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シニアネット 『おいおい』

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シニアネット 『おいおい』 第909号 (2010.01.01))

2010/01/01

━━senior citizen net━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2010/01/01━

    シニアネット 『おいおい』           第909号
 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━あけましておめでとうございます━━━━
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  傷一つ翳一つなき初御空          高浜虚子

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昭和33年12月21日の作。虚子84歳で生涯最後の「初御空」。「傷一つ翳一つなき」と完璧なと言いきった。なんと、美しい宇宙感であろうか。天地は、どこまでも傷だらけである。その傷は、人間の心の痛みである。それに対して、「傷一つ翳一つなき」と言い切った。元旦の「御空」に穢れを去った無垢な姿を見た。すべてのものを、仏にお預けするという大乗仏教の思想に似ている。
長い人生をかけて、自我の固執を脱ぎ捨てた虚子の姿が見える。「ただ完璧な初空があるだけである。その下には虚子はいない。虚子はもう善悪の彼岸に立っている。」(稲畑汀子『虚子百句』)。『七百五十句』より。翌年4月8日死去、2度と「初御空」を見ず。松山市生まれ。(1874−1995)。
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┏━━(社説)2010年頭・朝日新聞━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎1日;朝日社説(全)激動世界の中で―より大きな日米の物語を◎
http://www.asahi.com/paper/editorial20100101.html?ref=any
『21世紀も今年で10年になる。すっかり姿を変えた世界は10、20年後はどうなっているだろう。 中国は米国に迫る経済大国となる。米中、大欧州に加えて新興諸国が地球規模の秩序形成にますます存在感を増す。地球規模で相互依存が深まり、より安定しているかもしれない。 対極のシナリオもある。米政府の国家情報評議会が描く「2025年」。中国、インド、ロシアなどが連携して米国と対立し、保護主義や軍拡が蔓延する。あるいは新興諸国の発展がエネルギー危機で止まり、資源争奪の軍事衝突が始まる。 
続く地殻変動の中で、日本はどうやって平和と繁栄を維持し、世界の安定に役立っていくのだろうか。「日本の奇跡」。2カ月前、オバマ米大統領は東京での外交演説でこの言葉を繰り返した。戦後日本の復興という「奇跡」が他のアジア諸国にも広がり、いまや世界経済を支える地域の繁栄につながったというのだ。日米の同盟を軸とした米国のアジア地域への関与がそれを可能にした、と。 
 ■同盟という安定装置 ■ 最強の軍事大国と専守防衛の国。太平洋をはさむ二大経済大国。類まれな組み合わせをつなぐ現在の日米安保体制は今年で半世紀を迎える。大きく歴史を振り返れば、大統領が誇るのももっともなことだ。いざというときに日本を一緒に守る安保と、憲法9条とを巧みに組み合わせる選択は、国民に安心感を与え続けてきた。そして今、北朝鮮は核保有を宣言し、中国の軍事増強も懸念される。すぐに確かな地域安全保障の仕組みができる展望もない。 米国にとって、アジア太平洋での戦略は在日米軍と基地がなければ成り立たない。日本の財政支援も考えれば、安保は米国の「要石」でもある。日本が米国の防衛義務を負わないからといって「片務的」はあたらない。 
 アジアはどうか。日米同盟と9条は日本が自主防衛や核武装に走らないという安心の源でもある。米中の軍事対立は困るが、中国が「平和的台頭」の道から外れないよう牽制するうえで、米国の力の存在への期待もあるだろう。中国を巻き込んだ政治的な安定が地域の最優先課題だからだ。 同盟国だからといって常に国益が一致することはない。そのことも互いに理解して賢く使うなら、日米の同盟関係は重要な役割を担い続けよう。問題は、同盟は空気ではないことだ。日本の政権交代を機に突きつけられたのはそのことである。 
 ■「納得」高める機会に ■ 普天間問題の背景には、沖縄の本土復帰後も、米軍基地が集中する弊害で脅かされ続ける現実がある。 過去の密約の解明も続く。米国の軍事政策と日本の政策との矛盾。民主主義の政府が隠し続けていいはずはない。密約の法的な効力がどうなっているか。国民が関心を寄せている。 いま日米両政府が迫られているのは、これらの問題も直視しつつ、日米の両国民がより納得できる同盟のあり方を見いだす努力ではなかろうか。 とくに日本の政治には、同盟の土台である軍事の領域や負担すべきコストについて、国民を巻き込んだ真剣な議論を避けがちだった歴史がある。鳩山政権のつたなさもあって、オバマ政権との関係がきしんではいるが、実は、長期的な視野から同盟の大事さと難しさを論じ合う好機でもある。 
 日米の安保関係は戦後の日本に米国市場へのアクセスを保証し、高度成長を支える土台でもあった。いまや、日中の貿易額が日米間のそれを上回る。中国、アジアとの経済的な結びつきなしに日本は生きていけない。しかし、だからといって、「アジアかアメリカか」の二者択一さながらの問題提起は正しくない。むしろ日本の課題は、アジアのために米国との紐帯を役立てる外交力である。 
■アジア新秩序に生かす■ アジアには経済を中心に、多国間、二国間で重層的な協力関係が築かれるだろうし、いずれ「共同体」が現実感をもって協議されるだろう。だが地域全体として軍備管理や地域安全保障の枠組みをつくるには、太平洋国家である米国の存在が欠かせない。日本が米国と調整しつつ取り組むべき地球的な課題も山積だ。アフガニスタン、イラクなどでの平和構築。「核のない世界」への連携。気候変動が生む紛争や貧困への対処。日米の同盟という土台があってこそ日本のソフトパワーが生きる領域は広い。むろん、同盟の土台は安全保障にある。世界の戦略環境をどう認識し、必要な最低限の抑止力、そのための負担のありかたについて、日米両政府の指導層が緊密に意思疎通できる態勢づくりを急がなければならない。 日米の歴史的なきずなは強く、土台は分厚い。同盟を維持する難しさはあっても、もたらされる利益は大きい。(1854字)。

