文学

三島由紀夫の総合研究

創立35年の老舗「三島由紀夫研究会」の会報を兼ねた、あらゆる角度からの総合研究メルマガ

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三島由紀夫研究会メルマガ

2018/06/19

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『三島由紀夫の総合研究』(三島由紀夫研究会 メルマガ会報)
    平成30年(2018)6月19日(火曜日)
         通巻第1256号   
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大学紛争50年に想う 
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                  玉川博己(三島由紀夫研究会代表幹事)

 
 今年は1960年代後半に日本全国を席巻したあの全国大学紛争の、象徴的存在となった東大紛争と日大紛争が勃発して満50周年にあたる。すでに紛争50年を記念する行事や当時を回顧する出版物の刊行も目立つ。当時の紛争当事者や活動家も齢古稀の年齢に達し、ノスタルジックな懐古談も散見される。やはり当時学生であり、学園において街頭において左翼暴力集団と対峙した民族派学生運動の中心にいた筆者としても感慨深いものがある。当時の学園紛争を回顧、総括する上で大事な視点をあげれば以下のようになるだろう。

 まずはあの紛争の底流となった戦後左翼運動の歴史と潮流である。戦後日本共産党が主導してきた左翼運動が、朝鮮戦争勃発とともに武力革命方針に転じ、昭和30年の六全協による平和革命路線への転換と翌昭和31年のスターリン批判、そして同年のハンガリー革命によって、左翼運動内に反スターリン主義の潮流が生れ、そこから革共同(中核派や革マル派の母体)そして共産同(ブント)の諸派が誕生していった。
昭和35年のいわゆる60年安保闘争を主導したのは反日共のブント派が率いる全学連主流派であったが、その後しばらくは低迷の時期があり、昭和42年の10.8羽田闘争で中核派、ブント、社青同解放派による三派全学連が一躍世間の注目を浴びることとなった。そして翌昭和43年の佐世保エンタープライズ入港反対闘争を経て、彼らの力が跳躍せんとしたときに勃発したのが大学紛争であった。

すでに昭和41年の第一次早大紛争の中から民族派学生運動としての日本学生同盟(日学同)が生れていたが、左翼諸派が一斉に大学紛争に介入していったことが、大学紛争をより過激化、暴力化させるに至った。彼らはその暴力闘争主義を最大限度にまでつきつめることにより、最後は自爆して自滅していった。その象徴が連合赤軍であった。

 もう一つの視点として、戦後日本を規定してきた「平和と民主主義」体制に対する疑問、懐疑の心情が左右両翼を問わずに広まってきたことである。三島由紀夫が東大全共闘との対話において、全共闘の戦後民主主義に対する批判には同調を示しつつ、彼らが「天皇」と一言いえば三島由紀夫もバリケードの中で共に戦う用意がある、と述べたことの真意を残念ながら全共闘の連中は理解できなかったのである。

結局口先では革命を呼号し、反体制を唱えたにもかかわらず、自らの肉体で戦後体制にぶつかって死んだのは左翼、全共闘ではなくて三島由紀夫であった。

 更にいえば、結局あの騒乱の日々の結末として何があったのか、正に如何なる「総括」をもって学園紛争が終息したのかである。革命、反体制などを叫んだ左翼諸派は次第に一般大衆からの支持を失い、そしてより一層の過激化、暴力化の道を辿った。昭和45年春の赤軍派による「よど号」ハイジャック事件、中核派と革マル派の「内ゲバ」=殺人戦争、そして昭和47年の連合赤軍による凄惨なリンチ殺人と浅間山荘事件は戦後左翼運動が行き着いた終末点であった。

 これに対して虚妄の戦後民主主義体制の象徴である日本国憲法に自らの肉体を武器として体当たりしたのは、彼ら左翼が「右翼」と蔑んできた三島由紀夫であった。三島の行動とその死に直面した左翼は、「三島に後れをとった」とか「三島に乗り越えられた」と呆然自失の体であった。

結局その左翼諸派は戦後体制に対して何事もなしえず、1989年のベルリンの壁崩壊とその後雪崩を打ったソ連・東欧社会主義体制の解体、冷戦終結は、彼らの思想的基盤であったマルクス・レーニン主義の終焉を意味した。大学紛争から50年、冷戦終結から30年、残党というべき現在の左翼諸派が依拠しているのは、彼らがかつて批判してやまなかった戦後「平和と民主主義」体制、そしてその象徴である日本国憲法を「守れ」というスローガンなのである。これほどの歴史的な皮肉があろうか。
しからば50年前の彼らの「戦後体制粉砕」という主張は何であったのか。喜劇的パラドックス以外何ものでもない。

