あなたへ贈る季節のたより

毎回、1つの季語を添えたお便りがあなたの元に届きます。心に残る詩、和歌、俳句をひもときながら、北越後の城下町から都会に住むあなたに宛てて、その時々のふるさとの様子や、あなたへの想いを伝える恋文です。

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あなたへ贈る季節のたより No.11

2007/01/01


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    あなたへ贈る季節のたより     ---- No.11 ----

        「初日(はつひ)」                    2007.1.1

               by URUSHI OHTAKI 大滝 豊
               http://www11.plala.or.jp/u-ohtaki/
                                  
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 遠くのあなたへ。


 あけましておめでとうございます。
 新しい朝、いかがお過ごしですか。


 昨日まであれほどせわしなく行き交っていた人や車が、一夜明けると
 ぱったりと途絶え、どことなく張りつめた、明るく晴れやかな空気が
 街を満たしています。

 あたかも開演のベルが鳴り終わると同時に、人々のざわめきが引き、
 華やかな舞台の幕がさっと開くかのよう・・・。

 家々の門に立てられた国旗や松飾りが、きょうが特別な日であること
 を伝え、厳かな中にもどこか浮き立った気分が感じられます。

 新年を迎えたというだけで、こんなにも風景が違って見えるのですね。
 陽の光でさえ、きょうはいつもとは別のもののように思えます。


 さて、お寝坊さんのあなた、「初日の出」は見ることができましたか。



   ああ海から昇る太陽

   太陽

   今しののめの

   藍(あゐ)と薔薇との混沌を

   蹴破(けやぶ)って昇る太陽

   かの紅(くれなゐ)の かのまるく大きなる

   かの重たげなるもの

   虚空(こくう)のうちを押渡る

   かのまぶしきもの

   かの団々たる

   黄金光(わうごんくわう)の聖母胎(せいぼたい)

   ああかの 今わが涙にまで

   そのほのかなる暖かみもてもの言ひかくるもの

   太陽

   おお太陽

   海から昇る太陽

   われ永く

   おん身の朝ごとにそこに在(あ)りて

   かくまるく 大きく 赤く

   われらが遊星(いうせい)の空高くはるばると

   さし出で給(たま)ふを

   不覚や

   忘れてゐたりき

   久しくも忘れてゐたりき

   しかしてこの日

   雲深き水平線を押昇る

   何たる大いなる

   何たる美しい太陽だらう

   わがいとけなき

   わがけがれなき日の

   なほそこに今もあるかに

   ああげにかくもまぶしく

   海から昇る太陽

   おお太陽

   太陽
  

               「海から昇る太陽」  三好 達治



 日本海に接するこのまちからは、海に沈む太陽は見られても、海から
 昇る太陽は見ることができません。けれどもその荘厳さにおいては、
 どちらも同じなのではないでしょうか。

 煌めきの粉末を海面に散らしながら、赤く、大きく、完全なる正円が、
 ゆったりとした動きで水平線に接するとき、そのあまりの美しさに、
 私たちは言葉を失います。なんと見事な映像のドラマなのでしょう。
 生きてこの世に在ることの素晴らしさを、この時ほど実感することは
 ないかもしれません。

 もしあなたが、それを1年の初めの朝に、まっさらな心で見ることが
 できたなら、あなたはなんと幸運な人なのでしょう。

 「初日の出」は、太陽そのものが新しいのではなく、それを見る時の
 私たちの心が新しいのですね。



   傷一つ翳(かげ)一つなき初御空(はつみそら)  高浜虚子

   はつそらのたまたま月をのこしけり      久保田万太郎


 初春、初富士、初雀、初明かり、初声、初晴れ、初凪、初日影・・・
 新年の風景を詠う季語には、「初」の文字がずらりと並びます。

 その中で、元日の暁天を「初東雲」(はつしののめ)と呼び、日の出
 直前の東の紅は「初茜」(はつあかね)と言うそうですが、まだ星が
 残るほどの暗さから、東にほのかに赤みがさしてきた頃の空模様には、
 「初御空」と呼ぶにふさわしい清浄さを感じるのです。

 冬空は、なかなかその劇的なオープニングを見せてはくれませんが、
 そっと閉じた瞼の裏にひと筋の曙光を思い浮かべ、今年が平穏な年で
 あるように、あなたの身に佳きことがたくさん訪れるようにと、心の
 内で祈らずにはいられません。

 私にとって、あなたへの想いは、いつも新しいままですが・・・


 またお手紙、書きます。



                    平成19年1月1日 

                 遠くのあなたを想いながら・・・




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