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週刊・映画コラム瓦版

映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。

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映画コラム瓦版 第022号

2011/02/07

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          週刊・映画コラム瓦版 vol. 22
                             2011/02/07
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映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイ
ト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。
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◎今日が誕生日:アシュトン・カッチャー(Ashton Kutcher)

 1978年2月7日生まれ。アイオワ州シーダーラピッズという小さな町に生ま
れ、地元のアイオワ大学に進学。97年にモデルコンテストで優勝し、大学を
中退してニューヨークで本格的にモデルの仕事を始めて注目される。ハリウッ
ドに移って、テレビシリーズ「ザット'70sショー」にレギュラー出演。翌99
年には「エクスタシーをさがして」で映画初出演、00年には「ゾルタン★星
人」で初主演するが、日本に作品が紹介されたのは00年の『レインディア・
ゲーム』から。01年の『テキサス・レンジャーズ』、03年の『ジャスト・マ
リッジ』、04年の『バタフライ・エフェクト』などで日本でも人気が定着し
た。2005年に16歳年上のデミ・ムーアと結婚したことも話題となった。最新
作『抱きたいカンケイ』は、今年4月に日本公開予定。

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◎映画コラム:いまどきの映画

「○年ぶりの続編」の最長記録は何年か?

 現在公開中の映画『ウォール・ストリート』は、オリバー・ストーン監督が
1987年に発表した『ウォール街』の続編。マイケル・ダグラスが前作と同じ
役で登場する正真正銘の後日談で、前作からは23年という、ほとんど四半世
紀近い時間がたっての続編になっている。1987年というと、日本ではストー
ン監督の前作『プラトーン』(アカデミー作品賞を受賞)が公開されて大ヒッ
トしていた。『プラトーン』に主演したのがチャーリー・シーンで、彼は『ウ
ォール街』でもマイケル・ダグラスと共演している。(今回の『ウォール・ス
トリート』にもノークレジットでカメオ出演している。)

 1987年の他の映画をウィキペディアで調べてみると、伊丹十三の『マルサ
の女』、ロブ・ライナーの『スタンド・バイ・ミー』、神山征二郎の『ハチ公
物語』、原一男の『ゆきゆきて、神軍』、ブライアン・デ・パルマの『アンタ
ッチャブル』、山賀博之のアニメ映画『王立宇宙軍〜オネアミスの翼』、そし
て『私をスキーに連れてって』や『あぶない刑事』、さらに市川崑の『竹取物
語』といったタイトルが並んでいて、何と言うか「バブルだったなぁ〜」とい
う感じがするのだ。この年のベストセラーに村上春樹の「ノルウェイの森」が
あり、石ノ森章太郎の「マンガ日本経済入門」があったりするのも、なんだか
時代を感じさせる。ちょうど僕が、最初の会社に就職した年なんだよなぁ……。

 『ウォール街』と『ウォール・ストリート』の間にある23年にはそれだけ
の時代差があるわけだが、他の映画で正編と続編の間に同じぐらいの時間が空
いた作品にどんなものがあるのか、ちょっと調べてみた。

 最初に思い出したのがポール・ニューマン主演のビリヤード映画『ハスラ
ー』(1961)と、ニューマンとトム・クルーズ主演でブライアン・デ・パル
マが監督した続編『ハスラー2』(1986)。これは正続編の間に25年の時間
が開いている。ヒッチコックの傑作『サイコ』(1960)の続編『サイコ2』
が製作されたのは1983年で、僕はこれを高校生の頃に映画館に観に行った。
作品としての評価はオリジナルに遠く及ばないものの、2作目以降はシリーズ
化されて、『サイコ3/怨霊の囁き』(1986)と『サイコ4』(1990)が
作られている。「ダバダバダ♪」というスキャットのテーマ曲で有名なフラン
ス映画『男と女』(1966)は、20年たって『男と女II』(1986)が作られて
いる。監督のクロード・ルルーシュ、主演のアヌーク・エーメ、ジャン=ルイ
・トランティニャンなどスタッフ・キャストが再結集。こうやって正編のメン
バーが続編にそっくり再結集していると、「正統派の続編でございます!」と
いう感じがしてファンには嬉しくなるはずだ。主演スターが再出演していても、
これが『ハスラー2』や『サイコ2』にはなかったのだなぁ……。

