あなたへ贈る季節のたより

毎回、1つの季語を添えたお便りがあなたの元に届きます。心に残る詩、和歌、俳句をひもときながら、北越後の城下町から都会に住むあなたに宛てて、その時々のふるさとの様子や、あなたへの想いを伝える恋文です。

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あなたへ贈る季節のたより No.5

2006/07/01


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    あなたへ贈る季節のたより     ---- No.5 ----

        「夏の夕」                      2006.7.1

               by URUSHI OHTAKI 大滝 豊
               http://www11.plala.or.jp/u-ohtaki/
                                  
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 遠くのあなたへ。


 お元気ですか。

 開け放たれた窓から、微かな風が吹き込んできました。
 どんよりと曇った厚い空。ちょっと澱んだような重い空気。
 そんな梅雨のさなかにも、ふっと心を解き放てる瞬間があるのですね。

 そちら、雨はいかがですか。

 恐ろしいほど激しい雨が、多くの害をもたらしたところもあると聞き、
 案じています。ふだん優しいせせらぎを聞かせてくれる川が、これが
 同じ川とは思えぬほど豹変し、鋭い三角波を立てて流れる様は、自然
 に対して、人間など何ほどの力があろうかと思い知らされます。


 でも、もう梅雨明けも間近。
 濃い青空が四方から開け、澄んだ太陽が輝きわたる「風待月」の到来
 ですね。


    水無月や青嶺つゞける桑のはて   秋桜子


 白いワタスゲが風に揺れる湿原の道を、二人で辿ったあの日のこと、
 あなたは憶えていますか・・・。

 あのときの光の眩しさ、風の匂い、そして心に宿った小さな幸福感を、
 わたしは今でも忘れることはありません。


 夏は、いつでも遠い記憶を呼び起こします。

 それは、長雨があがり、窓を外の自然に向けて、のびやかに開け放つ
 この季節が、わたしたちの視覚のみならず、聴覚や嗅覚、触覚をも、
 敏感にするからなのかもしれません。夕刻は、とりわけその感が強い
 ようです。



   月しろか、いな、さにあらじ。

   薄ら日か、いな、さにあらじ。

   あはれ、その仄(ほの)のにほひの、

   などもさはいまも身に沁む。



   さなり、そは薄き香(か)のゆめ。

   ほのかなる暮の汀(みぎは)を、

   われはまた君が背に寝て、

   なにうたひ、なにかかたりし。



   そも知らね、なべてをさなく

   忘られし日にはあれども、

   われは知る、二人溺れて

   ふと見し、水ヒヤシンスの花。

   

              「水ヒヤシンス」  北原 白秋




 暮れそうで、なかなか暮れない黄昏どき、わたしは街の散歩に出ます。

 家々の窓に掛けられたレースのカーテンを染める、オレンジ色の灯り。
 夕餉を終え、皿を洗う水音。子どもたちのはしゃぐ声・・・。

 そんななにげない日常の雑音が、通り過ぎる私の五官を通して身体に
 浸みてきます。ほっと心和む音ではあるのだけれど、その一方で妙に
 やるせなく、うら哀しい気分に陥るのは、なぜでしょうか。

 楽しみも悲しみも、決して長くは続かない。移ろう時の早さを実感し、
 それゆえにこの一瞬一瞬が、はかなくも限りなく愛しいもののように
 思えて、自然に涙が溢れるのです。
 

 薄闇がしだいにその濃さを増すにつれ、樹々はやがて黒いシルエット
 を描いて沈み、縁取られた明るい中空には、細い月がかかっています。
 夏の夕べは、昼が暑く長かっただけ、物の「気配」がより濃厚に漂う
 のかもしれません。


   物思へば沢の蛍もわが身より
      あくがれ出づる魂(たま)かとぞ見る   和泉式部


 ゆらゆらと飛ぶ蛍の光に、なかなか訪れない恋しい人を想ってわが身
 を抜け出た魂を見る女性。それは、濃密な夏の宵ならではのこと。

 
 今頃あなたもどこかで、この同じ月を眺めているでしょうか・・・


 またお手紙、書きます。


                    平成18年7月1日 



 
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 (前略)

 メルマガ、拝見させていただきましたら、とっても共感を覚えました。
 共通の思いが、流れているような気がします。
 私のメルマガでも、紹介させていただきたいと思います。

 漆のお店をなさってるんですね。本当にすばらしいですね。
 いつか、私も体験させていただきたいです。
 うっとうしい季節ですが、どうか、くれぐれも御身おいといください。

 それでは、心からの感謝をこめて・・・

 夢子 こと 山下景子 でした・・・(^o^)丿

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 みなさんからの感想メールも、ぜひお待ちしています。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
 次回の配信は、8月1日を予定しています。
 どうぞそれまでお元気で。




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