3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース

外資系通信社で日米の政治、経済、マーケット、金融のニュース速報の最前線で活躍してきた筆者がアメリカの株・債券・為替市場やホワイトハウスや米議会、米連邦準備理事会の要人コメント、経済指標を分析し、今何が最もホットな話題なのかを探ります。

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3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース 第375号

2010/02/22

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■■      ◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆ 
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米1月コアCPI、28年ぶりに低下=早期利上げ観測後退

―FRB、公定歩合上げでも政策転換は時期尚早か―

【2010年2月22日(月)】 − 先週末(19日)、米労働省が発表した1月のCPI(消費者物
価指数)は、FRB(米連邦準備制度理事会)が重視しているコアCPI(価格変動が激しい
エネルギーと食品を除いたもの)が前月比0.1%低下と、1982年以来28年ぶりに低下し
た。

 このコアCPIの低下を受けて、前日の利上げ観測から一転してFRBは景気を下支えるた
め、当分、現行の超低金利政策を維持するとの見方が支配的になっている。

 前日(18日)、利上げ観測が広がったのは、FRBが急きょ、ディスカウント・ウィンド
ウ(FRBが金融機関に直接資金を供給する制度)に適用される公定歩合を0.5%から
0.75%に引き上げたためだ。

 市場ではこれを受けてFRBは早期に利上げに転じ、現行の超低金利政策から脱却すると
の憶測が一気に広がり、外為市場でドルが急騰、他方、米株式市場では大引け後の時間
外取引で相場が急落するという混乱が生じた。

 19日のCBOT(シカゴ商品取引所)のFF金利先物市場では、10月物は9月21日のFOMC会合
でFF金利の誘導目標が0.5%に引き上げられる確率を64%織り込んだほか、11月物も11月
2-3日に開かれるFOMC会合で、政策金利が0.5%に引き上げられる確率を100%織り込ん
だ。

 しかし、1月のコアCPIがマイナスとなったことから、こうした憶測も後退しつつある
ようだ。エコノミストは公定歩合の引き上げについては、金融危機前は、公定歩合とFRB
の政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標(現在は0〜0.25%)の格
差が1%ポイントだったことを考えると、今回の公定歩合の引き上げ後でも格差は0.5〜
0.75%ポイントにとどめられた点に注目している。

 これは、FRBはいずれ利上げに転じるとしても、緩やかな利上げになることを強調した
ものと見ているからだ。

■グロース氏やFRB幹部、早期利上げには否定的

 また、興味深いのは、世界最大の債券ファンド投資会社ピムコの最高投資責任者
(CIO)として有名なビル・グロース氏が18日、経済専門チャンネルの米CNBCとのインタ
ビューの中で、この時期にFRBが公定歩合を引き上げたのはサプライズとした上で、FOMC
(米連邦公開市場委員会)内の利上げを支持するタカ派の3、4人の委員をなだめる狙い
があったと指摘している。

 ただ、それでも市場への影響力が大きい同氏は、FRBは当面、ゼロ金利政策を続けると
の見方は変えていない。他のエコノミストの多くもクレジット市場が大幅に改善し、FRB
は緊急金融支援を解除しやすい環境になったとはいえ、CPIで見たインフレ率が緩慢であ
る以上、相当期間、FRBは金融政策を引き締めに転換する理由がないと見ている。

 実際、18日の公定歩合の引き上げ後に発表された声明文の中で、FRBは「現在の経済状
況はFF金利を相当期間にわたり超低金利の水準を維持することを正当化している」とい
う文言を使って、公定歩合の引き上げは、直ちに金融引き締めへの転換にはならないこ
とを強調している。

 この点については、FRBの幹部もインフレ圧力は、今後数年間は依然高い失業率や経済
の需給バランスが供給過剰になっていることを考えると、むしろ低インフレが維持され
ると指摘している。

 アトランタ地区連銀のデニス・ロックハート総裁は18日夜の講演で、景気回復はまだ
始まったばかりの段階で脆弱であるため、景気回復を支えるためには現在の超低金利政
策は不可欠だと強調している。

 また、セントルイス地区連銀のジェームズ・ブラード総裁も18日の講演で、金融市場
でFRBは2011年中に利上げに踏み切る確率が高くなっていることについて、そうした早期
利上げ観測は大げさだとした上で、かなり先の話だと否定的な見方を示している。
(了)

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発 行 元   :「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
発行責任者  :編集主筆 増谷栄一
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