3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース

外資系通信社で日米の政治、経済、マーケット、金融のニュース速報の最前線で活躍してきた筆者がアメリカの株・債券・為替市場やホワイトハウスや米議会、米連邦準備理事会の要人コメント、経済指標を分析し、今何が最もホットな話題なのかを探ります。

全て表示する >

3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース 第377号

2010/03/08

■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■■
■■      ◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆ 
■■       (まぐまぐマガジンID:0000121825)
■■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第377号 ━■■

米2月雇用統計、景気回復を裏付け=予想上回る小幅減少で

−金利先物市場では利上げ観測強まる−

【2010年3月8日(月)】 − 米労働省が5日発表した2月の雇用者数(非農業部門で軍人
除く、季節調整済み)は前月比3万6000人の純減となったものの、減少幅は事前の市場予
想より小幅にとどまり、思っている以上に雇用市場がしっかりしていることが確認され
た。

 この結果を受けて、5日のニューヨーク株式市場では株価が急騰したほか、米国の銀行
間で取引される無担保コール翌日物金利に相当するFF(フェデラル・ファンド)レート
の金利先物市場では、FRB(米連邦準備制度理事会)による早期利上げ観測が急速に強ま
った。

 市場では、2月には米東部海岸を中心に大寒波が2度(2月4‐7日と同9-11日)にわたっ
て襲来したことから、失業者数は急増すると予想し、2月の政府の雇用統計は15万-22万
人の大幅減少は避けられないという見方があった。Briefing.com調べの直前の予想コン
センサスでも6万8000人減となっていた。

 また、失業率も事前予想では1月の9.7%から2月は9.8%に上昇すると予想されていた
が、前月と変わらずとなったことも市場に安心感を与えるには十分だった。

 NY株式市場では、景気が安定持続的に回復するために必要な失業率が上昇しなかった
ことから、エネルギーや資源関連セクターを中心に株価が急伸し、ダウ工業株30種平均
は前日比122.06ドル(1.2%)高の1万0566.20ドルに急騰した。ダウの上昇率としては2
月16日以来の約3週間ぶりの大幅上昇だ。

 一方、金利先物市場ではCBOT(シカゴ商品取引所)のFF金利先物10月物は、今年9月21
日に開かれるFOMC会合で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標
が0.5%に引き上げられる確率を前日の32%から44%まで織り込んだ。

 また、11月物も、今年11月2-3日のFOMC会合で、FF金利が0.5%に引き上げられる確率
を前日の70%から82%に引き上げている。

■雇用統計、寒波なければかなり強い結果に

 2月の新規雇用者数は過去26カ月中で25度目の減少となったものの、家計統計ベースで
みると、同月の雇用者数は前月比で30万8000人増の1億3860万人、また、労働力人口も34
万2000人増と、着実に増加傾向を示している。

 労働省でも統計発表前に懸念されていた寒波の影響は、結果的には今回の統計にはほ
とんど現れなかったと指摘する。

 しかし、興味深いのは、一部のエコノミストは、寒波の雇用統計への影響は実際にあ
ったと指摘した上で、それでもこれだけの強い結果を示したことを考えると、寒波がな
ければ雇用は相当強いものになっていた可能性があるという逆説的な見方だ。

 実際、家計調査では2月の寒波で仕事に行けなかったという就業者数は103万人に達
し、2月の平均の29万人の4倍近い数字で、1996年の寒波以来の高水準となっていたこと
からも分かるように、雇用への影響は大きかった可能性がある。

 また、雇用市場の強さという意味では、前月(1月)と前々月(昨年12月)を合わせた
雇用者数が上方改定されている点は見逃せない。

 前月は前回発表時の2万人減から今回は2万6000人減にやや下方改定されたが、前々月
は15万人減から10万9000人減に上方改定され、両月合計で3万5000人もの上方改定となっ
ている。

■長期失業者数、610万人に減少

 雇用者数の減少幅の縮小傾向のほかに、もう一つの明るい材料となったのは、半年
(27週間)以上就職できない長期失業者数が依然高水準にあるとはいえ、1月の630万人
から2月は610万人に減少したことだ。失業者全体(1487万人)の10人中4人(41%)とな
っている。

また、失業率も1月に昨年12月の10.0%から9.7%と、昨年8月以来5カ月ぶりの低水準と
なったあと、2月も変わらずとなったことかから、雇用市場の状況がより大きな回復に向
かう転換点の時期を迎えているという見方も出始めている。

 ただ、狭義の失業者数に仕事を探すことをあきらめた労働者数とパート労働に変わっ
た労働者数を加えた広義の失業率は、昨年12月の17.3%を下回っているものの、1月の
16.5%から2月は16.8%に上昇している点が気がかりだ。

 また、やむを得ずパート労働者になった数は880万人となり、昨年12月の920万人から1
月は830万人に減少していたが増加に転じており、正規雇用が困難な状況が続いている。

 2007年12月のリセッション(景気失速)入り以来、雇用者数は840万人も減少している
ことには変わりはなく、この840万人の失業者数を元に戻すためには4年以上かかるとい
われている。

 この点、オバマ大統領も憂慮している。11月の中間選挙を控えているだけに、雇用統
計発表後、同大統領は「思っていたよりは良かったが、容認の限界を超えている」とし
て、議会に対し、1450億ドル規模の雇用対策法案の成立の必要性を指摘している。
(了)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
発 行 元   :「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
発行責任者  :編集主筆 増谷栄一
ホームページ  :http://www.asahi-net.or.jp/~fl7e-mstn/usfile.html
メールアドレス:FL7E-MSTN@asahi-net.or.jp
………………………………………………………………………………………………
Copyright(C)2000-2009【Eiichi Masutani】 All Rights Reserved.
全文、または一部の記事の無断転載および再配布を禁じます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2003-11-26  
最終発行日:  
発行周期:週2−3回  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。