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三島由紀夫の総合研究

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三島由紀夫研究会メルマガ <<令和の御代を生きる我々に求められる覚悟

2020/01/04

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『三島由紀夫の総合研究』(三島由紀夫研究会 メルマガ会報)
   令和2年(2020)1月4日
        通巻第1385号  
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令和の御代を生きる我々に求められる覚悟
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               田村浩仁(三島由紀夫研究会会員、退役1等陸佐)

はじめに
 我が国が立憲君主制を採用してから初めての御譲位により、令和の御代が始まった。明治・大正・昭和の御代において無かった御譲位が実現したことは、ひとえに上皇陛下による叡慮の賜物である。
 戦後間もなく、最後の海軍大臣となった米内光政が昭和天皇に拝謁し、「我が国は優秀ですから五十年もあれば復興を遂げるでしょう」と申したことに対し、「我が国の真の復興には三百年かかる」と仰せになった。
 それから僅か十一年後の昭和三十一年(一九五六年)の経済白書の序文には、「もはや戦後ではない」という言葉が登場する。
そして、昭和三十九年(一九六四)、OECDに加盟するとともに、オリンピックを東京で開催し、それに伴って、新幹線や高速道路をはじめとする基幹交通網を整備し、三百年どころか二十年足らずで復興の実現を見た。奇跡と言ってよい。しかし、それは経済のみの復興であり、昭和天皇が仰せになった「真の復興」とは言えない。昭和天皇におかれては、戦後の占領政策の結果として生じ、令和の御代に至るまで続く日本民族の精神的頽廃を既に見抜かれていたものと拝する。
 昭和天皇が仰せになられた「真の復興」をするため、私たち国民は聖意を正しく拝察せねばならぬ。昭和二十一年(一九四六)一月一日、昭和天皇は詔書を渙発せられた。「新日本建設に関する詔書」である。明治天皇が下された五箇条の御誓文を国是として、国民が一致団結して努力して欲しいという内容である。しかしながら、この詔書は「人間宣言」なるものとして国民に流布し、現在でもそのままとなっている。
昭和天皇が仰せになった「真の復興」を実現するには、「新日本建設に関する詔書」を陛下の「人間宣言」などではない、と国民が理解・認識することが先ず必要だ。今回の御譲位は、そうした認識へ日本民族を導き、「真の復興」を実現しようとする上皇陛下の大御心の表れとである、と私は思っている。
 本年は敗戦から七十五年目にあたるということは、残された時間は二百二十五年である。これを、「しか」と見るか「まだ」と見るかはさておき、そうした視点に立ちつつ、今なすべきことを考えてみたい。

 日本民族が直面する国難

 「昭和」は戦争の時代、「平成」は自然災害の時代とよく言われる。それに対して、「令和」は戦争も自然災害もない平和な時代になって欲しいと国民は求めている。平和を求めることは当然であるけれども、国民の望む通り「令和」が平和な時代になるか甚だ疑問である。むしろ、「令和」は、日本民族が様々な未曽有の国難に直面し、立ち向かい克服していくことが求められる極めてハードな時代になるのではないか。

 南海トラフ地震、そして首都直下型地震は、いつ発生してもおかしくない。南海トラフ地震が発生した場合、西日本全域すなわち国土の半分が被災地となる。また、首都直下型地震が発生した場合、相当の期間に亘って我が国の政治・経済機能が混乱を来たす。いずれにしても、今まで我が国が経験した阪神・淡路大震災、東北大震災のような特定の地域を襲う災害ではなく、国民全体に甚大な影響を及ぼす災害となり、国民生活は逼迫を余儀なくされるだろう。そうした中で、「和」という日本民族の健全な精神性を維持できるか困難な事態に陥りかねない。  

 地震に加え、戦争の可能性も否定できない。現在、極東地域では、中国・ロシア・北朝鮮など旧社会主義圏と日本・米国など自由主義圏とが国益をかけた衝突が展開されている。これは、軍事的には「冷戦」であり、経済的には既に「熱戦」と言ってもおかしくない情況である。そして、その戦域は、宇宙・サイバー空間へと拡大している。加えて、韓国の政局を鑑みると、近い将来に北朝鮮主導で朝鮮半島の統一が実現しそうに思われる。そうなると、旧社会主義圏と自由主義圏の軍事境界線は北緯三十八度線から対馬海峡まで南下する。
我が国は、その軍事境界線を突破されぬよう国としての対策を講じなければならない。加えて、北朝鮮主導で統一された場合、それを是としない多くの人々が朝鮮半島から難民となって我が国に押し寄せてくる。人道上の観点から難民を保護せねばならぬが、そうした難民に紛れて我が国を攪乱しようとする勢力が侵入することは容易に予測でき、そうした勢力を如何に排除するかが問題となる。 