┏━━(社説)2010年頭・読売新聞━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◎1日;読売社説(全)「ニッポン漂流」を回避しよう 今ある危機を乗り越えて
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091231-OYT1T00717.htm
『◆国家戦略を示すときだ◆ 日本の将来に、期待よりも懸念、希望よりもあきらめを強く抱かせるような、政治の迷走、経済の停滞が続いているからだ。主な原因は、鳩山連立政権が日本の平和と繁栄、安心社会を維持するための、中長期の国家戦略を欠くうえに、当面の針路すら国民に明示できないことにある。国家戦略なき日本は、国際社会の荒波の中で孤立化し、やがては漂流することになろう。日本が進むべき道は何か。どんな国造りを目指すのか。新しい国家像をどう描くのか。危機を乗り越える具体的な処方箋とともに、骨太な国家戦略を示すこと、それが政治に課された責任である。
 ◆連立の弊害をただせ◆ 鳩山政権の機能不全は、大きく言えばキャスチングボート政治、マニフェスト至上主義、官僚排除に由来する。加えて、鳩山首相自身の献金問題だ。首相は進退を世論に委ねる意向を明らかにしたが、展開次第では政変に結びつく。日本政治が激動する可能性もあろう。小所帯ながら参院で法案成否の鍵を握る社民、国民新両党が大勢力の民主党を振り回し、外交・安全保障や財政・経済運営の基本をゆがめる現状は看過できない。 象徴的事例が、米軍普天間飛行場移設問題の決着先送りだ。鳩山首相の優柔不断もさることながら、連立政権維持を優先する民主党の小沢幹事長らの思惑により、日米同盟の危機が指摘される事態になっている。
 緒方竹虎副総理が、小党のキャスチングボートは多数決政治の信頼を揺るがすと指摘、保守合同による「政局の安定は現下爛頭の急務」と強調したゆえんである。55年体制には功罪あるが、日米同盟に基づいて日本の平和を確保し、自民党一党支配による政局の安定と、それに伴う経済成長の礎を築いたことは間違いない。 鳩山内閣はキャスチングボート政治からの脱却が迫られている。国の命運がかかり、国民生活の基盤が左右されるような重要政策・法案の成否に当たっては、野党とも提携する「部分連合」や、大胆な政界再編による「挙国政権」づくりをためらうべきではない。
 ◆日米基軸が国益に沿う◆ 言うまでもなく、日米同盟は日本の安全保障の生命線だ。核開発を続ける一方で体制保証と経済支援を強要する北朝鮮、軍事力増強を背景に経済権益の拡大を図る中国。政治体制が異なる両国と一衣帯水の日本にとって、安全保障同盟を基軸とする良好な日米関係の維持は、国家戦略の基本に位置づけられなければならない。 それなのに、東アジア共同体構想を掲げ、米国離れを志向する鳩山首相の言動は極めて危うい。 主権国家として、日本が米国と対等な関係にあるのは自明だ。しかし、安全保障に関して言えば、有事の際に米国が日本を守り、その代わりに日本が米軍に基地を提供する、という相互補完関係にある。日米安保体制が、戦後日本の「軽武装・経済優先」路線を可能にしたわけだ。
