文学

木の葉の小説『リーフノベル』

30年以上詩作してきた作者がたどり着いた世界リーフ・ノベルの誕生である。
木の葉に書き置くような1600字の超短編小説は
深層心理・欲望・幽鬼そしてアイロニーの世界へと君を誘う。千葉日報新聞に連載されているリーフ・ノベルがネット上に新たに登場。   

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木の葉の小説『リーフノベル』VOL120

2010/07/31

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       リーフノベル 〜超短編読み切り小説〜 高安義郎   
                      
                                     VOL 120
   
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                お待たせ致しました。
                今月号のリーフノベルです。  

     リーフノベルとは、全て1600字の中に収まるように作られた
     短編読み切り小説です。
     幽鬼、深層心理、アイロニーの世界にあなたを誘います。
     それでは、どうぞ今月のリーフノベルをお楽しみください。

     ○●トップページ●○
     http://www1.odn.ne.jp/~aap60600/yoshirou/leafnove.html
     には、他の作品も掲載しております。

     ●○投稿募集●○
   またサイトでは、作品の投稿もお待ちしております。
   まずは御気軽にお問い合わせ下さい。 
   みなさんも1600字で作品をお書きになってみてください。
   今までにない手法の作品です。
   優秀作品はサイトにて、ご紹介致します。
   komugi@lily.odn.ne.jp

     ○●作者紹介●○
    名前:高安義郎(たかやす よしろう)
    日本文芸家協会会員
    日本ペンクラブ会員
    日本現代詩人会会員
    千葉県詩人クラブ顧問
    詩誌「玄」、詩誌「White  Letter」主宰
    リーフノベルを「千葉日報新聞」(隔週の日曜版)に10年間連載

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    ■☆■☆■☆■☆   リーフ・ノベル   高安義郎 ☆■☆■☆■☆
        
   
       ■■■■■■■  食糧不足 ■■■■■■■                        
                                            
                   
     