 そう考えてみると、「自然災害も戦争もない平和な時代であってほしい」という国民の願いとは逆に、令和の御代は、大地震に象徴される「自然災害」と国家間紛争に起因する「人為的災害」に直面する時代となる。これらの「災害」は国難というべきであり、それに対処することは令和の時代に国民に突き付けられた課題である。

 国家の「存立」を維持するために

 戦後、何故に我が国は平和を維持できたか?大東亜戦争には敗れたが、最後まで戦い抜いた日本民族としての強い意志は戦勝国に恐怖心を与えたことを基盤として、さらに、戦後においても諸先輩が団結し復興に精進された結果であることは言うまでもない。これにより国民生活は豊かになったが、経済以外の復興はなされなかった。
 国家は、「存立」と「繁栄」とを達成する必要がある。戦後の我が国が「繁栄」を達成したことは言うまでもないけれども、「存立」については如何だったか?

 我が国の「存立」は、「日米安全保障条約体制」に依拠している。この体制を維持したゆえに我が国は国家として経済の復興に専念することができ、「繁栄」を達成し得た。
 先にも述べた通り、大東亜戦争における日本民族の戦う意思は強靭であった。とりわけ、特別攻撃隊の編成と運用という事実に直面した敵国たる米国は、日本民族に対して恐怖を感じた。
このような我が国を相手に戦い抜いて戦勝という結果を得た米国が、二度と自分達に歯向かうことのない国に変える、即ち、国家としての『弱体化』を図ろうとしたのは当然だろう。

 これにより、我が国は武力を放棄させられ、国家の「存立」については、占領者たる米国が担保するという体制が維持されてきた。その結果、敗戦後の七十五年間、我が国は国家の「存立」を守ることから解放され、国家の「繁栄」のみを追求することが可能となった。その結果、「有事(非常時・緊急時)」という概念が忘却され、それに対処する「軍事」という営為が忌避されるようになった。
ただ、いくら我が国が戦争を放棄しても、他国は我が国に戦争を仕掛けることを放棄していない。「民族的平和ボケ」の所以は、ここにある。

それゆえ、これから顕在化するだろう国難を乗り切るためには、まず何よりも、この「民族的平和ボケ」状態を解消せねばならない。

 そのためには、まず何よりも、「軍事」という独立国家として当然の営為を遂行できるようにせねばならない。現在の我が国では「軍事」イコール「戦争の遂行」と考えられがちだが、本来は「戦争の抑止」こそが「軍事」の本質であり、国家の「存立」を保つ上で必要な不可欠なものである。

 そもそも、平和は「国力」のバランスによって維持されている。ここでいう「国力」とは、軍事力のみならず、外交力・経済力・科学力・教育力などの総体である。このうち、現在の我が国は軍事力を決定的に欠いている。
それゆえ、自力で「戦争の抑止」を実現することは困難であり、日米安全保障体制に多くを委ねざるを得ない。

 昨今、憲法改正を巡る論議が活発化する中で、自衛隊の位置づけが問題となっているが、第九条二項を削除すべきか三項を追加すべきかといった条文を巡る小手先の議論に何の意味があるのか。

 国家間紛争が生起する可能性が高い極東にあって、将来においても我が国の平和を維持する、すなわち「戦争の抑止」を国家として主体的に担保するためには如何にすべきか、それこそが問われねばならない。「戦争の抑止」を可能ならしめる実力手段として現状の自衛隊は適正であるか。そのような実力手段すら必要ないという意見もあろうし、現状では不足であるから強力な国軍を創設する必要があるという意見もあろう。そうした根本的な次元において議論した上で、その結論を憲法に表現し、その規定に基づいて政策が遂行されるべきではないのか。

