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週刊・映画コラム瓦版

映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。

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映画コラム瓦版 第027号

2011/04/04

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          週刊・映画コラム瓦版 vol. 27
                             2011/04/04
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映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイ
ト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。
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【目次】
・Happy Birthday
・今週のコラム:映画の風景
・編集後記 その他
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☆Happy Birthday

ロバート・ダウニーJr. 1965年4月4日生まれ、ニューヨーク出身

 5歳の時に父の監督作で映画デビュー。1987年の『レス・ザン・ゼロ』で
注目され、1992年の映画『チャーリー』で喜劇王チャップリンを演じてオス
カー候補に。だが1990年代後半からはドラッグ使用でしばしば逮捕され、撮
影スタジオとリハビリ施設を往復する生活となる。2003年頃から映画界に完
全復帰。2008年には『アイアンマン』が大ヒットし、『トロピック・サンダ
ー/史上最低の作戦』で再度オスカー候補に。翌年の『シャーロック・ホーム
ズ』ではゴールデン・グローブ賞を受賞している。

 僕は『チャーリー』で彼を初めて知って、翌年の『愛が微笑む時』もお気に
入りの映画。若い頃(といても芸歴が長いため大ベテランだが)は才気が先走
ったやんちゃ坊主の印象があったが、年取ってからはいい具合に角が取れて、
懐の深い味のある役者になっている。たぶんこうした印象はアメリカ人も同じ
で、『アイアンマン』が受けたのは役柄のイメージとロバート・ダウニーJr.
のパブリックイメージがうまく合致したからだと思う。1966年生まれの僕に
とっては、まったく同世代の俳優。僕はすっかり太ってしまいましたが、ダウ
ニーJr.は今も昔通りのスマートさ。バネを使ったグレース・ソマトモーフィ
ック・テクニック(GST)とかいうエクササイズの効果だそうです。ふ〜む。

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◎映画コラム:映画の風景

生きる伝説、エリザベス・テイラー逝く

 3月23日、ロサンゼルスの病院で「リズ」ことエリザベス・テイラーが亡く
なった。享年79歳。彼女はハリウッドを代表する「往年の大スター」で、最
近はマイケル・ジャクソンの親しい友人として、芸能マスコミに名前が出るこ
とが多かったと思う。少なくとも彼女はここ20年ほど、現役の映画スターで
はなかった。おそらく現在20代、30代の映画ファンは、エリザベス・テイラ
ーの名前を聞いてもあまりぴんと来ないと思う。僕自身、自分にとってリアル
タイムで同じ時代を生きている女優という印象は皆無だ。これは年齢とはあま
り関係がない。彼女は1932年生まれだが、同世代の女優の中には今でも映画
業界で活躍している人が何人もいる。シャーリー・マクレーン、ソフィア・ロ
ーレン、ジュディ・デンチ、マギー・スミスといった女優たちは、エリザベス
・テイラーとたった2歳しか年が違わないのだが、今でも「現役のスター女
優」だろう。女優の格からすれば、もちろんエリザベス・テイラーは破格の大
スターで雲の上の人。しかし女優としての賞味期限はとっくに過ぎて、最近は
生きるハリウッドの伝説と化していた。

 エリザベス・テイラーは1942年に12歳でスクリーンデビューし、1940年
代は『家路(名犬ラッシー)』や『緑園の天使』『若草物語』などの作品で少
女スターとして活躍した。1950年代は『花嫁の父』や『陽のあたる場所』で
娘役へと成長を見せ、『雨の朝パリに死す』『ジャイアンツ』などで役柄の幅
を広げて、『愛情の花咲く樹』『熱いトタン屋根の猫』『去年の夏 突然に』
でアカデミー賞候補になる。1960年には『バターフィールド8』で初のアカ
デミー主演女優賞を受賞。『クレオパトラ』で初の100万ドル女優となり、
『バージニア・ウルフなんかこわくない』で2度目のオスカーを受賞した。お
そらくこの頃が、女優エリザベス・テイラーにとってキャリアのピークだろう。
1970年代の彼女に目立った作品は存在せず、1974年に『ザッツ・エンタテ
インメント』の案内役のひとりとして出演した際は、すっかり「往年の大女
優」の貫禄を漂わせるようになっている。最後の大役は1980年にアンジェラ
・ランズベリー主演の『クリスタル殺人事件』に出演したこと。カムバックを
狙う往年の大女優という役はエリザベス・テイラー本人に重なるものだったが、
残念なことにこの後が続かなかった。

