文学

木の葉の小説『リーフノベル』

30年以上詩作してきた作者がたどり着いた世界リーフ・ノベルの誕生である。
木の葉に書き置くような1600字の超短編小説は
深層心理・欲望・幽鬼そしてアイロニーの世界へと君を誘う。千葉日報新聞に連載されているリーフ・ノベルがネット上に新たに登場。   

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木の葉の小説『リーフノベル』VOL 152

2015/12/02

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       リーフノベル 〜超短編読み切り小説〜 高安義郎   
                      
                                     VOL 152
   
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                お待たせ致しました。
                今月号のリーフノベルです。  

     リーフノベルとは、全て1600字の中に収まるように作られた
     短編読み切り小説です。
     幽鬼、深層心理、アイロニーの世界にあなたを誘います。
     それでは、どうぞ今月のリーフノベルをお楽しみください。

     ○●トップページ●○
     http://www1.odn.ne.jp/~aap60600/yoshirou/leafnove.html
     には、他の作品も掲載しております。

     ●○投稿募集●○
   またサイトでは、作品の投稿もお待ちしております。
   まずは御気軽にお問い合わせ下さい。 
   みなさんも1600字で作品をお書きになってみてください。
   今までにない手法の作品です。
   優秀作品はサイトにて、ご紹介致します。
   komugi@lily.odn.ne.jp

     ○●作者紹介●○
    名前:高安義郎(たかやす よしろう)
    日本文芸家協会会員
    日本ペンクラブ会員
    日本現代詩人会会員
    千葉県詩人クラブ顧問
    詩誌「玄」、詩誌「White  Letter」主宰
    リーフノベルを「千葉日報新聞」(隔週の日曜版)に10年間連載

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    ■☆■☆■☆■☆   リーフ・ノベル   高安義郎 ☆■☆■☆■☆
        
   
       ■■■■■■■   親の注文     ■■■■■■■                                     
                                                                                                                                
  
      直人は子供の頃から理屈っぽい性格だった。理屈を言える事が頭の良い証拠な

  のだと思い込んでいたのだが、それは大人になっても変わらなかった。

  直人が結婚し子供の良介が小学生になった頃だった。良介は学校では泳げない

  グループに入っていた。

  「男の子は泳げなくては」

  そう思った直人は、良介を近くの水泳教室に通わせることにしたが、それでも泳

  ぎは上達しなかた。

  ある時直人は水泳教室に押しかけると言った。

  「月謝を払っているのに、どうしてうちの子は泳げないんだ。それじゃ詐

  欺と同じではないか」

  直人の言葉に水泳教室のコーチはむっとした顔をしながらも、

  「分かりました。明日からつきっきりで指導しましょう」

  と答えた。

  そんな事があってから良介は前より少しは泳げるようになったのだが、ある時、

  「お父さん。水泳教室のコーチは僕にずうっとくっついていていやだ。僕、みん

  なと水掛ごっこしたりして遊びたい」と愚痴を漏らした。早速直人は、

  「うちの子にも水掛ごっこをさせろ」と言いに行った。コーチは、

  「そうですね、自主的な練習の方が良いかも知れません」

  そう言いながらもコーチは不安そうな顔をした。

  それからしばらくして、学校では学年別水泳大会があったが、町の水泳教室に

  通っている子は皆選手に選ばれたものの、良介だけは補欠にもなれなかった。

  良介はそれっきり水泳教室をやめた。

  スポーツがだめならばと、直人は学習塾に通わせた。ところが良介は勉強が苦

  手なのか、先生の話は聞いていないようだった。当然学校の成績はビリのまま

  だった。直人は塾に出かけ講師に、

  「成績をあげるのが塾の役目だろ。金だけ取って成績が上がらなければ詐欺と同

  じだろ」そう言って責めた。

  直人の剣幕は他の塾生の耳にも入り、

  「良介の親父、かなり頭が悪いな。だからお前も成績悪いんだろ」

  そんな悪口を言われるようになった。そのことを漏れ聞いた直人は愕然とした。

  頭が悪いと言われたことが初めてだったからである。どうしても納得がいかない

  直人は仕事を休み塾の経営者を訪ねた。

  「先生、正直言って、私は正論を言っていると思うんですよ。私は車のセールス

  をしていますが、お金を貰っている以上、故障のない物をお客様に提供し、お客

  さんに喜んで貰えるように努力しています。仕事ってそんな物でしょ」

    塾の先生は黙って聞いていた。時折静かにうなづき、

  「そうですね。それで?」

  と話を促した。

  「ですから、塾に通わせているのですから、成績を上げるのは塾の仕事でしょ」

  すると先生は静かに言った。

  「お父さん、一つ、つかぬお話をしますがいいですか」

  「は?何ですか」

  「例えばレストランに行ってお父さんが注文したハンバーグを子供さんが食べな

  かったとします。それはレストランが悪いんでしょうか。それともウェイトレスが、

  無理にでも口に運んでやるべきでしょうか」

  「何の話だ。馬鹿言っちゃいけないよ。注文して食わなかったら、食わなかった

  子供が悪いに決まってる」

  そう言った後で直人は、

  「ハンバーグが嫌い?つまりうちの子は勉強が嫌いだと言いたいんですか」

    直人はそう言って声を荒げた。

  「いえ、私が言いたいのは、子供の好みも聞かずに親が注文した事について考え

  て欲しかったんです」

  直人は先生の言いたいことがよく分からなかった。

  家に帰り、直人は良介に言った。

  「良介が一番やりたいことは何だ」

  「何を言ってもいいの?」

  「もちろんだよ」

  「本当?お父さんが嫌いな物でもいいの?」

  「ああ」

  「それなら言うけど、僕、絵を描きたい」

  直人はこれまで、国語や算数と言った主要教科以外に目を向けなかった為、

  良介は絵が上手なことを知らなかったのだ。早速直人は良介の行きたが

  る絵画教室に入れた。

  それからの良介は明るくなり、仲間とよく話すようになった。そして仲間の誘

  いで再び水泳教室と学習塾に通うようになると、たちまちクラス選手の補欠に

  なり、いつの間にか成績も上位に食い込んでいったのだった。                 

  
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     ●○○●○○● Yoshiro's Room ●○○●○○●
 

  
  もう十二月だ。今年私は何をしたのだろう。思い起こせば私なりに新たな作品
を二十編ほど制作した。後はこれをどう発表するかだろう。それは来年の課題だ。
来年の今ごろどんな報告ができるか楽しみだ。来年を期待して今年は何も記さな
いことにする。(2015、12、1)

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創刊日:2001-07-21  
最終発行日:  
発行周期:月2回  
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