あなたへ贈る季節のたより

毎回、1つの季語を添えたお便りがあなたの元に届きます。心に残る詩、和歌、俳句をひもときながら、北越後の城下町から都会に住むあなたに宛てて、その時々のふるさとの様子や、あなたへの想いを伝える恋文です。

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あなたへ贈る季節のたより No.95

2014/01/01

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    あなたへ贈る季節のたより     ---- No.95 ----

        「初 夢」             2014.1.1

               by URUSHI OHTAKI 大滝 豊
                http://www.u-ohtaki.com/
                                  
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 親愛なるあなたへ


 突然、白い閃光をともなった激しい雷鳴が、新しい年の開始を告げる
 ファンファーレのように轟きました。

 午前5時。まだものの形さえ見極められぬ暗闇に、窓辺の障子だけが
 ほのかに白く浮かび上がり、軒先から落ちる雨だれの音が絶え間なく
 聞こえています。

 夢から現(うつつ)へと覚醒していく意識の中で、清々しい白い光が、
 砂に浸透する水のように、ゆっくりと空間を満たすのを感じながら、
 いま新しい夜明けを迎えたところです。


 あけましておめでとうございます。

 風の強い、雨の元旦となりました。
 あなたはどこで、どんな新年をお迎えでしょうか。

 暮れに降った雪で、あたりの山々はすっかり白くなりましたが、ここ
 北越後の平野部では、まださほどの積雪はなく、折からの雨に濡れた
 地面の端にわずかに残る程度。

 極薄のガラス器のような張りつめた冷気に、少し体を堅くしながらも、
 人通りのない静かな街のたたずまいの中に、どことなく年が改まった
 晴れやかさを感じています。


 外の静けさとは裏腹に、それぞれの家の中では、久しぶりに帰省した
 子や孫たちが集い、にぎやかな団らんが持たれているのでしょうか。

 餅を焼き、おせち料理に箸を伸ばしながら、家族がまた無事に新年を
 迎えられたことを寿ぐ・・・そんな日本の正月は、おだやかで優しい
 温もりに充ちているようです。
 

 
 
      年のはじめにゆめ売りは、

      よいはつゆめを売りにくる。

      たからの船に山のよう、

      よいはつゆめをつんでくる。

      そしてやさしいゆめ売りは、

      ゆめの買えないうら町の、

      さびしい子らのところへも、

      だまってゆめをおいてゆく。



                  金子みすゞ「ゆめ売り」



 じんわりと心に浸みるような、やさしい詩ですね。


 「初夢」は、もともとは立春の朝に見る夢のことだったようですが、
 いつの頃からか、元日の朝の夢を言うようになりました。

 そして更に「大晦日の夜は寝てはいけない」という風習から、元日の
 夜に見る夢を指すようになり、やがて二日の夜から三日の暁にかけて
 見る夢、とも言われるようになったようです。

 そしてどうせなら、縁起の良いものを見たいと思うのが人情なのか、
 初夢のベストスリーとして、「一富士・二鷹・三茄子」(いちふじ・
 にたか・さんなすび)という言葉が定着していきました。

 これを言い出したのが、徳川家康だったとも言われていますが、その
 根拠ははっきりしていません。もちろん、富士山は日本一の山ですし、
 鷹は鳥の王者なのでわかるとしても、三の茄子はなぜなのでしょうか。

 ものごとを「成す」に通じ縁起が良いからという説、あるいは駿河で
 最も高いものを3つあげたのだ(富士山、愛鷹山、初物の茄子の値段)
 という説があるようです。

 いずれにしても、何となくこじつけのような面白い組み合わせですね。



       初夢や秘して語らず一人笑む


                       伊藤 松宇 


 さて、では縁起の良い夢を見るには、どうしたらいいのでしょうか。

 その答えは、「宝船」の絵を枕の下に敷いて寝ることなのだそうです。

 「宝船」には、縁起の良い米俵、小槌、蓑(みの)、宝珠(ほうじゅ)
 が載せてあったり、七福神が乗っていたり、はたまた悪い夢を食べて
 くれる「獏」(ばく)という想像の動物が描いてあったりもします。

 そしてさらに面白いことには、

  長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り舟の 音の良きかな

 (ながきよの とおのねぶりの みなめざめ なみのりぶねの
  おとのよきかな)

 という、回文(上から読んでも下から読んでも同じ文)の歌が添えて
 あるものも多いようです。誰が考えたのかはわかりませんが、いろは
 歌と並んで、とても良くできている歌ですね。

 正月にこういう機知を楽しむことが、文字通り「吉」を呼び、笑顔が
 幸せを運んでくると信じられたのかもしれません。

 福笑いなどと同じく、楽しいことはそれだけで福をもたらすのですね。



       敷いて寝る百万両の宝船


                       富安 風生 


 今夜、あなたはどんな初夢を見ることでしょうか。

 夜に見る夢は、なかなか自分ではコントロールできませんが、年頭に
 あたって思い描く夢は、自由にどこまでも広げられるもの。

 この年、またたくさんの人やものとの出会いがあり、ふとした運命の
 結びつきで、思わぬ展開が待ち受けているかもしれません。

 それはもちろん、良いことばかりとは限りませんが、わたしたちは、
 良いことも悪いこともすべてこの身に引き受け、それをエネルギーと
 して自らの歩みを進めていくことで、心にともした希望の灯を育てて
 いけるのではないでしょうか。

 年頭に抱いた夢は、必ず叶えられると信じること。

 わたしたちのほんとうの宝船は、そうしたたくさんの希望を載せた、
 わたしたち自身の「心」そのものだと言えるのかもしれませんね。



                    平成26年1月1日 

         ごうごうと風の音が響く、北越後の城下町にて



 
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