 鳩山首相が言うように、米国依存を改め、対等な関係を目指すのなら、北朝鮮などの脅威に備えた自主防衛力の抜本的な強化が必須となる。防衛費は膨張し、景気対策や社会保障に回すべき予算が圧迫される。さらに、日本の軍事力強化に対する周辺諸国の懸念を増幅させるだろう。米国との同盟関係を薄めて、対等な関係を築くというのは、現実的な選択ではない。それ以上に民主主義、人権尊重、思想・信条の自由という普遍的価値を共有するアメリカとの関係強化を、アジア・太平洋の平和と安定の基礎に置く視点が不可欠である。
 ◆非常時は大胆な政策を◆  家電、衣料、食品業界などで、コスト割れの安売り競争が横行している。消費者も、安く買えると喜んでばかりはいられない。弱肉強食、倒産・失業増加、賃下げ、デフレ悪化などの、負の側面を持つ危険な現象だからである。デフレ脱却には、強力な指導力が不可欠だ。昭和恐慌時の高橋是清蔵相、アメリカ大恐慌時のフランクリン・ルーズベルト大統領のように、不況脱出のためには強権発動も辞さず、の断固とした政治意思を市場に示す必要がある。残念なことに、鳩山首相からは不況脱出にかける強力なメッセージが伝わってこない。マニフェストに固執する余り、政策の優先順位を決められず、右往左往しているからだ。
 新年度予算編成作業でも、マニフェストの柱に掲げたガソリンの暫定税率廃止、子ども手当などを巡って迷走を続け、結局、民主党の小沢幹事長が仕切る形で決着した。政策は政府に一元化、という看板も羊頭狗肉で、「党高政低」の現実には大きな不安が残る。鳩山内閣は官僚との円滑な意思疎通を欠き、情報不足に陥っている。
 ◆社会保障を景気対策に◆  「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズが独り歩きしている。危険なことだ。公共事業は「土建国家」の悪玉施策と言わんばかりである。吟味は必要だが、地方が疲弊しているときに、即効性が高い公共事業の活用も大切だ。安心社会づくりで肝心なのが医療、介護、福祉である。社会保障の充実は、安全網の整備に加え景気対策の効果も期待できる。約600万人が従事する社会保障の分野は、少子高齢化により今後も拡大する。雇用を作り、生産を促し、カネを循環させる機能は、他産業と比べて見劣りしない、といわれている。 社会保障の財源として消費税率引き上げは避けて通れない。鳩山政権は凍結の封印を解き、景気回復後の税率引き上げに国民の理解を求めなければならない。
 来年度予算では、大量の国債発行が不可避となった。国債費のうち約10兆円が利払いに充てられている。利払いの負担を軽減するため亀井金融相らが主張するように、無利子非課税国債を発行することも検討に値しよう。
 金持ち優遇の批判も予想されるが、約30兆円のタンス預金を国債に吸い上げて活用できれば、景気対策に役立つではないか。 非常時には非常時なりの思考と行動が必要である。ローマ帝国の滅亡を早めた「パンとサーカス」の、大衆迎合的ばらまき・見せ物政治から一日も早く抜けださなければならない。そうでなければ、眼下の危機を乗り越えることも、明日への責任を果たすこともできない。(2454字)