 結局現行憲法の国体や国防に関する基本的条項に手をつけず、自衛隊を明記するだけの「加憲」改正でお茶を濁そうとする政府与党の憲法改正論も、また「平和憲法を守れ」と叫ぶ左翼諸派の主張も、戦後の平和と民主主義の虚構と妄想にしがみつこうという点で全く一致しているのではないか。あらためて日本の真の独立と自衛の重要性が重大な秋である。日本の維新革命が目指すべき道筋を示した三島由紀夫の「檄文」の精神の輝きは益々増している。大学紛争50年を回顧して想うところを述べてみた次第である。
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 事務局からおしらせ (その1)
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『三島由紀夫研究』第18巻(鼎書房)が刊行されました
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 鼎書房から待望の『三島由紀夫研究』第18巻(責任編集 松本徹、佐藤秀明、井上隆史、山中剛史)が刊行された!
「三島と渋沢龍彦」特集。おもな内容は次の通り。
 『三島由紀夫のみた梨園花街』講師 岩下尚史
       座談会参加 佐藤秀明、井上隆史、山中剛史
 『三島と渋沢 『血と薔薇』創刊号を巡る考察』(朴秀浄)
 『聖セバスチャンの殉教』の位置(山中剛史)
 『願望としての転生譚』(安西晋二)
 『三島由紀夫 まぼろしの本』(犬塚潔)
 新資料「潮騒の燈台長夫婦と娘」(手紙に見る三島と私の家族) 山下悦夫 ほか

 とりわけ興味津々は岩下尚史氏の講演テキスト全文で、氏は『ヒタメン』の作者だが、三島と三年間恋人として付き合った女性がモデル。そのモデルとの対話を通しての、三島の美意識、作品の変化などが微妙に区分けできて面白い内容になっている。
 鼎書房刊、2500円  電話(03)3654―1064
 https://g.bookwalker.jp/list/mk鼎書房/
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 事務局からおしらせ (その2)
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会員勉強会、六月は荒岩宏奨氏
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6月は下記の通り展転社の若き編集長・荒岩宏奨氏を講師にお迎えして、「影山正治と維新文学」のテーマで語って頂きます。これまで蓮田善明、保田與重郎,伊東静雄について論じて頂いた日本浪曼派シリーズ第四弾です。
影山正治氏(1910〜1979)は戦前より維新運動家として大東塾・不二歌道会を主宰するとともに、保田與重郎、浅野晃、林房雄など日本浪曼派の巨人達と親しく交際し、三島由紀夫先生を昭和の神風連と高く評価して憂国忌の発起人となり、昭和54年元号法案の成立を熱禱して自裁されました。
           記
◇日時 6月29日(金)午後6時半開演(午後6時開場)
◇会場 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
◇講師 荒岩宏奨氏(あらいわひろまさ、展転社編集長)
◇演題 「影山正治と維新文学」
◇講師略歴 昭和56年山口県生まれ。広島大学教育 学部卒、プログラマー、雑誌編集者を経て現在展転社編集長。著書『国風のみやびー国体の明徴と天業の恢弘』(展転社)
◇会場分担金 会員・学生千円(一般2千円)



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七月、憂国の空の将軍として知られる織田邦男元空将を迎えて国防講座を開催します。

日時  平成30年7月26日(木)18時半開演(18時開場)
場所  アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師  織田邦男(おりたくにお)空将(退役)、元航空支援集団司令官
演題  「混迷する東アジア情勢と日本の安全保障」
参加費 2000円(会員千円)
   (織田氏の略歴 昭和27年生れ。愛媛県出身。昭和49年防大卒(18期)同年航空自衛隊入隊。F4戦闘機パイロットを経て第6航空団司令、航空開発実験集団司令、航空支援集団司令官などを歴任。平成21年空自退官。現在は東洋学園大学客員教授。一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員をつとめる)



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8月の公開講座は澤村修治氏
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日時   8月24日(金)18時半開演(18時開場)
場所   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師   澤村修治先生(作家・文芸評論家)
演題  「西郷隆盛、日本浪曼派そして三島由紀夫」(仮題)
<講師略歴>昭和35年生れ。東京都出身。千葉大学人文学部人文学科卒。大手出版社勤務、新書や選書の編集長をつとめる傍ら、主に評論と評伝の執筆を行う。『表現者』にも寄稿。主な著作『悲傷の追想「コギト」編集発行人、肥下恒夫の生涯』(ライトハウス開港社)『敗戦日本と浪曼派の態度』(ライトハウス開港社)『唐木順三―あめつちとともに』(ミネルヴァ書房〈日本評伝選〉)『西郷隆盛 滅びの美学』(幻冬舎新書)その他多数
会場分担金 会員・学生1千円(一般2千円)
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  三島由紀夫研究会 http://mishima.xii.jp/contents/index.html
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最終発行日:  
発行周期:半月刊  
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