あなたへ贈る季節のたより

毎回、1つの季語を添えたお便りがあなたの元に届きます。心に残る詩、和歌、俳句をひもときながら、北越後の城下町から都会に住むあなたに宛てて、その時々のふるさとの様子や、あなたへの想いを伝える恋文です。

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あなたへ贈る季節のたより No.4

2006/06/01


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    あなたへ贈る季節のたより     ---- No.4 ----

        「白い季節」                      2006.6.1

               by URUSHI OHTAKI 大滝 豊
               http://www11.plala.or.jp/u-ohtaki/
                                  
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 遠くのあなたへ。


 お元気ですか。

 どこか突き抜けるような透明な朝。
 人々が活動を始める前の、まだ白々とした薄闇の中に、ひときわ響く
 時鳥(ほととぎす)の声を聞きました。


    短夜(みじかよ)や駅路の鈴の耳につく   芭蕉


 梅雨入り前の明け易きこの時季。あなたはどんな朝をお迎えですか。

 寝不足の少し腫れぼったい瞼をこすりながら、熱いコーヒーをすする
 パジャマ姿のあなたを、白いミルクをたっぷりと入れた、モーニング・
 コーヒーの心地良い香りとともに思い出しています。


 そう、初夏はなぜか「白」の似合う季節。

 卯の花、鈴蘭、白牡丹、芍薬、てっせん、アカシア、泰山木・・・

 清楚な白い花たちが、気品をもって咲きそろい、衣替えの終わった
 学生たちのワイシャツ姿が、街に明るさを運んできます。

 そして、ジューン・ブライドの着るウェディング・ドレス・・・

 清らかな色「白」。
 でも、どこかしら「喪失」を感じさせる色でもあるようです。



   なにか とてもだいじなことばを

   憶ひだしかけてゐたのに



   視界の左すみで

   白い芍薬の花が

   急に 耐へきれないやうに

   無惨な 散りかたをしたので



   ふり向いて

   花びらといっしょに

   そのまま ことばは 行ってしまった



   いつも こんなふうに

   だいじなものは 去ってゆく



   愛だとか

   うつくしい瞬間(とき)だとか

   何の秘密も 明かさぬままに



   そうして そこらぢゅうに

   スパイがゐるので

   わたしはまた 暗号をつくりはじめる

   ことばたちの なきがらをかくして

   

              「ふと」  吉原 幸子




 六月は不思議な月ですね。
 最も昼が長くて、明るい季節のはずなのに、雨、雨、雨・・・

 雨は嫌いではないけれど、心は何となく内側を向いてしまいます。
 「白」は、そうした内向する心に寄り添う色でもあるのでしょうか。

 「喪失」「空虚」・・・その感じは、幹や枝の中が中空であるために
 「空木」(うつぎ)を呼ばれる卯の花の「白」から引き出されている
 のかもしれません。


   卯の花の過ぎば惜しみかほととぎす
        雨間も置かずこゆ鳴きわたる   大伴家持

  (卯の花が散ってしまうのを惜しむからでしょうか。雨が降るのも
   いとわずに、ほととぎすがあんなに鳴いて飛んでいきます。)


 「妻問い婚」がふつうだった昔。夜の短さは、恋人たちにとっては、
 何ともやるせない季節だったのではないかしら・・・。

 あなたと二人で過ごしたあの夜の闇の深さ、そして無情にも明けゆく
 空の白む早さは、今も忘れることができません。

 遠くのあなたを想いながら、きょうも短夜が明けてしまいました・・。


 またお手紙、書きます。


                    平成18年6月1日 



 
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