 同じく監督と主演キャストが再結集したのが、ピーター・ボグダノビッチの
『ラスト・ショー』(1971)と続編『ラスト・ショー2』(1990)。そし
てこのスタッフ・キャスト再結集映画の決定版が、フランシス・F・コッポラ
の『ゴッドファーザー PART II』(1974)の続編『ゴッドファーザー PART 
III』(1990)になるのかもしれない。『ゴッドファーザー』は1作目が1972
年製作で、2作目はその直後の2年後に製作されている。ところがそこから後
が長かった……。なんと2作目と3作目の間は26年も空いている。この間に
1・2作に出演していた俳優の多くが亡くなったのだが、完成したパート3は
そうした時間の流れそのものを映画にしっかり組み込んでいる。公開当時の評
価はさんざんだったのだが、1作目から順番にDVDなどで通して鑑賞すると、
これはこれで立派な作品に思える。

 『ゴッドファーザー』もそうだが、シリーズ化されて過去に何本か作られた
映画の続編が、長い時間を置いて久しぶりに作られるというのも最近時々見か
けるパターン。ブルース・ウィリス主演の『ダイ・ハード4.0』(2007)は
前作『ダイハード3』(1995)から12年ぶりの新作。ハリソン・フォード主
演の『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』(2008)は、前
作『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(1989)から19年ぶりの新作だっ
た。シルベスター・スタローンの『ロッキー・ザ・ファイナル』(2007)は
前作『ロッキー5』から17年ぶり、同じスタローンの『ランボー/最後の戦
場』(2008)は前作『ランボー3/怒りのアフガン』(1988)から20年ぶ
りの作品になっている。

 こうして続編映画が長い時間を空けて復活したり、シリーズ映画が復活した
りするのは、ビデオやDVD、CATVやインターネット放送などで、古い映画
も新しい映画も関係なく映画ファンに消費されているという現状があるのだろ
う。(ただし『サイコ2』や『ハスラー2』が製作されたのは、家庭用VTR
の発売や普及前のことだった。)今後も同じような形で、古い映画の続編が突
然作られる機会は多くなると思う。『トロン』(1982)の続編として『トロ
ン・レガシー』(2010)が作られるのも、そうした例のひとつかもしれない。
『トロン・レガシー』を製作したディズニーは、ビデオ市場向けに往年の名作
アニメのオリジナル続編を大量に作っている会社でもある。こうした作品の中
からは、1953年のオリジナル版から49年ぶりに作られた『ピーター・パン2
/ネバーランドの秘密』(2002)が劇場公開されたこともある。アニメや特
異なキャラクターものは、こういう場合に便利だ。

 日本もキャラクターもので、長い時間をかけて続編を作った例がある。それが
1984年の『ゴジラ』だ。ゴジラ・シリーズは1954年に1作目が製作されて
大ヒットすると、翌年『ゴジラの逆襲』が作られて一度完結。しかしその7年
後に『キングコング対ゴジラ』で復活すると、その後はほぼ毎年1本のペース
でシリーズが作られていた。この最初のシリーズが終わるのは、15作目の
『メカゴジラの逆襲』(1975)。1984年の『ゴジラ』はこうした過去のシ
リーズをすべてリセットして、改めて1954年の映画から30年後に作られる続
編として企画製作された作品。この「シリーズをリセットしてしまう」という
手法はその後もゴジラ・シリーズで定番の手法となり、1999年の『ゴジラ 
2000 ミレニアム』でも世界を再リセット。オリジナルから45年後の続編製
作という形を取った。このリセット癖はその後このシリーズの定番設定となり、
最終作の『ゴジラ FINAL WARS』(2004)まで続けられた。ただしこうし
て何度も世界をリセットすることで、過去の資産を継承できないまま映画自体
が弱体化してしまったような気もするのだが……。ま、それはまた別の話。

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◎今週公開の映画

『幸せの始まりは』 http://bit.ly/gwEDjo

 今週の公開作としては『太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男』や『洋菓
子店コアンドル』『あしたのジョー』あたりの邦画勢が注目でしょうか。これ
に対して洋画は『パラノーマル・アクティビティ2』ですか……。う〜む。

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 4月にはメルマガの内容を少し見直そうと考えています。内容も見直します
が、発行周期も月4回発行に固定して、5週目があるときはお休みにしたい。
年末年始は休みますから、実質年間47回の発行ですね。4月からのリニュー
アルになるのは、それまで少し企画を考えようと思っているからです。あと3
ヶ月ありますが、内容はより充実させるつもりですのでお楽しみに。

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大切にしてゆくつもりです。

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【発行者について】

服部弘一郎(はっとりこういちろう)

1966年8月3日生まれ。東京都出身。血液型はB型。専門学校桑沢デザイン研
究所を卒業後、グラフィックデザイナーやコピーライターを経て、1997年か
ら映画批評家として活動。95年頃に映画評のホームページ「映画瓦版」を開
設。インターネットの世界では、日本語で読める映画評サイトの草分けだった。
著書に「シネマの宗教美学」など。

  映画瓦版 http://www.eiga-kawaraban.com/
  ブログ  http://hattori.cocolog-nifty.com/
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