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週刊・映画コラム瓦版

映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。

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映画コラム瓦版 第028号

2011/04/11

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          週刊・映画コラム瓦版 vol. 28
                             2011/04/10
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映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイ
ト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。
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【目次】
・Happy Birthday
・今週のコラム:映辞林
・編集後記 その他
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☆Happy Birthday

ヴィンセント・ギャロ
1961年4月11日生まれ、ニューヨーク州バッファロー出身

 俳優、映画監督、ミュージシャン、画家など、複数の肩書きを持つマルチア
ーティスト。日本では監督・主演作『バッファロー'66』のヒットでメジャー
になった印象が強いが、それ以前から要注目の若手個性派俳優として映画ファ
ンには知られていた。『バッファロー〜』で一躍若者世代のカリスマとなった
「ギャロ様」だが、監督2作目の『ブラウン・バニー』は賛否両論だった。主
演最新作『エッセンシャル・キリング』が間もなく日本でも公開される。

 僕がギャロを初めて意識したのは、『フューネラル』の死体役。イタリア系
ギャング三兄弟の物語だったのだが、長男がクリストファー・ウォーケン、次
男がクリス・ペン、三男がヴィンセント・ギャロという、超濃厚なキャスティ
ング。しかも三男のギャロは殺されて死体になっているのに、長兄2人に一歩
も引けを取らない存在感を見せるという不思議な映画だった。監督作『バッフ
ァロー'66』が世間で大受けしていたことに僕自身あまりピンとこないのだが
(いい映画だけど、そんなに大騒ぎするほどの映画か?という感じ)、『アダ
ムス・ファミリー』の子役だったクリスティーナ・リッチが大人の女優に脱皮
した作品としては重要。監督2作目『ブラウン・バニー』では『ボーイズ・ド
ント・クライ』でオスカー候補になったクロエ・セヴィニーに自らのイチモツ
をフェラチオさせたが、これには女優にそこまでさせてしまうギャロの図々し
さと、その要求に応えてみせたセヴィニーの根性に感心した。監督最新作は昨
年製作の『Promises Written in Water』だが、現時点での公開は未定だ。

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◎映画コラム:映辞林(私家版・映画用語事典)

【アイマックス】 IMAX
カナダのアイマックス社(IMAX Corporation)が開発した映画映写システム。
70mmフィルムを水平に送ることで、一般の映画館で使用されている映写シ
ステムより巨大な映像を作り、観客が映像の中に入り込んだような臨場感を生
み出す。1970年の大阪万博に初めて登場し、1986年にはIMAX 3Dシステム
がバンクーバー万博に登場。当初は展示会映像やドキュメンタリーなどIMAX
専用に製作された短編作品が多かった。2002年には通常フォーマットの映画を
IMAXに変換するIMAX DMRが発表され、ハリウッド映画が続々とIMAXで上
映されるようになった。2008年からはIMAXデジタルが登場し、日本各地の
シネコンなどに導入が進みつつある。

 僕がIMAXを初めて観たのは、1996年に新宿のタカシマヤタイムズスクエ
アのオープンと同時開業した「東京アイマックス・シアター」。ちょうど映画
批評家の仕事を始めた頃のオープンだ。何度か試写を観たが、画面の鮮明さと
臨場感に大いに驚かされたものだ。僕はこの映画館で行われる新作の試写が大
好きだった。しかしIMAXで公開されていたのは短編ドキュメンタリーやCG
を使った3Dのライド映像(ジェットコースターみたいなもの)が多く、大量
の観客を動員するタイプの一般映画はほとんど公開されていない。例外は
1999年に公開されたディズニーアニメ『ファンタジア2000』。これはIMAX
シアター独占公開で大ヒットしたそうだが、それに続く作品が出てこなかった。
東京アイマックス・シアターは2001年暮れに閉館。アメリカでは2002年に
IMAX DMRを利用してハリウッド映画が続々とIMAXフォーマットに変換さ
れて上映されるようになったのだが、東京アイマックス・シアターはその流れ
をキャッチできないままの撤退となった。

 なおアイマックス・シアターは通常の映画館に改装されて「テアトルタイム
ズスクエア」になったが、これも2009年に閉館。そもそも映画館としては立
地が悪かったのか、あるいは高島屋の期待していたほどシャワー効果(高層階
のテナントを訪れた客が、下層階のテナントを利用することでビル全体の利用
率が上がること)が望めなかったため撤退となったのか……。

