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週刊・映画コラム瓦版

映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。

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映画コラム瓦版 第014号

2010/12/06

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          週刊・映画コラム瓦版 vol. 14
                             2010/12/06
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映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイ
ト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。
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◎映画コラム:いまどきの映画

映画をリアルタイムで観る意義は?

 先日試写で『その街のこども』という映画を観た。阪神淡路大震災から15
年たったことを記念して作られた、NHKテレビドラマの劇場版だ。震災から
15年と言われて、すぐにその当時のことが思い出せる人はあまりいないだろ
う。だが僕は映画の中に引用されているニュース映像に映っているあるものか
ら、15年前の自分に一気に引き戻されてしまった。それはニュース映像の中
に、映画『スピード』の看板が出て来たとことだ。15年前、僕も封切りの映
画館でこの作品を観ている。たったそれだけのことで、15年前の神戸と現在
の僕がつながり合うのだ。

 『スピード』は言わずとしれた大ヒット作。1994年に製作され、日本では
同年12月3日から公開されて大ヒットしていた。12月公開だから「お正月映
画」だ。主演のキアヌ・リーブスはこれ以前にも『ハートブルー』や『マイ・
プライベート・アイダホ』『ドラキュラ』『リトル・ブッダ』など数々の映画
に出演して映画ファンには知られていたが、一般的な知名度が飛躍的に上がっ
たという点では『スピード』の功績が大きい。これがあればこその『マトリッ
クス』シリーズであったかもしれない。今ではオスカー女優になっているサン
ドラ・ブロックも、この映画以前はまったく名前も顔も知られない新人女優だ
った。彼女はこの映画1本で人気スターの仲間入りを果たし、キアヌが降板し
た続編『スピード2』は彼女の主演映画になった。一方監督のヤン・デ・ボン
はこの映画を大ヒットさせたものの、2作目以降が続かず、今では「消えた監
督」状態。(2本目の映画は『ツイッター』じゃなくて『ツイスター』か……。
『ツイッター』という映画を今作ったらヒットするかもな。IMDbの情報によ
ればチャン・ツィイー主演の『ムーラン』を準備中とのこと。)敵役のデニス
・ホッパーは今年5月に死去。『スピード』から現在までの15年間とは、映
画ファンにとってそういう数々の出来事がたくさん詰まった年月だ。映画にチ
ラリと作品の看板が出ただけで、15年前の世界と今との距離感が伝わってく
る威力。映画には時代を刻印する機能があるのだ。

 さて現在の映画はどうだろうか。今公開されている映画で、今から15年後
に「時代の刻印」として記憶される映画がどれだけあるだろうか? それは映
画がヒットするだけではなく、出ている俳優やスタッフがその後どれだけビッ
グになるかにもかかっているのだが、いずれにせよ映画を「時代の刻印」とし
て自分の中に記憶するには、映画を「その時代」にリアルタイムで観る必要が
ある。劇場でもいいし、DVDが新作で出た直後でもいい。少なくとも映画が
公開されてから1年以内ぐらいの旬の時期に、その映画を観ておきたい。

 映画はコーラに似ている。よく冷えたコーラのフタを開けてしまえば、あと
はどんどん気が抜けてぬるくなるばかり。気の抜けたぬるいコーラからきんき
んに冷えたコーラの味を想像することはできても、時間をさかのぼって実際に
その味を味わうことは決してできないのだ。

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◎今週公開の映画

『人生万歳』 http://bit.ly/gHI1bf

 今週は『ロビンフッド』や『ノルウェイの森』が目玉なのでしょうが、僕は
どちらも観ていません。観たい映画は多くても、観られる映画の数は少ない。

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◎編集後記

 この記事を書いているのは12月1日。いよいよ記事のストックがないまま、
発行日直前に記事を書くという自転車操業になって来ました。やばいです。
12月はいろいろと仕事も忙しくなるのになぁ……。

 映画を映画館で観る意義については、他にもいろいろと書きたいことがある
のですが、今回はとりあえず「リアルタイムで観ること」に限定してみました。
僕自身はビデオやDVDでは集中して映画が観られず、映画を観るならできれ
ば映画館にしたい「映画館派」の人間。DVD鑑賞には映画館にない別のメリ
ットもたくさんあるのですが、僕は多少割高になっても映画館で映画を観るこ
とを好みます。これは「リアルタイム」とはまた別の話でしょうけどね。

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 映画評サイト「映画瓦版」では試写室や劇場で観た映画1本ずつの感想を掲
載していますが、メルマガでは個々の映画から少し離れて、映画にまつわるさ
まざまなコラムを掲載していこうと考えています。5つのテーマを週替わりで
連載し、1つのテーマごとに月1連載になる形式です。(第5週目のコラムに
ついては年4回の掲載となります。)

  ・第1週 いまどきの映画  (最新映画の紹介)
  ・第2週 映画の履歴書   (映画史にまつわるコラム)
  ・第3週 水神森キネマ倶楽部(映画DVDの紹介)
  ・第4週 本棚の映画館   (映画関連本の紹介)
  ・第5週 東京名画座ガイド (映画館案内)

 基本的にすべての映画は「いまこの時」のメディアだと考えているので、映
画史やDVDソフトの話題を取り上げる際にも、常に「いまこの時」の視点を
大切にしてゆくつもりです。

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【発行者について】

服部弘一郎(はっとりこういちろう)

1966年8月3日生まれ。東京都出身。血液型はB型。専門学校桑沢デザイン研
究所を卒業後、グラフィックデザイナーやコピーライターを経て、1997年か
ら映画批評家として活動。95年頃に映画評のホームページ「映画瓦版」を開
設。インターネットの世界では、日本語で読める映画評サイトの草分けだった。
著書に「シネマの宗教美学」など。

  映画瓦版 http://www.eiga-kawaraban.com/
  ブログ  http://hattori.cocolog-nifty.com/
  twitter http://twitter.com/eigakawaraban
  メール  eigakawaraban@gmail.com

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  • 名無しさん2010/12/08

    コーラのとこ、カッコよかったです。