    春男は列車の中吊りに目をやった。幾つもの週刊誌の広告が、地球の温暖化や

  ガソリンの値上げを報じていた。日本の食料不足が始まっているのではないのか。

  春男は漠然とそんなことを考えた。自分はこんなのんびりと役所勤めをしていて

  いいのだろうか。休みの度に出かけるゴルフ場が脳裏に浮かんだ。ゴルフ場が農

  地になれば自給自足もできるかもしれない。ぼんやりと車窓に目を投げながらそ

  んなことを考えた。ふと『そうだ。これからの時代を乗り切る準備として、自分

  で畑を耕そう』春男はそんなことを思い立った。

   春男の家の周りには農家が多く、しかも耕し手がなく放置されている耕地がい

  くらもあり、家からほど近い所に二アール(約六十坪)ほどの畑を借りた。休日

  が楽しくなった。適度に体を動かし、鍬をふるった土の跡が黒々と光るのを見る

  とき、征服感にも似た喜びに浸った。

   連休と年休を利用し数日かかって七本の畝を作り、にわか百姓になったつもり

  の春男は、手当たり次第に苗を買い込んだ。カボチャ、スイカ、キュウリにトマ
 
 ト、サヤエンドウや空豆の苗。それらを畝ごとに並べて植えた。小さな苗がまば

 らに ひろがり、淋しい農地に見えた。だが数週間で畑は緑に覆われだした。ひ

 と月がたちふた月がたつと苗は予想以上に育ち、雑草と供に大きくなった苗が地

 面を覆い隠しだした。スイカとカボチャの大きな葉は地面を這い、ほかの畝を覆

 い被せ隣の畑にまで侵略しだした。幸い隣は休耕地で開いていた。サヤエンドウ

 やトマトのために支柱を組んでいると、カボチャの花が咲いているのを見つけた。

 その脇にキュウリの花も咲いていた。どこがキュウリの畝なのかカボチャの畝な

 のか分からなくなっていた。

   七月の半ばに梅雨が明け、十日以上も雨の降らない日が続いた。畑には生気が

  なくなってきた。春男はポリタンクを五個ほど買い込み、家から水を運んでは畑

  にまいた。畑全体に灌水するには四時間を要した。そんな水かけ作業が休みの度

  に続き、とうとうトマトの色づくのを見た。やがて笊いっぱいのトマトを収穫す

  ると妻は喜んでくれた。だが来る日も来る日も籠いっぱいのトマトはたちまち台

  所に氾濫した。ナスを収穫し出すと台所ではトマトは腐り出した。そのうちカボ

  チャが大きくなり出し、毎日仕事帰りに一個ずつ収穫するとこれも台所に積み上

  げられた。スイカも大きな葉に紛れて少し小振りの実が転がっている。一番大き

  なものを選んで持ち帰ると、妻と二人では食べきるのに三日かかった。

   夏が過ぎ気がつくと畑には収穫されないまま熟し切った巨大なキュウリやただ

  れたトマトが無残に取り残されていた。それでもこの夏は自分の育てた作物を食

  べられた喜びで満足だった。

   そんなある日これまでかかった費用を計算してみた。畑の借用料と苗の代金。

  有機肥料や灌水費用を合わせるとざっと四万円ほどだった。ここには人件費は入

  っていない。だが夏の終わりはいつも小遣いが足りなかったが、その年はどうに

  か数千円残っていた。畑三昧でゴルフにもパチンコにも行かなかったからだ。

  「今年の夏は野菜を買わずに済んだだろう」春男は得意げに妻に言った。

  「大根やタマネギ、それにお味噌汁の具は買ったわ」

  「それでも俺の野菜でずいぶん助かったろ」

  「そうね三千円くらいかしら」妻は涼しい顔で言った。

  「なに?たった三千円?」春男は納得がいかなかった。

  「食べた量より腐らせた方が多かったわね」妻のさりげない言葉が春男の心を深

  く傷つけた。してみると三万七千円腐らせたことになる。だが小遣いが残ったこ

  とは刮目して良い結果ではないか。これはやはり日本の食糧不足を解消できる。

  密かにそう思った。その時妻が言った。

  「畑が終わって飲むビール代が去年の二倍よ。ゴルフやパチンコをやめて畑を返

  せば、我が家の食料不足は解消できるってことかしらね」

 妻のその独り言のような言葉は、春男の心をこの上なくさむからしめるのであっ

 た。



 
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  ●○○●○○● Yoshiro's Room ●○○●○○●
  
  7月26日に日韓文学交流の祭典がソウルであり、私はそれに参加してきた。私
 の詩人仲間がこの交流に力をいれているので、半ば応援のつもりで参加したのだが、
 女流詩人も六人ほどいた。交流の後二日間は観光をして歩いたのだが、その時あ
 る違和感を感じたので少し記してみたい。
  その違和感とは、同行した女性達の多くが何にでもすぐに同調しようとする神
 経の稚拙さに対するものである。彼女たちは韓国内に入ると気持ちはすっかり韓
 国びいきになり、どんなお粗末な物を見ても感嘆の声を上げ、素晴らしい素晴ら
 しいの言葉を連発するのだ。国立博物館にも入館にしたが、そこに展示されてい
 た宮殿の模型は屋根が歪んでいても気付こうともせず、木を組み上げて作った故
 宮の門の模型も、至る所うば口で、およそ国立博物館で展示するような物ではない。
 どう見ても高校生の文化祭で作った展示物のようだが「まあ立派な物を作ってあ
 るわ」と目を細める。そして、韓国の言葉が幾つか日本に入り込んでいると聞けば、
 似たような言葉は全て韓国からの影響だとし、日本は全て韓国を見習って発展し
 たのだと思い込もうとする。むろん隣国だから互いに影響をしあって来たのは確
 かだろうが、常に韓国の肩を持つように解釈するのだ。例えば、『ちょこっと』と
 言う言葉も、『奈良』の地名も、また『くだらない』という言葉は、百済にはな
 い、と言う言葉からくるのだ、などと真顔で言うのだ。これでは正しく日韓の歴
 史を語ることはできない。そもそも、韓国には古代の言語が残されていないのだ。
 従って韓国の言葉が日本の言葉になったという発想は全く根拠が無いのである。
 今中年女性の間に韓流ブームが取りざたされているが、これなどは韓国の後進性
 が日本の三十年前の感覚や物の考えを見せている所に懐かしさを感じているだ
 けの、一時的なうわごとなのである。これが単なる観光ブームに輪を掛けている
 だけなら良いが、政治的なことに利用されないようにしてほしいものだと、この
 旅行中に思ったものだった。

注1)韓国語にある『ちょこっと』の発音に似た言葉も日本の『ちょこっと』と
   同じような意味だが、韓国語が語源だとする証拠は何も無い。
  2)『奈良』は地をならして作った都ということから『ナラ』と呼んだと日本書紀 
  にある。韓国語の『国』の意味の『ナラ』から来ているという証拠はない。  
3)『くだらない』は百済にはないと言う意味の韓国語『クダラ ジアナヨ』か  
 らきた言葉だと言うが、韓国では百済はペクチェと呼び、クダラと呼んだの   
は日本だけである。したがって『クダラ ジアナヨ』はこじつけとしか思え  
 ない。しかも韓国では『クダラ ジアナヨ』なんて言葉は知らないという。
                            (2010.7.31)


  

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                        ☆  お知らせ ☆

  ★★ 30数年詩を書き続けた作者渾身の作、
    詩集「母の庭」〜アルツハイマーは嵐のように母を襲い〜 が
      2003年3月30日付け読売新聞朝刊に大きく紹介されました。
     
   ★ 高安義郎著「母の庭」〜アルツハイマーは嵐のように母を襲い〜
     (ごま書房刊) 定価1,200円(税込み)
         2002年11月27日全国の書店から発売されました。
     表紙絵 日本画家 若木山(作品 酣春) 帯文 新川和江 
      
     ★ 下記の書店からインターネットでも購入が出来ます。御覧下さい。
                   
 (紀伊国屋書店)

  http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi? W-NIPS=9976400284 
       
 (YAHOO BOOKS)                 
 http://books.yahoo.co.jp/bin/detail?id=31059989                     
         
  
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創刊日:2001-07-21  
最終発行日:  
発行周期:月2回  
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