映画

週刊・映画コラム瓦版

映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。

全て表示する >

映画コラム瓦版 第019号

2011/01/17

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
          週刊・映画コラム瓦版 vol. 19
                             2011/01/17
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイ
ト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎今日が誕生日:ジム・キャリー(Jim Carrey)

 1962年1月17日生まれ。カナダ、オンタリオ州、ニューマーケット出身。
本名はジェームズ・ユージーン・キャリー。16歳で高校を中退し、アルバイ
トをしながらカナダのコメディクラブでスタンダップ・コメディアンとして舞
台に立つ。19歳でロサンゼルスに移住し、少しずつ映画などにも出演するよ
うになった。大ブレイクしたのは1994年。『エース・ベンチュラ』『マス
ク』『ジム・キャリーはMr.ダマー』という3本の主演映画が大ヒットした。

 ラバー・フェイスとも呼ばれるゴムのように柔軟な顔と、長い手足をダイナ
ミックに動かすドタバタ演技、けたたましい笑い声や猛烈な早口などを売りに、
その後も主演映画を次々にヒットさせる。1998年の『トゥルーマン・ショ
ー』と翌年の『マン・オン・ザ・ムーン』ではゴールデングローブ賞を受賞。
シリアスな俳優としても実力を発揮。その後もコメディ映画、シリアスな映画、
そして着ぐるみ系(『グリンチ』(2000)や『レモニー・スニケットの世に
も不幸せな物語』(2004)など)、様々な映画に出演し続けている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎映画コラム:水神森キネマ倶楽部

ディズニー映画『ピーター・パン』と2本の続編
『ピーター・パン』『フック』『ピーター・パン2 ネバーランドの秘密』

 1953年に製作された『ピーター・パン』は、ディズニーの製作した14本目
の長編アニメーション映画。現代の視点から見て内容的にいろいろ批判はある
ようだが、これが「マンガ映画」として抜群に面白い大傑作であることは間違
いない。1950年代のディズニー・スタジオは名実共に脂ののりきっている時
期で、この作品以外にも『シンデレラ』(1950)、『不思議の国のアリス』
(1951)、『わんわん物語』(1955)、『眠れる森の美女』(1959)など
を発表している。1961年公開の『101匹わんちゃん』も、実際に企画・製作
されていたのは1950年代だろう。1950年代のディズニーは、カリフォルニ
アにディズニーランド(1955年開園)したり、テレビ番組「ディズニーラン
ド」を制作していち早くテレビメディアとの共同路線に乗り出すなど、ビジネ
スの面でも大きく飛躍していた。

 『ピーター・パン』は「右から2番目の星」「きみも飛べるよ!」「リーダ
ーにつづけ」など主題歌や挿入歌にも優れたものが多いのだが、漫画映画とし
ての見所は海賊フック船長がらみのドタバタアクションだ。船長がチクタクワ
ニに追いかけ回されるシーンは、いつ観ても、何度観ても爆笑してしまう。こ
の『ピーター・パン』は続編映画が2回作られている。ジェームズ・M・バリ
ーの原作には続編がないのだから、映画はどちらもオリジナル。しかも原作を
離れて、ディズニー版『ピーター・パン』の続編として作られたものだ。

 1991年に製作された『フック』は、ロビン・ウィリアムズ演じる大人にな
ったピーター・パンが、再びネバーランドに戻ってフック船長と最後の戦いを
するという物語。実写作品で、監督はスティーヴン・スピルバーグ。この映画
ではフック船長を名優ダスティン・ホフマン、ティンカーベルをジュリア・ロ
バーツが演じているのが話題になった。スミー役のボブ・ホスキンスもアニメ
版がそのまま実写になったような姿。老婆になったウェンディをマギー・スミ
スが演じているが、その少女時代をグウィネス・パルトローが演じているのは
今観ると衝撃的。40歳のピーター・パンは、ウェンディの孫娘と結婚してア
メリカで弁護士をしている設定だが、劇中に登場するロンドンのダーリング家
のデザインなどはアニメ版を踏まえたものになっている。ネバーランドの様子
はアニメとはだいぶ違うようにも思うのだが、最後の最後にフック船長の宿敵
であるチクタクワニが意外なところから現れるのには驚いた。

 これとは別に、ディズニーがアニメ版の続編として製作したのが2002年の
『ピーター・パン2 ネバーランドの秘密』。これは第2次世界大戦中のロン
ドンから物語が始まり、主人公はウェンディの娘ジェーンにバトンタッチして
いる。何しろ本家本元のディズニー製作だから、オリジナルの『ピーター・パ
ン』との連携はより強力。オリジナル版の名場面が、形を変えて再現されてい
るのは嬉しい。チクタクワニは引退したが、代わりに巨大なタコが出てきてフ
ック船長を襲うのには大笑い。焼き餅焼きのティンカーベルもじつにチャーミ
ング。ただしオリジナル版のティンクの方が、ずっと色っぽいと個人的には思
うけれど……。この映画に欠点があるとすれば、オリジナル版に比べて楽曲が
貧弱なことと、オリジナルを尊重しすぎて多くの場面が名場面の模造品か劣化
コピーのようになってしまっていること。それでも映画の序盤で、フック船長
がジェーンを誘拐してロンドンの街から連れ去るシーンなどは迫力満点。空に
浮かぶ海賊船が、出撃する戦闘機群をすり抜けて行くシーンは圧巻だ。もとも
とビデオ市場向けのオリジナル作品として作られた作品らしいが、できがいい
ので劇場公開作になった。戦争の中の子供たちや家族というテーマは、作り手
の意図しない部分で9.11テロ直後の世界に向けたメッセージになった。