┏━━(社説)2010年頭・日経新聞━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎1日;日本経済社説(全)繁栄と平和と地球環境を子や孫にも繁栄と平和と地球環境を子や孫にも
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20091231AS1K2500B31122009.html
『きのうで、団塊の世代は全員が還暦を迎えた。1947年から49年までに生まれた670万人。この世代は高度成長期に育ち、平和と繁栄を謳歌した。戦後世代を象徴する人々である。この団塊の世代の子や孫は、親や祖父母より幸福な人生を送れるだろうか。そこに大きな疑問符がつく。
■将来世代にツケ回すな■ 経済の面では、デフレ基調が長く続き、今年度の1人当たり名目国内総生産(GDP)は10年前に比べ約5%少ない見通しだ。派遣社員など非正規社員の割合が3割を超え、所得格差も広がってきた。何より、財政や社会保障で若い世代ほど負担が重くなる。5年前の経済財政白書によれば、60歳代以上の人は、生涯を通じて政府に払う税金や社会保険料よりも、政府から受け取る年金給付や医療保険の補助など行政サービスが4875万円多い。一方、20歳代は受け取りが支払いより1660万円少ない。両世代の差は約6500万円にもなる。増税や年金給付の削減などの改革をしなければ、100年後に生まれる日本人たちは、今の貨幣価値で2493兆円もの公的純債務を負う(島沢諭秋田大准教授の試算)。負担をないがしろにして財政支出を続け、その帳尻を国債発行で埋めてきたツケが、今の若い世代や未来の世代にずしりとのしかかる。
 平和はどうだろう。冷戦終結から20年たったが、北朝鮮の核開発にみられるように20世紀型の脅威は去っていない。中国の21年連続での国防費2ケタ増加も、東アジアの長期的な安定にどんな影響を及ぼすか読めない。鳩山政権は日米同盟について前政権とは一線を画すように見えるが、それは賢明なのかどうか。長い目でみて最も深刻なのは地球温暖化問題である。大量の二酸化炭素排出によって温暖化が進み、このままでは海面の上昇だけでなく、異常な暑さや寒さ、大型台風や干ばつの多発など、人類の生存環境そのものが脅かされる、と多くの科学者が警告している。
 われわれ現世代は子や孫の世代を犠牲にして、繁栄や平和をたのしんではいないだろうか。自分たちが生み出した問題は自分たちで処理する。それが未来への責任だろう。敗戦から65年、日米安保条約改定から50年、年金増額など福祉元年から37年、温暖化防止の京都議定書から13年、21世紀の10年目。今年を日本の未来を考える元年にしたい。経済を長いデフレ基調から引き戻すには、財政・金融面から需要を喚起するだけでなく、長期の視点から経済体質を変える必要がある。デフレの原因として、時代を映した需要の変化に供給側が対応し切れていないことも大きいからだ。たとえば公共事業が激減し民間の需要も低迷する建設業界では、バブル最盛期の89年(約580万人)とそう変わらない517万人が働いている。転業などをせずに、皆が食べていくのはまず不可能である。潜在的に大きな需要があるのに、政府の規制などで供給が出てこない分野もある。
将来世代が格差なく良い仕事に就けるよう人材の育成に力を入れなければならない。この面では政府とともに企業の責任も重い。
■向こう10年間が勝負■ 財政や社会保障を持続可能にするには、年金・医療給付や保険料、税金などの面から、現世代が解決策を出すべきだ。景気が持ち直した後に実施できるよう準備を急ぎたい。安全保障に関しては、日米同盟の意味合いを、未来の視点からもう一度考えてみる発想が大切である。地球環境を守るのは負担だけとは限らない。米中などの大量排出国を巻き込んだ二酸化炭素削減の枠組みができれば、低炭素社会に向けて、先進国は産業構造を大きく変え、新たな成長を開始する。技術力の高い日本は優位に立つはずである。
 これら未来に向けた改革を進める上での問題は「改革の担い手はだれか」だ。投票率が高い高齢者の人口に占める割合は高まり、現状維持を好む高齢者の声が政治に反映されやすくなった。この状況を変えるにはもっと若い人にも選挙権を与えるとともに、各界の指導者に若い人を登用する寛容さと勇気が求められる。 過去10年間、経済や社会保障の基本的な問題を解決できなかった。今から10年後には65歳以上の人口が29.2%と3割に近づく。この10年が勝負であろう。若い世代や将来世代の生活を守ることを真剣に考え、早く行動を起こすべきである。(1704字)。

