3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース

外資系通信社で日米の政治、経済、マーケット、金融のニュース速報の最前線で活躍してきた筆者がアメリカの株・債券・為替市場やホワイトハウスや米議会、米連邦準備理事会の要人コメント、経済指標を分析し、今何が最もホットな話題なのかを探ります。

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3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース第380号

2010/03/21

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■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第380号 ━■■

米FRB、早期利上げ観測が後退=超低金利政策維持で

−住宅市場支援のMBS買い取り、3月で終了−

【2010年3月21日(日)】 − 先週(16日)、FRB(米連邦準備制度理事会)はFOMC(連
邦公開市場委員会)会合で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目
標を、当分の間、現行の0%〜0.25%のレンジに据え置くことを決めた。

 これは市場の大方の予想通りだったが、注目を集めていた利上げへの転換時期につい
ては、政策決定後に発表されたFOMC声明文では明らかにされなかった。

 ただ、前回1月27日のFOMC会合と同様、カンザスシティ地区連銀のトーマス・ホーニグ
総裁だけが現行のゼロ金利政策は長期的には景気や金融市場に対するリスクを高めると
して反対票を投じている。

 政策金利を据え置いた理由については、FOMCは声明文で、景気回復の進捗や雇用市場
の安定を認めたものの、企業の新規雇用に対する姿勢は依然として慎重で、これが最大
の景気リスクになっていることを挙げている。

 また、声明文では、「長期のインフレ期待は安定しており、インフレは当面、抑制さ
れる」と指摘。その上で、「企業の設備稼働率が低く雇用が弱い一方で、インフレは抑
制されインフレ期待も落ち着いているという(現在の)経済状況では、当分の間(for 
an extended period)、超低金利を続けることが許される」と述べ、インフレ防止のた
めの先行的な利上げの必要性を改めて否定している。

■FRB、4月会合で利上げ時期示唆の可能性

 しかし、エコノミストは、「当分の間」という文言は、4月27-28日の次回FOMC会合で
はトーンダウンされるとの見方を強めている。

 これは第1四半期(1-3月)GDP伸び率が緩やかながら+3%を超える見通しであること
や3月の雇用統計も寒波の影響を受けた2月の新規雇用の減少から反動増に転じる可能性
があるからだ。

 一部のアナリストは早ければ9月にもFRBは利上げに転じる可能性があると見ているも
のの、大方は現在のゼロ金利政策が長期化すると見ている。

 金利先物市場では、今回のFOMCの金利据え置き決定を受けて、FRBによる早期利上げ観
測が後退した。

■企業、新規雇用に慎重=雇用市場安定化でも

 前回のFOMC声明文との違いは、雇用市場に対する認識だ。FRBは、前回は「雇用市場の
悪化のペースが鈍化(abating)している」としていたが、今回は、「雇用市場は安定化
(stabilizing)している」という新しい文言に変わっており、雇用市場の改善に対する
認識が一段と強められている。

 確かに、労働省が5日発表した2月の雇用者数(非農業部門で軍人除く、季節調整済
み)は前月比3万6000人の純減となったものの、減少幅は事前の市場予想より小幅にとど
まり、思っている以上に雇用市場がしっかりしていることが確認されている。

 しかし、雇用市場に対するFRBの認識が一段と強化されたとはいえ、声明文では、企業
の機械装置・ソフトウエア投資はかなり改善しているものの、建物など非居住用の建設
投資は減少、住宅投資も伸び悩んでいるとした上で、「企業は新規雇用に依然として慎
重」と指摘している。

 新規雇用に対する企業の慎重さは前回と文言は変わっていないものの、引き続き景気
リスクになっているという認識だ。

 2月の雇用統計でも、正規雇用されず、やむを得ず、パート労働者になった数は880万
人となり、昨年12月の920万人から1月は830万人に減少していたが増加に転じており、正
規雇用が困難な状況が続いている。

■緊急金融制度、6月ですべて終了

 さらに、前回と違う点は、緊急金融制度を予定通り、6月までにすべて終了させること
を明言したことだ。声明文では、前回と同様に、「In light of improved functioning
 of financial markets」という文言を使って、金融市場の機能回復が続いているという
認識を強調している。

 FRBはすでに、昨年6月のFOMC会合で今年2月1日まで延長を決定した緊急融資制度の大
半を再延長せずに終わらせている。

 家計や中小企業の資金調達を支援するためのTerm Asset-Backed Securities Loan
 Facility(TALF:ターム物資産担保証券貸出制度)については、新規発行されたCMBS
(商業用不動産モーゲージ担保証券)を担保とする融資については6月末まで、それ以外
の担保の融資については3月末で、予定通り終了するとしている。

■MBS買い取りも3月末で終了=住宅市場回復懸念も

 また、住宅市場については、前々回(昨年12月16日)は「The housing sector has 
shown some signs of improvement」と、「回復の兆候がある」として住宅市場の回復に
強い自信を示していたが、今回は、「housing starts have been flat at a depressed 
level」と、住宅着工件数が低水準で足踏みしているという文言を新たに付け加えてい
る。

 現在、FRBは住宅市場対策として、政府系住宅金融会社のファニーメイ(米連邦住宅抵
当金庫)とフレディマック(米連邦住宅貸付抵当公社)が債務保証したMBS(不動産担保
証券)の買い取り枠1.25兆ドル(約113.3兆円)と、ファニーメイとフレディマックが発
行する短期社債の買い取り枠1750億ドル(約15.9兆円)を維持しているが、予定通り3月
末で終了させる。

 これは、これまでFRB主導で進められてきたMBSの買い取りをマーケット自身の手で行
うことができるよう取引の円滑化を進めることを目的としているものだ。

 しかし、一部のアナリストはFRBがこうした買い取り制度を打ち切った場合、住宅ロー
ン金利が上昇し始め、住宅市場の回復を遅らせて全体の景気回復に悪影響を与えると懸
念している。(了)

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発 行 元   :「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
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