 『フック』と『ピーター・パン2』は別々の映画会社で、別々の製作者たち
によって作られた映画であり、登場するキャラクターは共通していても、相互
には何の関わりも持っていない。しかし描かれた時代がずれていることから、
3本の映画は全部がつながった物語だと解釈することもできる。

 ちなみに『ピーター・パン』を演じる役者は、舞台でも映画でも女優である
ことが多い。P・J・ホーガン監督が2003年に監督した『ピーター・パン』
では、ピーター役に初めて少年を起用したことが画期的と言われたが、この時
ピーターを演じたジェレミー・サンプターは撮影中に20センチも身長が伸び
てしまい、製作陣はその対応に四苦八苦することになった。なお映画に登場す
るピーター・パン役で僕が気に入っているのは、『ネバーランド』(2003)
の劇中劇でピーターを演じたケリー・マクドナルド。これは可愛かった!

●DVDリスト

『ピーター・パン』 http://amzn.to/fNte7N
『フック』 http://amzn.to/hsiHSA
『ピーター・パン2 ―ネバーランドの秘密―』 http://amzn.to/hWggdm
『ピーター・パン コレクターズ・エディション』 http://amzn.to/dHAv3v
『ネバーランド』 http://amzn.to/eG0vhB

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■無料メルマガ「聖書&キリスト教ナビ」のご案内!

 10月創刊の新しい週刊メルマガ「ふつうの日本人のための《聖書&キリス
ト教》ナビゲーター」は、何しろ立ち上げたばかりなので読者数もごくわずか。
早く購読したからと言って何か特典があるわけでもありませんが、読者が増え
れば編集発行作業にも気持ちの張り合いが出ますので、ぜひよろしく。

 →購読申し込み: http://archive.mag2.com/0001189995/index.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎今週公開の映画

 『完全なる復讐』『グリーン・ホーネット』などが公開されますが、個人的
に楽しみにしているのは『天装戦隊ゴセイジャーVSシンケンジャー エピック 
on 銀幕』です。ドニー・イェンとサモ・ハン・キンポーが共演する『イップ
・マン』も、久々に血がたぎるカンフー映画みたいで面白そう……。それにし
ても、最近ほとんど試写室で映画観てないなぁ……。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎編集後記

 今週から「今日が誕生日」(あるいは「今日が命日」)という記事を掲載す
ることにしました。発行しているもうひとつのメルマガ「聖書&キリスト教ナ
ビ」の聖人カレンダーに該当するページです。IMDbで検索すると、俳優の生
没年が一覧で調べられて便利です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【メルマガのご案内】

 映画評サイト「映画瓦版」では試写室や劇場で観た映画1本ずつの感想を掲
載していますが、メルマガでは個々の映画から少し離れて、映画にまつわるさ
まざまなコラムを掲載していこうと考えています。5つのテーマを週替わりで
連載し、1つのテーマごとに月1連載になる形式です。(第5週目のコラムに
ついては年4回の掲載となります。)

  ・第1週 いまどきの映画  (最新映画の紹介)
  ・第2週 映画の履歴書   (映画史にまつわるコラム)
  ・第3週 水神森キネマ倶楽部(映画DVDの紹介)
  ・第4週 本棚の映画館   (映画関連本の紹介)
  ・第5週 東京名画座ガイド (映画館案内)

 基本的にすべての映画は「いまこの時」のメディアだと考えているので、映
画史やDVDソフトの話題を取り上げる際にも、常に「いまこの時」の視点を
大切にしてゆくつもりです。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【発行者について】

服部弘一郎(はっとりこういちろう)

1966年8月3日生まれ。東京都出身。血液型はB型。専門学校桑沢デザイン研
究所を卒業後、グラフィックデザイナーやコピーライターを経て、1997年か
ら映画批評家として活動。95年頃に映画評のホームページ「映画瓦版」を開
設。インターネットの世界では、日本語で読める映画評サイトの草分けだった。
著書に「シネマの宗教美学」など。

  映画瓦版 http://www.eiga-kawaraban.com/
  ブログ  http://hattori.cocolog-nifty.com/
  twitter http://twitter.com/eigakawaraban
  メール  eigakawaraban@gmail.com

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【発行者からのお願い】

・このメールマガジンに対する質問・要望・問合せは、次のメールアドレスま
 で直接お願いします。 eigakawaraban@gmail.com

・記事を読んだら、あなたの評価をつけてください。評価は3段階で簡単にで
 きますので、本メールの一番下からご参加ください!

・同じ著者による新メルマガ「聖書&キリスト教ナビ」もヨロシク!
 http://archive.mag2.com/0001189995/index.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2000-08-28  
最終発行日:  
発行周期:週刊  
Score!: 91 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • 名無しさん2011/01/17

    毎週楽しみにしてます。