3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース

外資系通信社で日米の政治、経済、マーケット、金融のニュース速報の最前線で活躍してきた筆者がアメリカの株・債券・為替市場やホワイトハウスや米議会、米連邦準備理事会の要人コメント、経済指標を分析し、今何が最もホットな話題なのかを探ります。

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3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース 第384号

2010/04/05

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■■      ◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆ 
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米3月雇用者数、3年ぶり大幅増加=景気回復期待強まる

−早期利上げ観測強まる−

【2010年4月5日(月)】 − 先週末(2日)に発表された3月の雇用統計は3年ぶりの
大幅増加となったが、その一方で、半年以上の長期失業者数が過去最高になるなど
まちまちの結果で、エコノミストは雇用の先行き見通しにはなおも慎重だ。

 米労働省が発表した3月の雇用者数(非農業部門で軍人除く、季節調整済み)は前
月比16万2000人の純増と、2007年3月以来3年ぶりの大幅増となった。

 しかし、これは、3月に国勢調査が実施された関係で、政府部門で一時的に新規雇
用が増加した影響が大きい。実際、国勢調査関連の雇用者数4万8000人を除いた新規
雇用者数は11万4000人増にとどまる。

 さらに、前月(2月)が2度(2月4‐7日と同9-11日)にわたる大寒波の襲来で新規
雇用が減少したことへの反動増も主な要因となっている。

 前月(2月)の家計調査では、寒波で仕事に行けなかった就業者数は103万人に達
し、過去の2月の平均29万人の4倍近い数字で、1996年の寒波以来の高水準となった
ように、雇用への影響は大きかった。

 前回発表時、2月の新規雇用者数は前月比3万6000人減だったが、今回の発表では、
わずか1万4000人減と、2万2000人も上方改定された。寒波があっても強い結果だっ
たことが分かる。3月はそうした寒波要因が剥落したことによる反動増が大きく出た
といえる。

 失業率については、失業率の計算で分母にあたる労働力人口が前月比で39万8000
人増となったものの、失業者数も前月比13万4000人(0.9%)増の1500万人となった
ため、前月と同じ9.7%にとどまった。

■景気回復期待で株価急騰=長期金利、急上昇

 ただ、市場では、統計発表前からこうした一時的要因で3月は前月比18万4000人増
と、大幅増加に転じると予想していたので、サプライズではなかったものの、雇用
市場の回復が確実になったとし、景気回復への期待感が強まった。

 2日のニューヨーク株式市場では株価が急騰する一方で、為替市場ではドルも急騰。
主要株価指標のダウ工業株30種平均は前日比70.44ドル(0.65%)高の1万0927.07ド
ルで引けた。

 債券市場では長期金利の指標である10年国債が売られ、価格と反対方向に動く利
回りは3.96%にまで急伸した。クレジット市場収縮(金融逼迫)がピークに達する
前の2008年10月に記録された4.09%に接近するほど。いかに市場が景気回復に対す
る期待感が強いかを物語っている。

 30年固定金利型住宅ローン金利も前日の4.875%から5.125%へと、一気に上昇し
た。2週間前までは4.75%だったのを見ても長期金利の上昇ペースがいかに速いかが
分かる。

 また、金利の先行きを占う、米国の銀行間で取引される無担保コール翌日物金利
に相当するFF(フェデラル・ファンド)レートの金利先物市場では、FRB(米連邦準
備制度理事会)による早期利上げ観測が急速に強まった。

■1-2月の雇用者数、6万2000人も上方改定

 3月の統計結果は良い面と悪い面の両方が見られるため、多くのエコノミストは、
今後も雇用の大幅改善が持続するかどうかについては慎重な見方だ。

 良い面は、3月の新規雇用者数は過去27カ月中で3度目の増加となったことだ。昨
年11月の6万4000人増以来4カ月ぶりの増加となる一方、家計統計ベースで見ると、
同月の雇用者数は前月比で26万4000人増の1億3890万人、また、労働力人口も39万80
00人増と、着実に増加傾向を示している。

 もう一つの良い面は、1月と2月の過去2カ月間のデータが上方改定されたことだ。
2月の2万2000人の上方改定に加え、1月も2万6000人減から1万4000人増へと、4万人
も上方改定され、両月合計では実に6万2000人もの上方改定となる。

