音楽

月刊フランス&ロックンロール

マダムキャッツとゴダールが好きなガールズも、ヴェルヴェット・アンダーグランドとパゾリーニが好きなボーイズも楽しめる文化批評マガジン。
アポカリプス・ア・ゴー!ゴー!


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フランス&ロックンロール 67

2006/08/01

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                     月刊フランス&ロックンロール 67号




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◇ ヴィヴィアン・ボーイズ、インテグレイテッド・スリィ、NutsHead各々のサイトが統合された「土曜日のスタイリスト」。
http://www.w-a-g.net/nuts/sstop.html

◇ インテグレイテッド・スリィのメンバーの強い要望により、長い間店舗での販売が禁じられていた名盤「MASAKAZU TAPE VOL.1」(彼等のセカンドCD)が、ついにディスク・ユニオン各店ならびにオン・ライン・WEBサイトで販売されることになりました。
http://diskunion.net/punk/index.php





              鋼鉄はいかに鍛えられたか



第4回


3. 雑誌から飛び出せ!

「MOGA」という名のガーリー雑誌

文明開化以来、日本におけるカルチャ−享受の主流は圧倒的に男性だった(本を読む女なんてブスに決まってる、と考えられていた時代が確実にあった)。それは、第二次世界大戦敗戦後も続き、60年代末、70年代初頭の反体制ムーヴメント期においても変わらなかった。なんの根拠も無い私の推測によれば、72年の連合赤軍事件の後、性別を問わず、カルチャーは特権的な地位を失い、80年代のバブル経済期に、カルチャー享受の主流は完全に女性に代わり、男性はその現場から姿を消した、ということになる。私の経験によれば、1986年以降、映画館においても、美術館においても、そこにいる者のほとんどが女性である。
1986年前後に私が密かに愛読していた「MOGA」(東京三世社刊行)は、女性がカルチャー享受の主流であることを証明してくれるガーリー・マガジンである。
ここに、1986年11月号があるのだが、今読んでみても、その内容の濃さと、これを楽しんでいた当時の女性読者(ほとんどが十代だろう)の探究心に驚かされるばかりだ。「探求」していたのは柄谷行人だけじゃないのである。

