あなたへ贈る季節のたより

毎回、1つの季語を添えたお便りがあなたの元に届きます。心に残る詩、和歌、俳句をひもときながら、北越後の城下町から都会に住むあなたに宛てて、その時々のふるさとの様子や、あなたへの想いを伝える恋文です。

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あなたへ贈る季節のたより No.21

2007/11/01


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    あなたへ贈る季節のたより     ---- No.21 ----

       「落 葉」                  2007.11.1

               by URUSHI OHTAKI 大滝 豊
               http://www.u-ohtaki.com/
                                  
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 遠くのあなたへ


 お元気ですか。

 にわかに曇った空から、突然落ちてくる雨。
 樹々を大きく揺さぶる風の音と、慌てて飛び去る鳥たちの声・・・

 冬の到来を予感させる、そんな時雨(しぐれ)の日が多くなりました。


 ときたま休息のように訪れる小春日和も、太陽が少し傾くと、ずっと
 部屋の奥まで差し込んでいた光は、あたかも、使い切る寸前の電池の
 ような頼りなさで、みるみるそのルクスを弱くしていきます。

 なにかと気ぜわしく、時の過ぎゆくスピードが、ひとしお身にしみる
 この頃ですね。 

 
 晩秋から初冬にかけての漠とした寂寥感は、波のごとく繰り返される
 この晴雨のリズムから、紡ぎ出されていくのでしょうか。

 人恋しさともの思う心が綯(な)い交ぜになって、この季節の気分が
 形づくられているようにも感じられます。




   あはれな 僕の魂よ

   おそい秋の午後には 行くがいい

   建築と建築とが さびしい影を曳いている

   人どほりのすくない 裏道を



   雲鳥(くもとり)を高く飛ばせてゐる

   落葉をかなしく舞はせてゐる

   あの郷愁の歌の心のままに 僕よ

   おまへは 限りなくつつましくあるがいい



   おまへが 友を呼ばうと 拒まうと

   おまへは 永久孤独に 餓ゑてゐるであらう

   行くがいい けふの落日のときまで



   すくなかつたいくつもの風景たちが

   おまへの歩みを ささへるであらう

   おまへは そして 自分を護(まも)りながら泣くであらう




                  「晩秋」 立原 道造



 地に散り敷いた落ち葉は、山ではあんなに温かく感じるのに、街路の
 隅に吹き寄せられた葉は、なぜこんなにも、わたしたちの心を孤独に
 してしまうのでしょう。

 寒風の中で、ひとり落ち葉を踏みしめながら、あなたも寂しい思いを
 心に抱いているのでしょうか・・・




    下紅葉(したもみじ)かつ散る山の夕時雨

             ぬれてやひとり鹿のなくらむ


                       藤原家隆



 こちらは、周囲の山々もだいぶ色づいてきました。

 今年の紅葉は比較的遅いと聞きますが、錦の帯は着実に列島を南下し、
 もみじの名所は、多くの行楽客で賑わうのでしょう。
 
 けれどそんな賑わいもつかの間、最後の輝きを見せたあとの落葉樹は、
 静かにその葉を落とし、長い冬の支度を始めるのですね。





    風寒み木の葉晴れゆく夜な夜なに

           残るくまなき庭の月影



              式子内親王(しょくしないしんのう)


 


 思わず身震いしそうに冴え渡った月を背景に、寒風に木の葉が舞う夜。
 しんしんと冷えゆく初冬の情景が、目に浮かんできます。


 1枚、また1枚と木を離れゆく木の葉。
 
 葉の落ちる「かさり」と乾いた音は、わたしたちの心にも反響します。


 そう・・・あの日、あの時のこと。あなたは覚えておいでですか。

 まるで潮が引くように、あなたの手がわたしの手を離れたあの瞬間、
 同じ音が、わたしの耳の中で響いたような気がするのです。

 それはどこか空虚な響きを伴いながら、落ちゆくものの確かな重量を
 感じさせるものでした。

 何かを失うときの音は、静かなる故に、いっそう鋭く胸に迫ります。


 けれどわたしたちも、1つのものを失うことで、より深く、より強い
 エネルギーを、心の内に蓄えることができるのかもしれませんね。


 またお手紙、書きます。



                    平成19年11月1日 

                 遠くのあなたを想いながら・・・



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