┏━━(社説)2010年年頭・毎日新聞━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎1日;毎日社説(全)2010 再建の年 発信力で未来に希望を◎
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100101k0000m070077000c.html
『万葉集が編まれた奈良時代の都、平城京は1300年前に誕生した。東大寺はじめ多くの寺社が姿をとどめる大和の風景は、現代人の心に潤いを与えてくれる。奈良県内ではことし1年を通じて平城遷都1300年祭が行われる。当時を振り返り、現代的な意味を探ってみよう。
 ◇平城京に学ぶ総合戦略◇ 日本を再建してほしい。そういう国民の期待が昨年の政権交代をもたらした。確かに経済は沈み、社会はきしみ、福祉や医療は崩れが目立ち、地方からは悲鳴が聞こえていた。国際的な存在感も低下している。発足した鳩山政権が明治の国づくりを意識して「無血の平成維新」と意気込んだのは当然だった。暮らしや福祉には少し明かりが見えてきた。だが経済などの再建の道は遠い。予算は今後の財源に不安を残した。外交の基軸、日米関係は稚拙な対応で自ら苦境を招いた。首相自身が政治資金の弁解に追われ、看板の「国家戦略」も見えない。
710年の平城遷都に至る半世紀は、日本が大きな危機を克服して国の再建を果たした時代だった。幕末から明治と同様だ。国づくり、国防、文化の創造という総合戦略を成し遂げた象徴が平城京といえる。
 当時の東アジアは戦乱の時代である。大化の改新を断行した中大兄(なかのおおえの)皇子(おうじ)らが百済救援のため数万の兵を出した。だが、朝鮮半島南西部の白村江の海戦(663年)で唐・新羅の連合軍に大敗してしまう。400隻が炎上し海が赤く染まったと史書はいう。敗戦の痛手は甚大で、唐・新羅の来襲を恐れる事態になった。大和政権は筑紫や壱岐などに防人を配し国土防衛を図った。一方で政治体制の改革を進め律令国家への歩みを急ぐ。そして新首都として完成したのが平城京だった。相次いで滅亡した百済、高句麗から亡命した王族や知識層も一翼を担った。
 奈良時代は日本の歴史上、最も国際的に開かれていた時代という。僧1万人を招いて行われた東大寺の大仏開眼(かいげん)供養(752年)では、大仏に魂を迎え入れる大導師をインド僧が務め、唐、ベトナムなどの僧も重要な役目を担った。各国から多数の僧が訪れていた。新羅や渤海はじめ各国との交流も深く、奈良はアジア・西域文化の集積地だった。奈良の都は大きな発信力を持っていた。21世紀の今、日本はどうだろうか。民主党の大勝による政権交代そのものが海外への強い発信となった。鳩山政権が発足直後に国連で行った地球温暖化や核廃絶についての発言も、日本の首相としては異例の注目を集めた。だが、問題はそこからの実行力である。国内の基盤を固め各国を説得する行動が伴ってはじめて本物の発信になる。
 ◇文化は日本の重要資源◇日本の現実を見れば関心は内向きになりがちだ。緊急に解決しなければならないことは多い。だが同時に世界的課題に積極的に取り組むのは、グローバル化の時代の先進国の責務であろう。経済が沈滞しているとはいえ、日本には底力がある。環境分野に限らずその役割は大きい。国際的な発信力を高め、日本の魅力が注目されることは、国内の活力にもつながる。国内の再建にはそうした長期戦略も求められる。留学生の受け入れや日本からの海外留学がともに頭打ちになっている状態を変える努力が必要だ。発信力を高めるには外交の基軸である日米同盟の深化が必須だ。普天間問題で揺らいでいる日米の信頼関係を確固としたものに回復する必要がある。中国、インドという新興大国、韓国などを含めアジアとの協力も拡大しなければならない。世界的課題への対処には、多くの友好国との密接な協力が必要になる。
 最後に強調したいのは文化の発信力だ。奈良時代、先進文明の吸収に励んだ人々は同時に独自の文化も創造していた。万葉集は天皇、皇族から防人、東国の民に至る幅広い作品を集め、今も愛唱されている。伝来の漢字を用いた「万葉仮名」は後のカタカナ、ひらがなにつながった。私たちは豊かな伝統文化を持っている。新しい文化と共鳴し、新たな創造に結びつくという優れた環境もある。例えば万葉以来受け継がれている和歌の世界では今も次々と新感覚の作品が生まれている。村上春樹氏の作品が世界的な支持を受け、映画やアニメ、日本食などが国際的に高い評価を得ているように、文化は日本が持つ重要資源である。
日本の発信力を高めることが日本の再建にもつながる。人々が未来に希望を持てる国にしよう。(1782字)