 結局エリザベス・テイラーというのは、スタジオ・システム全盛期の女優だ
ったのだ。1960年代後半から1970年代にアメリカン・ニューシネマが全盛
になると、それ以前の大スターたちは映画の中に居場所を見失ってしまった。
等身大のリアルな現実を描くニューシネマの中に、きらびやかに着飾った100
万ドル女優の居場所などあるはずがない。彼女はスクリーンから遠ざかり、繰
り返される結婚・離婚の話題だけが、芸能マスコミで面白おかしく取り上げら
れる存在になっていく。

 彼女自身にとっても映画ファンにとっても残念だったのは、晩年の彼女にふ
さわしい当たり役がないまま、女優としての彼女が「伝説」の中に姿を消して
しまったことだ。本人に映画に出演する意志がもうなかったのかもしれないが、
1990年代の彼女にいい企画があれば良かったのにと残念に思う。例えばサイ
レント映画の大女優グロリア・スワンソンを劇的にカンバックさせた『サンセ
ット大通り』が1990年代にリメイクされていれば、主演女優はエリザベス・
テイラーで決まりだっただろうに。『サンセット大通り』は1993年にミュー
ジカル舞台版が作られて好評だったので、ミュージカルとしての再映画化は可
能性としてゼロではなかったはず。エリザベス・テイラーの歌の吹き替え担当
は、マーニ・ニクソンがやれば完璧だったろうに。

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◎編集後記

 3月中は東日本大震災のドタバタもあって、すっかりメルマガの発行をさぼ
ってしまいましたが、今週から発行を再開しようと思います。じつは以前から
4月をめどにメルマガの内容を少し軌道修正しようと思っていたので、休刊中
にあれこれ考えて一応の方向を考えました。

 まずこれまで毎週発行していたメルマガを、毎月4回、第1〜第4月曜日発
行に改めます。年に何度か第5月曜日のある月がありますが、この第5週目は
メルマガ発行をお休みにします。また年末年始も1回休みにします。

 連載コラムはこれまでと同じように、週替わりで月1回の連載。テーマは第
1週目が「映画の風景」と題した時事的な話題。第2週が「映辞林」という映
画用語事典。第3週目は「ぼくの三つ星映画」と題して、むかし観た映画の紹
介や思い出話。4週目は「ザ・タイムマシン」と題して、過去のある1年間を
取り上げて、その年の映画や世相を紹介したいと思います。「映辞林」と「ザ
・タイムマシン」は僕自身の勉強も兼ねての連載となります。

 休刊中はご心配をかけましたが、とりあえず再開。今後もよろしく。

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【メルマガのご案内】

 映画評サイト「映画瓦版」では試写室や劇場で観た映画1本ずつの感想を掲
載していますが、メルマガでは個々の映画から少し離れて、映画にまつわるさ
まざまなコラムを掲載していこうと考えています。4つのテーマを週替わりで
連載し、1つのテーマごとに月1連載になる形式。5週目は休刊日です。

  ・第1週 映画の風景   (時事的な映画雑談)
  ・第2週 映辞林     (映画用語の紹介)
  ・第3週 ぼくの三つ星映画(むかし観た映画の話)
  ・第4週 ザ・タイムマシン(映画史探訪)

 基本的にすべての映画は「いまこの時」のメディアだと考えているので、映
画史やDVDソフトの話題を取り上げる際にも、常に「いまこの時」の視点を
大切にしてゆくつもりです。

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【発行者について】

服部弘一郎(はっとりこういちろう)

1966年8月3日生まれ。東京都出身。血液型はB型。専門学校桑沢デザイン研
究所を卒業後、グラフィックデザイナーやコピーライターを経て、1997年か
ら映画批評家として活動。95年頃に映画評のホームページ「映画瓦版」を開
設。インターネットの世界では、日本語で読める映画評サイトの草分けだった。
著書に「シネマの宗教美学」など。

  映画瓦版 http://www.eiga-kawaraban.com/
  ブログ  http://hattori.cocolog-nifty.com/
  twitter http://twitter.com/eigakawaraban
  メール  eigakawaraban@gmail.com

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