あなたへ贈る季節のたより

毎回、1つの季語を添えたお便りがあなたの元に届きます。心に残る詩、和歌、俳句をひもときながら、北越後の城下町から都会に住むあなたに宛てて、その時々のふるさとの様子や、あなたへの想いを伝える恋文です。

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あなたへ贈る季節のたより No.23

2008/01/01


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    あなたへ贈る季節のたより     ---- No.23 ----

       「お正月」                2008.1.1

               by URUSHI OHTAKI 大滝 豊
               http://www.u-ohtaki.com/
                                  
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 遠くのあなたへ


 あけましておめでとうございます。
 新しい年の初め、いかがお過ごしですか。

 こちらは、雪まじりの強い北風が吹き荒れる、寒い元旦となりました。

 晴れ着に着飾った人たちで賑わう神社とは裏腹に、まちの中はとても
 静かです。家々の軒先に立てられた国旗や松飾りが、激しく風に揺れ
 ながらも、お正月に特有の晴れやかな気分を伝えてくれます。


 ぴーんと張りつめた冷気の中で迎える、元日の夜明け。
 厳かでありながら、心にほのぼのと淑気が湧き上がってきますね。
 

 昔から幼い子どもたちにとってのお正月は、指折り数える待ち遠しい
 ものでした。新しい着物、お年玉、そして家族が皆そろって、楽しい
 遊びが存分にできた日。あなたも覚えておいでですか。

 でもそんな浮き立つような気分の中で、突然ふっとさみしさを感じる
 一瞬もあるのですね。それは華やかなお正月だからこそ生じる、ある
 種の「空白感」であるのかもしれません。




   みんなで双六(すごろく)しませうと、

   みんなのご用のすむときを、

   待つてゐるまはさみしいな。

      遠い遠い原つぱで

      男の子たちの聲(こえ)がする。



   大戸卸(おろ)して屏風をたてて、

   暗い暗いうちのなか、

   お山のやうにさみしいな。

      凍(い)てた表にからころと

      さむい足駄の音がする。



   昨日(きのふ)は夜を待ちくたびれて、

   今朝も跳ね跳ねお着物(べべ)を着たが、

   お正月とはさみしいものよ。

      姉さん學校へいつちやつて

      母さん御用がまだすまぬ。



                  「元日」 金子 みすゞ



 双六、凧揚げ、羽根つき、独楽回し、歌留多・・・お正月ならではの
 楽しい遊びも、最近はもうほとんど見かけることがなくなりましたね。

 昔の遊びはどれも、その周囲に微妙な「空気」の存在があったのでは
 ないでしょうか。人と人、人と自然の間で、その時々の相手の呼吸や
 感情を、波のように伝えてくれた目に見えない媒体・・・

 その「空気」を読むことで、わたしたちは家族や仲間や周囲の自然と
 ごく普通に交わり、心を通わせることができたのかもしれません。
 

 しんしんと降る雪に閉ざされた家の中心には、囲炉裏や掘りごたつが
 あって、そこに足を入れたときの何とも言えぬ暖かさと、集う家族の
 笑顔が重なるあの温もりは、どこへ消えてしまったのでしょう。

 遠い日の幼い記憶は、なつかしさと同時に、耐え難いほどの喪失感を
 伴って、今のわが身に迫ってきます。



    眼を閉ぢて深きおもひにあるごとく

      寂寞(じゃくまく)として独楽(こま)は澄めるかも


                植松寿樹(うえまつひさき)



 独楽が勢いよく回っていて、軸が少しもぶれていないときの様子を、
 昔の人は「澄む」と表現したようです。

 高速に回転をしているものが、逆に静止しているように見えるのは、
 わたしたちの住む地球も同じこと。それを「澄む」ととらえた鋭敏な
 感性に驚くのですが、それはわたしたち自身の心の有りように通じて
 いるのかもしれませんね。


 若水を汲み、清めた手を合わせて、澄んだ心で1年の無事を祈るのも、
 古くからの元日の習わしですが、人により境遇はさまざまで、何かと
 悩みやストレスが尽きず、いつも心安らかに、とはなかなか行かない
 のが現実。

 でも、ある高名な医師の方がおっしゃっていたように、何かひとつの
 ことにとらわれているよりは、心がコロコロと揺れ動いているときの
 方が、ものとして安定した状態にあると言えるのかもしれません。



 正月は多くの人が、仕事上の顔を納め、ひとりの父や、母や、息子や、
 娘として、それぞれの家庭に帰っていきますが、帰れない、また帰る
 ところのない人もたくさんおられるのですよね。

 最愛の、真に心が通じ合える人たちと共に、新しい年を迎えることが
 できるのは、それだけでどんなに幸福なことでしょう。

 けれどたとえそうでなくても、真白な新雪が静かに降り積もるように、
 心の中に新しい希望がゆっくりと舞い降りてくるような、そんな年の
 初めを迎えられたら、それはとても素敵なことではないでしょうか。

 
 あなたにとってのこの年が、豊かな実りのあるものでありますように
 ・・・・・・・

 なかなか会うことのできない、あなたの笑顔を心に思い描きながら、
 かじかんだ手を合わせ、遠くからお祈りしています。




                    平成20年1月1日 

                 遠くのあなたを想いながら・・・




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