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三島由紀夫の総合研究

創立35年の老舗「三島由紀夫研究会」の会報を兼ねた、あらゆる角度からの総合研究メルマガ

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三島由紀夫研究会メルマガ

2019/03/13

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『三島由紀夫の総合研究』(三島由紀夫研究会 メルマガ会報)
  平成31年(2019)3月13日(水曜日)
         通巻第1318号   
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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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兼高かおるの処女作を三島由紀夫が推薦していた
   閉塞感漂い、鎖国状態にあった日本人に与えた一種羨望と衝撃

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兼高かおる『世界とびある記』(ビジネス社)
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 一世を風靡した兼高かおるの「世界の旅」。
 彼女の著作のうち二点ほどが新潮文庫に入っている。本書は1959年に上梓された兼高かおる処女作の復刻である。
 閉塞感が強く、事実上の鎖国状態にあった日本人に与えたのは一種羨望と衝撃だった。女性一人で世界の危険地帯に飛びこむのだ。
 兼高かおる女史とは故・藤島泰輔氏の紹介で何回か会ったことがある。古き良き時代の淑女だが、反面でお転婆。そして活発で活動的な大和撫子だった。
 評者の中学生時代、小田実の『何でも見てやろう』が大ベストセラーだった。同時にミッキー安川の『ふうらい坊留学記』があり、海外雄飛に憧れた。まだ日本人の海外渡航は制限されていて、1964年の東京五輪前後にようやく自由化されたが、旅行費用がべらぼうに高く、富裕階級の人しか、海外旅行に出かけられず、著名人等の紀行文をむさぼるように読んだものだった。
 一生に一度でも海外にでる機会があるのだろうか、と漠然と思った。
 本書にでてくる兼高女史の最初の雄飛先はハワイ、それから米国本土留学だった。
 帰国後、海外ドキュメントの仕事が入り、台湾、香港、澳門を取材するのが、本書の主要部分で、当時の風景、裏街の表情にも、そこで暮らしている人々にも現代とは隔世の感がある。
 評者が最初に香港へ行ったのは半世紀ほど前になるが、啓徳空港をでると、むっと現地の臭いが鼻をついて、体臭と料理の臭気が濃き混ざって吐き気を催すほどだった。街は不潔で塵だらけ、ホテルのシャワーを浴びて、ホットした。どの家にもエアコンは装備されておらず、人々は半裸で夕涼みをしていた。屋台における牛肉麺、その異臭。油のような顔つき、サンダルか裸足であった。
 台湾へ行くにも大所帯の荷物、羽田には大勢が見送りにきた時代だった。飛行場で壮行会などもよくおこなわれた。
 彼女は台湾印象期を次のように書いた
 『私は台北の街を縦横に走る輪タクに乗る。そしておよそ前時代的なこの乗り物に乗って自転車のペタルを汗流して踏む運転手と話をしながら、のんびり街を見て歩く』。
 そうだった。人力車が主流で、台北の街は平屋建て、トタン屋根、屋台村。高い建築物といえば日本時代の総統府、迎賓館くらいしかなかったのだ。

 ところで本書は復刻版だが、初版に序文を寄せている人をみて驚きの声を挙げた。三島由紀夫である。
 三島はこう推薦の辞を述べている。
 「兼高さんが無頼飛びきりの美人であることは前から知っていた。しかし早周りの世界一周で有名になった兼高さんと、同一人物であることには、すぐ気がつかなかった。それほどに男というものは盲目なもので、美女に対しては、その内(うち)に隠された才能や行動力や智恵などが、なかなか見えてこないのである。彼女の美貌に目をくらまされず、直にその美しい才知にまず接することのできるこの本の読者は、しかし果たして幸福だろうか、不幸だろうか」。
                      (評 宮崎正弘)
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  事務局より 今後の予定
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3月の公開講座は葛城奈海さんです。

日時  3月22日(金)18時半より
会場  アルカディア市ヶ谷
演題  三島由紀夫と私(仮題)
講師  葛城奈海氏(ジャーナリスト、女優、環境運動家、予備自衛官)
   (略歴 昭和45年生 東京都出身。東大農学部卒。防衛省市ヶ谷台ツアー案内係を経て予備自衛官に。現在予備3等陸曹。チャンネル桜キャスター、防人と歩む会会長。著書に『国防女子が行く』(河添恵子、赤尾由美、兼次映利加との共著、ビジネス社)。最新刊は奥本康大氏との共著『大東亜戦争 失われた真実』(ハート出版)。
葛城奈海さんは防衛省の市ヶ谷台ツアーの案内係をしていた3年間、毎日のように三島自決現場を案内していた経験があり、ある日、霊を感じたという。
それを契機に予備自衛官になり、尖閣へも十回ほど行っている行動派、国防女子の代表格です。


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四月の「公開講座」は金子宗?氏(里見日本文化学研究所所長)に国体論をテーマに講演して頂きます。まさに御代替わり、改元の直前という時期にかなった内容になるものと存じます。

日時 4月19日(金)18時半開演(18時開場)
会場 アルカディア市ヶ谷(JR・地下鉄「市ヶ谷」下車2分)
演題 「御代替わりに際して〜あらためて国体とは何か」
講師 金子宗?氏(里見日本文化学研究所所長、月刊『国体文化』編集長、亜細亜大学非常勤講師)
会費 会員・学生1千円(一般2千円) 
<講師略歴 昭和50年生。名古屋市出身。京都大学大学院人間・環境学研究
科博士課程修了退学。著作『安全保障のビッグバン』(共著・読売新聞社)『「大正」再考―希望と不安の時代』(共著・ミネルヴァ書房)『保守主義とは何か』(共著・ナカニシヤ出版)
          


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5月公開講座は元「正論」編集長の上島嘉郎氏です。

日時 5月28日(火)18時半開演(18時開場)
会場 アルカディア市ヶ谷(私学会館) JR・地下鉄「市ヶ谷」下車2分
演題 「三島由紀夫と西郷南洲」(仮題)
講師 上島嘉郎(かみじまよしろう)氏はジャーナリスト、元月刊「正論」編集長
(講師略歴)昭和33年生。長野県出身。愛媛県立松山南高校卒。フリーランスを経て産経新聞社に入社。月刊「正論」編集長を歴任。現在はフリージャーナリストとして活躍中。
著書として『韓国に言うべきことをキッチリ言おう!−いわれなき対日非難「サクサク反論ガイド」』(ワニプラス、共著に『大東亜戦争「失敗の本質」』(飛鳥新社)がある。
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  三島由紀夫研究会 http://mishima.xii.jp/contents/index.html
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創刊日:2006-01-12  
最終発行日:  
発行周期:半月刊  
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