核時代59年5月13日(木)














                     西岡昌紀(にしおかまさのり)

                http://macky.nifty.com/cgi-bin/bndisp.cgi?M-ID=kafka


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創刊日:2003-04-05  
最終発行日:  
発行周期:不定期  
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