あなたへ贈る季節のたより

毎回、1つの季語を添えたお便りがあなたの元に届きます。心に残る詩、和歌、俳句をひもときながら、北越後の城下町から都会に住むあなたに宛てて、その時々のふるさとの様子や、あなたへの想いを伝える恋文です。

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あなたへ贈る季節のたより No.16

2007/06/01


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    あなたへ贈る季節のたより     ---- No.16 ----

       「紫陽花」                   2007.6.1

               by URUSHI OHTAKI 大滝 豊
               http://www11.plala.or.jp/u-ohtaki/
                                  
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 遠くのあなたへ


 お元気ですか。


 満々と水をたたえた田んぼに、ほっそりした浅緑の早苗が規則正しく
 並び、吹き渡る初夏の風に揺れています。

 青空にぽっかりと浮かんだ白い雲は、遠くの山並みを境界線として、
 天と地の双方にあり、滴るほどの緑と水の風景に、明るくさわやかな
 コントラストを与えているようですね。


 今年の梅雨入りは、いつもより遅いとか・・・。

 雨の季節を迎える前の、驚くほど明るい朝空に、澄んだ声を響かせる
 のは四十雀(シジュウカラ)や郭公(カッコウ)。その透明な音質は、
 わたしの心まで羽ばたかせてくれそうな気がします。


 もう衣替えは済みましたか?

 6月・・・旧暦の皐月(さつき)は、水と深く関わる季節ですね。
 水の恩恵を受けて咲くたくさんの花々が、庭や野山を彩っています。




   水が固体化されるのだろうか?

   水の押しあげを制御する

   花たちの首の勁さ

   花たちの首の冷気

   (咲くまでの項《うなじ》のうつむく柔らかさ)



   ただの支柱でなく

   青駒の叫びを

   (同時に)

   引き留めて



   幼い陽炎(かげろう)に揺れてすずしい鈴が鳴りだす

   すがすがしい空気のなかの青藍の

   綵色(しみいろ)の立ち顕(あら)われを



   伝え伝えて

   (眼差)

   が

   伸びていくのが見える



   山肌に寄り添う里の方

   心の巡礼のめぐっていく高い御寺の方へ

   矢車草の花の茎は向いているように思われる

     

                  「花 茎」  江森 國友



 この時期を彩るたくさんの花の中でも、特に紫陽花(あじさい)は、
 最も6月を代表する花でしょうか。花全体が球形をしていることから、
 「花鞠」(はなまり)という、優しい別名も持っているのですね。

 花期が長く、白から淡緑、碧紫、淡紅など色が様々に変化するので、
 「七変化」とも呼ばれるようですが、ここに諸行無常の象徴を捉えた
 多くの詩人や歌人が、人の心の移ろいやすさや翳りを詠っています。




   こころをば なににたとへん

   こころはあぢさゐの花

   ももいろに咲く日はあれど

   うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。



   こころはまた 夕闇の園生のふきあげ

   音なき音のあゆむひびきに

   こころはひとつによりて悲しめども

   かなしめどもあるかひなしや

   ああこのこころをば なににたとへん。



   こころは二人の旅びと

   されど道づれのたえて物言ふことなければ

   わがこころはいつもかくさびしきなり。



                  「こころ」  萩原朔太郎



 たっぷりと吸い上げた水で、淡く優しい色に花びらを染める紫陽花。
 わたしたちのこころに働きかける、独特の存在感を持った花ですね。

 雨の中、あなたもふと足を止めて、花に見入ることがあるでしょうか。


 濡れることで、はっとするほど色の鮮やかさが増し、柔らかな和紙に
 吸い取られる絵の具のように、眼に浸透してきます。

 生命の源である水は、わたしたちのからだの中にある水分と呼応する
 ことで、自然界の美を伝達する「使者」となりうるのかもしれません。


 またお手紙、書きます。



                    平成19年6月1日 

                 遠くのあなたを想いながら・・・




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