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週刊・映画コラム瓦版

映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。

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映画コラム瓦版 創刊号

2010/09/06

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           週刊・映画コラム瓦版 創刊号
                             2010/09/06
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映画批評家・服部弘一郎が編集発行する週刊メールマガジンです。映画評サイ
ト「映画瓦版」では読めないオリジナルの映画コラムを毎週お届けします。
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◎映画コラム:いまどきの映画

3度目の3D映画ブームが今度こそ定着する理由

 今週末からは『バイオハザードIVアフターライフ』が公開され、来週末は
『THE LAST MESSAGE 海猿』が公開になる。どちらも売り物は最新の3D
映像(2D版も同時公開される)。昨年末の『アバター』以来、3D映画は完全
に日本の映画興行界に定着しているように見える。今後10年以内に、公開さ
れる映画の少なくとも半分は3Dになるのではないだろうか。映画の歴史を振
り返ると、過去2回あった3D映画ブームはどちらも短命だった。1950年代に
『肉の蝋人形』や『大アマゾンの半魚人』を生んだ3D映画ブームは、ほんの
1〜2年で終わった。1980年代の第2次3D映画ブームでは『ジョーズ3』や
『13日の金曜日 PART3』などが製作されたが、これも映画の世界に大きな
流れを作ることはなかった。だが今回の3D映画は、短命に終わらず定着する
と思うのだ。その理由は映画とテレビの関係にある。

 かつて映画とテレビはライバル関係にあり、映画はテレビからいかに観客を
引っ張ってこようかと知恵を絞った。そのための武器として実用化されたのが、
カラー映像技術、ステレオ音響、ワイドスクリーン、そして3Dの立体映画だ。
だが1980年代以降、映画とテレビはそれまでの敵対関係を改めて、友好的な
パートナーに変化した。映画会社はテレビ放送とビデオ販売を含めて「映画市
場」を考えるようになり、映画館単独では利益が得られなくても、テレビ放送
やビデオ販売の実績と合わせて利益を出す形へと映画のビジネスモデルを変化
させた。そこでは3D映画の「テレビでは見られない」という特徴が、大きな
マイナス要因になってしまう。

 しかし現在はどうだろうか? 大型家電店の店頭に行けば、そこで最も大き
な売り場を占領しているのは「3D対応の大型テレビ」。3D対応テレビが売れ
れば、その性能をフルに引き出せる3D映像ソフトへの需要も高まる。テレビが
3D映像対応になれば、3D映画は「テレビでは見られない」という制約から解
放される。今後3D映像ソフトが大量に作られれば、それに合わせて3Dテレビ
も売れ、されに3D映画への需要が増えるという好循環が生まれるだろう。

 技術変化はあっと言う間に業界の様子を変えてしまう。1927年に世界最初
の本格的なトーキー作品『ジャズ・シンガー』が公開された当時、映画人たち
は「トーキーは映画の芸術性を損なう」と言い、「こんなゲテモノはすぐ消え
る」と考えた。だが大衆はこの新しい映画表現を熱狂的に歓迎し、ハリウッド
のトーキー化はたった3年で完了してしまった。僕は今後10年で公開映画の
半分が3D化されると考えるが、ひょっとするとこれはとても控え目な見通し
なのかもしれない。映画館も家庭も、3D映画を受け入れるための投資を行っ
ている。3D映画に向けた動きは、今後ますます加速して行くはずだ。

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◎今週公開の映画
『終着駅 トルストイ最後の旅』 http://bit.ly/cS8Zrr
『ベンダ・ビリリ! もう一つのキンシャサの奇跡』 http://bit.ly/dwxTJi
『ナイト・トーキョー・デイ』 http://bit.ly/boAkIB 

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◎編集後記
 8月中に9月分の原稿をすべて書き溜めておこうと思いましたが、結局創刊
号の原稿しか書かないまま9月に入ってしまいました。自分で発行しはじめた
メルマガの締切に追われて、息も絶え絶えの日々になりそうです。

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【メルマガのご案内】

 映画評サイト「映画瓦版」では試写室や劇場で観た映画1本ずつの感想を掲
載していますが、メルマガでは個々の映画から少し離れて、映画にまつわるさ
まざまなコラムを掲載していこうと考えています。5つのテーマを週替わりで
連載し、1つのテーマごとに月1連載になる形式です。(第5週目のコラムに
ついては年4回の掲載となります。)

  ・第1週 いまどきの映画  (最新映画の紹介)
  ・第2週 映画の履歴書   (映画史にまつわるコラム)
  ・第3週 水神森キネマ倶楽部(映画DVDの紹介)
  ・第4週 本棚の映画館   (映画関連本の紹介)
  ・第5週 東京名画座ガイド (映画館案内)

 基本的にすべての映画は「いまこの時」のメディアだと考えているので、映
画史やDVDソフトの話題を取り上げる際にも、常に「いまこの時」の視点を
大切にしてゆくつもりです。

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【発行者について】

服部弘一郎(はっとりこういちろう)

1966年8月3日生まれ。東京都出身。血液型はB型。専門学校桑沢デザイン研
究所を卒業後、グラフィックデザイナーやコピーライターを経て、1997年か
ら映画批評家として活動。95年頃に映画評のホームページ「映画瓦版」を開
設。インターネットの世界では、日本語で読める映画評サイトの草分けだった。
著書に「シネマの宗教美学」など。

  映画瓦版 http://www.eiga-kawaraban.com/
  ブログ  http://hattori.cocolog-nifty.com/
  twitter http://twitter.com/eigakawaraban
  メール  eigakawaraban@gmail.com

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創刊日:2000-08-28  
最終発行日:  
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