 都内のIMAXシアターとしては、翌2002年4月に品川プリンスホテルに「メ
ルシャン品川IMAXシアター」がオープン。こちらは従来の短編ドキュメンタ
リーや3D作品に加えて、IMAX DMRでIMAXフォーマットに変換されたハリ
ウッド映画も積極的に上映していたのだが、新幹線発着や駅南側の再開発で盛
り上がると思われていた品川近辺の商業テナントがいまひとつ盛り上がりに欠
け、経営母体のプリンスホテルグループの経営再建などもあって2007年3月
に閉館してしまった。これ以降、都心のIMAXシアターは復活していない。

 IMAXシアターの迫力と臨場感を知っている人間には残念なことだが、
IMAXシアターというのはきわめて高コストな映画館なのだ。何しろスクリー
ンが大きいので、劇場の建設費用も通常よりかなり割高になる。IMAX用のプ
ロジェクターは他の映画と流用できないのでやはり割高。そして上映用フィル
ムのプリント代が通常映画の何倍もかかる。そのくせこ日本にはIMAXシアタ
ーが少ないため、この上映プリントの使い回しもできない。観客はIMAXシア
ターだからといって、シネコンに払う入場料の何倍ものお金を払ってくれるわ
けではない。少なくとも日本では、IMAXシアターは作った時点で赤字操業に
なることが目に見えている施設なのだ。そこで最近は、IMAXシアターより設
備面では劣る小型のIMAXデジタルシアターを、シネコンの中に併設する例が
増えている。これはフィルムレスのDLP上映なので、上映フィルムのプリント
代がかからない。最近は109シネマズやユナイテッドシネマといったシネコン
チェーンが、他のシネコンとの差別化のためIMAXデジタルシアターを導入し
ているようだ。東京近郊だと109シネマズクランベリーモール(町田市)や
109シネマズ川崎(神奈川県川崎市)にIMAXデジタルシアターが導入済み。
5月にはユナイテッドシネマとしまえん(練馬区)にも新たなIMAXデジタル
シアターが誕生することが予告されている。

 IMAXデジタルシアターの特徴は、3D上映で遺憾なく発揮される。通常の
デジタル3D上映は、1台のプロジェクターで左右の目で観るための画像を交
互に投影し、それを電子シャッターや偏向レンズ付きのレンズを通して観てい
る。このため「3D映画は画面が暗い」ということが、しばしば言われてきた。
ところがIMAXデジタル3Dは2台のプロジェクターを使って、左右それぞれの
映像をスクリーンに投影する。このため画面がとても明るいのだ。通常の映画
はともかく、3D作品についてはIMAXデジタルシアターで鑑賞するという選
択はあってもいいかもしれない。(しかしながら僕にとっては、町田も川崎も
としまえんも遠すぎるのだけれど……。)

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◎編集後記

 先週はインフルエンザにかかってしまい、メルマガの編集作業ができません
でした。そのため発行日当日になってから記事を書いています。

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載していますが、メルマガでは個々の映画から少し離れて、映画にまつわるさ
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連載し、1つのテーマごとに月1連載になる形式。5週目は休刊日です。

  ・第1週 映画の風景   (時事的な映画雑談)
  ・第2週 映辞林     (映画用語の紹介)
  ・第3週 ぼくの三つ星映画(むかし観た映画の話)
  ・第4週 ザ・タイムマシン(映画史探訪)

 基本的にすべての映画は「いまこの時」のメディアだと考えているので、映
画史やDVDソフトの話題を取り上げる際にも、常に「いまこの時」の視点を
大切にしてゆくつもりです。

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【発行者について】

服部弘一郎(はっとりこういちろう)

1966年8月3日生まれ。東京都出身。血液型はB型。専門学校桑沢デザイン研
究所を卒業後、グラフィックデザイナーやコピーライターを経て、1997年か
ら映画批評家として活動。95年頃に映画評のホームページ「映画瓦版」を開
設。インターネットの世界では、日本語で読める映画評サイトの草分けだった。
著書に「シネマの宗教美学」など。

  映画瓦版 http://www.eiga-kawaraban.com/
  ブログ  http://hattori.cocolog-nifty.com/
  twitter http://twitter.com/eigakawaraban
  メール  eigakawaraban@gmail.com

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