表紙は矢野顕子。巻頭カラー・グラビアに中川比佐子(80年代Tokioのイーディ!)。東京のクラブと世界の珍しい紅茶の紹介記事の後、当月の最新情報のコーナーがあり、そこで、バウハウスの全アルバムのリイシューとニック・ケイヴの新作リリース(名作「キッキング・アゲンスト・ザ・ブリックス」)が伝えられる。「可愛気のある」「ヘンテコな」文房具が紹介された後、見開き2ページを使ってピナ・バウシュの解説記事、その次に上野で開催されるエル・グレコ展の紹介。ここまででやっと38ページ(活字はかなり小さい)。44ページには、GHQリズムシスターズというバンドでヴォーカルを担当している銀紙千代子女史(ギンガミ・チヨコ)の映画に関するインタヴュー。「小津さんのでは『小早川家の秋』が良いですね。あと、監督は誰だか知らないんですけど、京マチ子が出てる『赤線地帯』っていうのが気にいってます(編註=監督は溝口健二)」と女史は語る。私は、GHQリズムシスターズの楽曲をいまだに聴いたことがない。是非聴いてみたい。そして、願わくば、お話ししてみたい。彼女等は原宿クロコダイルや渋谷プライム5階せいよう広場等で公演していたらしい(そういえば、80年代においては、フリクションが青山ベルコモンズで、プラスチックスが池袋西武百貨店鍋釜売り場で演奏したこともあった)。島崎奈津美の「買い物ブギ」という連載コーナーで、「もめんや まきの」(東京都北沢2-24-7在)の小花プリント生地が紹介された後、矢野顕子のセミ・ロング・インタヴューがあり、その後、町田町蔵(現在町田康)とPhewの対談(全5ページ)、それから、アングラ時代の岡崎京子のマンガ(「NW危機一発!どてらいわしら」)と評論記事「レトロ+オドロキ感覚に楽しめる正統派イカゲテ恐怖マンガの世界」(「バケ猫+ゾンビ+澁澤龍彦の世界」として白川まり奈等が紹介さる)。ふーっ、やっと73ページ、、、、。その少し後、5ページを費やされた「新世代の女性シンガー フレンチ・ニューウェイヴの女たち」という記事は極めて貴重だ。インタヴューと文章を担当しているのは、初めての単行本「ワイルド・サイドを歩け」を上梓したかしないかの頃の鳥井賀句。写真撮影はKENJI  KUBO。私は、この記事を読んで、リジー・メルシエ・デクルーとリチャード・ヘルは恋仲だったのだが、ヘルのヘロイン中毒が進んだせいで二人が別れてしまったというエピソードを知ったのである。その後、17才の私が弥勒菩薩のように崇めていた甲田益也子とサッフォー(フランス人シンガー)の対談(アート紙にオール・カラー)、続いて、アコーデオンを弾く須山公美子の勇姿、「Best Girls Music」(EVA-1や赤痢等が紹介さる)、ゼルダのインタヴュー。連載されている「ニューウェイヴ・キーワード事典」では、メリエスの「月世界旅行」やアナイス・ニンの日記が解説される(「アナイスと言えば、今デュラスがハヤってるみたいに、60年代〜70年代にもてはたされたフランスの小説家。今は全然ハヤってないけど、『日記』を読んだら、そのおもしろさ、新鮮さにきっと驚くはず」だって)。その後、「先端少女の放課後革命 東京トンガリCLUB」、スタイリスト野口佳香の「私のトンガリ観」、蠍座のアーティストとしてルキノ・ヴィスコンティが紹介され、定番の星占いがあって、締めが<<致死量ドーリス>>の広告(SMSレコード)。おしまい。総計154ページ。

80年代は空虚だとかカスだとか言われることが多いが、「MOGA」を再読すると、全てがカスだった訳では無い、という気にさえなる。とにかく、古本屋で「MOGA」を見つけたら迷うことなく買った方が良いだろう。



■ 本多の公演情報
http://www.w-a-g.net/nuts/sstop.html


女の子はいつでもヴィヴィアンという名前なのね - ヴィヴィアン・ボーイズ(VIVIAN BOYS)
8月14日(月)東高円寺UFOクラブ
Buzz with The Fuzz
対バン:ザ・ファンタスティック・ジーエーズ/select4/THE MOOKEES/CABALET'S NINE

ローファイとハイファイの彼岸 - インテグレイテッド・スリィ
8月24日(木)武蔵境Statto


◆ 発行人紹介
本多ヴリーランド。1969年生まれ。ロック・バンド、ヴィヴィアン・ボーイズ(VIVIAN BOYS)ならびにインテグレイテッド・スリィでヴォーカルとギターを担当。
hondax@nifty.com

■最後の一言  粋筋 - ポピュリズムを超えて
  
溝口健二監督のものすごい傑作映画「赤線地帯」(今秋、恵比寿ガーデン・シネマでリヴァイヴァル上映され、さらにDVDとしてリリースされる)の中で、娼妓のゆめ子が訳あって郷里へ帰るのだが、その途上、「粋筋の人は、化粧をしていなくても普段からどこか違うねぇー、、、(しみじみ)」と言われる場面がある。私は、一ロック・ミュージシャンとして、ゆめ子ならびに彼女に対する上記の評価に共感する。ロック・ミュージシャンも、パン助と同じように、「現場」を離れている時であっても、「どこか違」わなければならぬ。いくら暑いとはいえ、短パン、コンビニ袋、サンダル履きでは、ミック・ロックに写真を撮ってもらうことは永久に叶わないであろう。


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フランス&ロックンロール No.67
発行日:le1er septembre 2006
発行人:本多ヴリーランド
メール・アドレス:hondax@nifty.com
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創刊日:2001-11-11  
最終発行日:  
発行周期:月一回  
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