 むすび

 「我が国の真の復興には三百年かかる」という昭和天皇のお言葉は重い。「今のままでは、我が国の復興どころか存立も危ぶまれる。復興を急がねばならない」と焦燥感に駆られる。
 復興を急ぐためにも、日本民族が一つとなって施策を進めていく必要がある。先に「令和」は国難に直面する時代であると述べたが、この試練に日本民族が一致団結して対処することができれば、禍を転じて福と為すことができるという意味で絶好の機会なのだ。

 そうした認識に基づき、近い将来に生起するであろう「国難」に向き合う覚悟を決め、具体的な国策を定めておくこと。「令和の御代」を生きる我々に課されているものは極めて大きい。

【著者の略歴】昭和三十五年、長崎県生まれ。昭和五十九年、陸上自衛隊に入隊し、第19普通科連隊中隊長(福岡県)、第18普通科連隊長(北海道)などを歴任。平成二十八年に1等陸佐で退官した後、大分県庁防災局に奉職。平成三十一年に同局を退職し、現在に至る。
(事務局より。本稿は田村浩仁氏が『国体文化』誌令和2年2月号に投稿されたものを田村氏と『国体文化』誌のご了解を得てここに転載するものです。)
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  ★事務局からのお知らせ
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令和二年の憂国忌(没後五十年)の概要
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 今年は三島由紀夫先生没後五十年の節目、厳粛にして盛大な追悼祭を準備中です。いまからカレンダーに書き込み下さい。

とき  令和二年十一月二十五日 午後二時開演
ところ 星陵会館(東京都千代田区永田町) 大ホール

第一部1400−1500
鎮魂式 乃木神社宮司と神官
辞世吟詠
 
 第二部 1500−1615 パネルディスカッション
「楯の会と蘭陵王」  横笛演奏(レコード)
     中村彰彦が聞き役となって森田必勝烈士の実兄、森田治
「楯の会」の想い出を一期生の山本之聞、篠原裕らが語る

    三島由紀夫『蘭陵王』にかくあり。
     「笛は武器とはちがった軽やかなしっとりした重みを指に伝えた。重みそのものに或る優美があった。(中略)笛の吹き口に唇を宛てた時、私は何気なしに、目を明け放れた窓へ遣った。その時窓外の闇には稲妻が閃いた」
     「するどい序奏は、りゅうりゅうと耳を打つ高音ではじまった。その音が芒の葉のような或る形を描いた。私の心はしきりに野のくわ本科植物の尖った葉端が、頬をかすめる感じを描いた。(中略)節は次第に喜色を帯び、リズミカルになった。かと思うと、再び厳粛になり悲壮になった」
     「笛が、息も絶え絶えの瀕死の叙情と、溢れる生命の奔溢する叙情と、相反する二つのものに、等しく関わり合っているのを私は見出した。蘭陵王は出陣した」


 第三部  1620−1725 『五十年目の真実』
追悼挨拶(順不同敬称略) 西尾幹二、村松英子、堤堯、執行草舟
(メッセージ ストークス、?岡孝夫、ほか)
最後に「海ゆかば」合唱。閉会。
 (このスケジュールは予告なく変更されることがあります) 
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令和二年、初の公開講座は下記の要領です。

とき   令和2年1月20日(月曜) 午後六時半
ところ  市ヶ谷「アルカディア市ヶ谷」
講師   長田育恵(劇作家、脚本家、劇団ユニット「てがみ座」主宰)
演題   「『豊饒の海』を書くまで」
参加費  おひとり2000円(会員は千円)
     講師の長田氏は早大卒、文化庁芸術祭賞。鶴屋南北戯曲賞を受賞。
また『豊饒の海』上演で、紀伊国屋演劇賞を受賞。



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二月の公開講座は三浦小太郎氏。詳細が決まりました。
最近、保守論壇でめきめきと頭角を現し、次々と論壇を席巻する問題作を発表している三浦小太郎氏には、『ドストエフスキーの戦争論』『なぜ秀吉はバテレンを追放したのか』などがあります。

とき   令和二年2月27日 午後六時半
ところ  アルカディア市ヶ谷
講師   三浦小太郎(評論家)
演題   「ドストエフスキーと三島由紀夫」
資料代  2000円(会員は千円)
主催   三島由紀夫研究会。

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 2020年1月末を持って配信は終了させていただく事となりました。
 ご利用中の皆様にはご迷惑をおかけすることを深くお詫び申し上げます。
 ただし会員の皆様にはニュースレターをメール配信しております。
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