┏━━おことわり━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  産経新聞の社説は、ネットに掲載されてません。次号で紹介させていただきます。

┏━━身辺雑記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 あけましておめでとうございます。年賀状を頂きありがとうございました。私は、年賀状マニア。兎に角、皆さんに年賀状を出しまくる。相手の迷惑も考えないで。今年は、反省しまして、相手に迷惑になりそうなものは、送らないことにしました。
 頂いた今年の年賀状で、特徴のあるものを紹介します。御高齢で、「来年から、年賀状はご遠慮させて頂きます。」人が増えました。「年賀状は、生きている証です。」と生存証明書もある。年賀状の続きは、電子メールでと詳しい情報を頂きました。1枚の写真ですべての日常生活がわかるような写真。創造性のある年賀状は、「おみくじ」のシールをはがせばよい。私は、「中吉」。一茶の句のように、<めでたさも中ぐらいなりおらが春>。ひょっとしたら、全部「中吉」かもしれない。
 御高齢のために、夫婦で子供の住居に住む人が増えた。新しい住所は、「富士山と駿河湾の眺望を楽しみたい。」とある。脳出血からの復帰の「お知らせ」で、「世の中の全てが新鮮に見えてきます。」は,嬉しい。なんといっても嬉しいのは、『おいおい』を読んでいるよという「愛読者カード」です。虎(犬でなく)も褒められると木に登ります。今年の年賀はがきで大阪府内版は、「神農さん」、薬の街の守り神。
 立派な虎が我が家に集合しました。大騒ぎになっています。猫の様な獣は、あすの朝までには食べられているでしょうね。今夜は「初夢」。枕の下に、富士山、鷹、茄子の絵でも置いて寝ますか。(600字)。

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