3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース

外資系通信社で日米の政治、経済、マーケット、金融のニュース速報の最前線で活躍してきた筆者がアメリカの株・債券・為替市場やホワイトハウスや米議会、米連邦準備理事会の要人コメント、経済指標を分析し、今何が最もホットな話題なのかを探ります。

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3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース第372号

2010/02/01

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■■      ◆3分で読めるアメリカ経済情勢ニュース◆ 
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米Q4GDP、予想上回る+5.7%は一時的か=個人消費依然緩やか

−今後数四半期は+2.5%〜+3%の低い伸びに−

【2010年2月1日(月)】 − 先週末(1月29日)、米商務省が発表した2009年第4四半期
(10-12月)実質GDP伸び率(季節調整済み、前期比年率換算)の速報値は、市場予想の
+4.7%を大幅に上回る+5.7%と、2003年後半以来6年ぶりの大幅な増加となった。

 ただ、米債券市場では、このハイペースの成長率が持続するかどうかについては懐疑
的な見方が支配的となったように一過性に終わる可能性がある。

 前期の第3四半期(7-9月)の+2.2%に続いて2四半期連続のプラス成長となったが、
2009年通年では−2.4%と、1946年の−10.9%以来63年ぶりの大幅なマイナス成長だ。ち
なみに、2008年は+0.4%、2007年は+2.1%となっており、マイナス成長となったのは
1991年以来18年ぶりとなる。

■Q4GDPの大幅な伸びの最大要因は企業在庫

 昨年第4四半期が+5.7%となった最大の要因は、企業在庫だ。これは、リセッション
(景気失速)の影響と政府の総額7870億ドル(約71兆2000億円)の景気刺激策の効果が
薄れて需要が抑えられて売れ残り在庫が増えたため、企業在庫の圧縮が大幅に鈍化した
からだ。

 同四半期の企業在庫は前期比335億ドルの減少となったが、第3四半期(7-9月)の1392
億ドルや第2四半期(4-6月)の1602億ドルに比べ、4分の1から5分の1まで縮小してい
る。

 企業在庫はGDP伸び率の押し上げ要因のため、在庫の減少幅が小さくなればなるほ
ど成長率を高めることになる。この結果、第4四半期のGDP寄与度は実に+3.39ポイント
となり、GDPの速報値の3分の2を占めるほどだ。

 この企業在庫を除いたGDP伸び率は+2.2%で、さらに、企業在庫と堅調となった輸
出を除くと、わずか+1.7%となり、いかに内需がまだ脆(ぜい)弱か示している。

■個人消費は依然緩やか

 また、GDP全体の約70%を占める個人消費支出も第4四半期のGDPの押し上げに寄与
している。個人消費のGDP寄与度は+1.44%ポイントだった。第3四半期の個人消費は
政府の新車買い替え制度の効果で前期比年率+2.8%と高い伸びを示したが、その効果が
剥落した第4四半期は+2.0%と伸びが鈍化している。1970-2007年の四半期ベースの平均
伸び率+3.4%を依然下回ったままだ。

 商務省が1月14日発表した昨年12月の小売売上高(季節・営業日調整後)は前月比
0.3%減となり、市場予想のコンセンサスである同0.5%増を大幅に下回った。直近3カ月
の動きをみると、昨年10月は前月比1.2%増、11月も同1.8%増と2カ月連続で増加したも
のの、12月は9月の2.3%減以来3カ月ぶりに再び減少に転じている。

 失業率が高かった1983年でさえ、GDP統計での個人消費は前期比年率+6.5%だった
ことからも分かるように、個人消費は緩やかな伸びにとどまっていることには変わりは
ない。

 この点については、先週(1月26-27日)に開かれたFRB(米連邦準備制度理事会)の
FOMC(公開市場委員会)会合後に発表された声明文でも「個人消費はぜい弱な労働市場
や緩やかな個人所得の伸び、住宅資産の富裕効果が低いこと、銀行借入れが困難なこと
から抑制されている」と述べている。

 また、労働省が1月8日発表した昨年12月の新規雇用者数は前月比8万5000人の純減と、
市場予想の増減なしの横ばい予想を大幅に下回って再び大幅減少となった。失業率は昨
年11月の10.0%からは変わらなかったが、リセッションが始まった当時よりも5.1%ポイ
ント高い水準となっている。

 エコノミストは、失業率も今後数カ月は10%を上回り、少なくとも年内まで10%に近
い水準が続くと予想していることや政府の景気刺激策による減税や公共投資が今年後半
にかけて細ることから、今回のような+5.7%という高い成長率が続く可能性はかなり低
いと見ている。

 今年第1四半期(1-3月)のGDPは前期比年率+2.5〜+3%、それ以降も同+2.5%の
緩やかな伸びになると予想している。実際、ニューヨーク株式市場ではGDP統計の強
い結果にもかかわらず、ダウ工業株30種平均は前日比53ドル(0.5%)下落して引けてい
る。

■企業投資はプラスの伸びに

 対照的に、企業の設備投資は前期比年率+2.9%と、22008年第2四半期(4-6月)以来6
四半期ぶりにプラスの伸びとなった。

 内訳を見ると、ITなどハイテク関連セクターを中心に、機械装置やソフトウエアに
対する投資額は同+13.3%と大幅に増加した一方で、建物などに対する投資額は同
−15.4%と大幅減少となっている。GDP寄与度は+0.29%ポイントと、2008年第2四半期
以来6四半期ぶりにプラスとなった。

 住宅投資は、政府の新規住宅取得者に対する税額控除(最大8000ドルで住宅価格の約
10%に相当)の効果で新築住宅の売れ残り在庫が減少し、同+5.7%と、2四半期連続の
増加となった。GDP寄与度は+0.14%ポイントだった。ただ、2009年全体では住宅投資は
−20.4%と大幅に前年水準を下回っている。

 一方、外需は、輸出(サービス含む)が+18.1%と、2年ぶりの大幅増加となった一方
で、輸入も+10.5%となったが、輸出が輸入の伸びを上回った結果、純輸出のGDP寄与度
は+0.5%ポイントとなり、GDPを押し上げている。

 また、公共投資である政府消費支出(地方自治体支出も含む)は景気刺激策の効果
で、2009年全体では+1.9%となったが、第4四半期は−0.2%となっている。この結果、
GDP寄与度は前期の+0.55%ポイントから−0.02%ポイントと、第1四半期以来3四半期ぶ
りにマイナスとなった。 (了)

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発 行 元   :「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
発行責任者  :編集主筆 増谷栄一
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