 昨年は1月の前月比77万9000人減をピークに3月まで70万人台の大幅減少が続いた
が、4月以降は急速に減少幅が縮小し、8-10月は月21万‐22万人台にまで縮小。11月
は6万4000人増の回復となり、減少幅は着実に縮小している。人材派遣大手アデコで
は、今年年央には月20万‐30万人規模の増加となると見ている。

 ちなみに、人口の自然増を吸収して失業率の上昇を食い止めるために必要な新規
雇用者数の月平均の増加数は12万5000人で、3月は一時的とはいえ、このレベルを超
えた。しかし、今後、失業率を低下させるためには月平均で20万-30万人の雇用者数
の増加が必要だ。

■長期失業者数、655万人に急増=過去最悪

 他方、悪い面は、今回の雇用統計で注目された半年(27週間)以上就職できない
長期失業者数が2月の613万3000人から654万7000人へと、41万4000人も増加、過去最
悪となったことだ。失業者全体(1500万人)の10人中4人以上(44.1%)と、依然高
水準にある。

 失業率は1月に昨年12月の10.0%から9.7%と、昨年8月以来5カ月ぶりの低水準と
なったあと、今回が3カ月連続で変わらずとなったことかから、雇用市場の状況がよ
り大きな回復に向かう転換期という見方もある。

 しかし、狭義の失業者数に仕事を探すことをあきらめた労働者数とパート労働に
変わった労働者数を加えた広義の失業率は、昨年12月の17.3%を下回っているもの
の、1月の16.5%から2月は16.8%に上昇、3月はさらに16.9%と悪化している。

 また、やむを得ずパート労働者になった数は2月の880万人から910万人に増え、昨
年12月の920万人から1月は830万人に減少していたが、これで2カ月連続の増加とな
り、正規雇用が困難な状況が続いている。

 2007年12月のリセッション(景気失速)入り以来、雇用者数は約840万人も減少し
ていることには変わりはなく、この840万人の失業者数を元に戻すためには4年以上
かかるといわれている。

■製造業、1万7000人増=うち自動車は2500人増に

 3月の雇用統計の内訳を見ると、建設業が2月の寒波による悪化の反動で、3月は増
加に転じたほか、製造業も引き続き増加。小売りも改善した。

 製造業は1月の前月比2万2000人増、2月の同6000人増(同1000人増)に続いて、3
月も1万7000人増と、3カ月連続の改善で、この3カ月間で4万5000人も増加した計算
だ。

 製造業は、昨年12月は2万3000人減だったが、2009年上期(1-6月)の月平均17万1
000人減、同年下期の月平均4万1000人減から急速に回復してきている。

 このうち、自動車・自動車部品製造は2月の前月比1万人減から3月は同2500人増に
改善するなど、耐久財セクターが同2万1000人増と、全体的に好調となった。対照的
に、非耐久財の化学(前月比2200人減)や印刷関連(同4100人減)で悪化が目立っ
ている。

 他方、建設業は住宅市場の回復ペースが鈍化する中で、前月比1万5000人増と、34
カ月ぶりに増加に転じた。過去1年間は月平均7万2000人減だったが、ここにきてよ
うやく改善の兆しが見えている。

 建設業の主な増加要因は、specialty trade contractorsと呼ばれる、整地などの
基礎工事や電気・配管などの専門工事業者が2月の前月比3万5000人減から、3月は同
100人増に改善したほか、非居住用ビル建設業者も同9400人増となったことが大きい。

■小売業、改善続く=自動車販売も改善

 また、サービス産業は前月比8万2000人増と、2月の同5万5000人増に続いて3カ月
連続の増加。このうち、小売業も同1万5000人増と、2月の同8300人増に続いて増加
した。小売りのうち、百貨店は同600人減、食料品店も同700人減となったが、建
材・園芸店は同1万1500人増と、大幅に増加している。

 小売業のうち、自動車・自動車部品販売は2月の同1500人減から3月は同1500人増
(うち、自動車ディーラーは2月の同800人減から3月は同700人増)に改善した。

 また、これまでサービス産業を下支えしてきている専門・ビジネスサービス業も2
月の前月比4万人増に続いて、3月も同1万1000人増と、好調を維持している。

 特に、このうち、将来の雇用の先行指標となる人材派遣業が同4万人の増加と、2
月の同3万7000人増に続いて6カ月連続の増加となっており、雇用市場の回復の可能
性を示している。2009年9月以降の半年間で計31万3000人も増加した。(了)
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